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53.お兄ちゃんモルーとちーちゃんに手を伸ばせ!!

 お兄ちゃんモルー達大丈夫かな? 怖くて震えてるいないかな? ワイバーンがいなくなったらすぐにまた探すから、ちょっとだけ待っててね。


 ワイバーン達が来ちゃって少しして。でもまだまだ攻撃の音が聞こえていて。僕はお兄ちゃんモルー達が心配で、心の中でそう思ってたんだ。


 そうしたらいきなり僕達の近くで、ドガガガガガガッ!! って。凄い大きな音がして地面が少しだけ揺れたの。ブルーノおじいちゃんが僕を支えてくれて、クタさんが僕達の前に立って唸ったよ。


「何だ!? どうしたんだ!?」


『ガウガァ、ガウアウ、ガウガアァァァ!!』


 向こうに居たはずのワイバーンがみんな、いきなり僕達の近くに現れたんだって。それですぐ近くを攻撃してきたの。クタさんが説明してくれてすぐに、『ギャアァァァ!!』って、大きな鳴き声が右側から聞こえました。


「坊っちゃまは、ここから動かずに。私はそこから様子を確認します」


 ブルーノおじいちゃんが、少しだけ横にずれて、小屋の小さな窓から外を覗きました。クタさんもブルーノおじいちゃんの隣で後ろ足で立って、一緒に外を見たよ。


「何だ、あれは? あれは本当にワイバーンなのか?」


『ガウガウ、ガウアァ、がアウア』


「お前も見たことはないか」


『ガウアァ!?』


 クタさんがブルーノおじいちゃんを倒して引っ張って、それから僕の方へ来て、僕とブルーノおじいちゃんに覆い被さりました。僕はリアが潰れないように、ポケットを手で包みます。


 次の瞬間、ズバァァァンッ!! バリバリバリッ!! 物凄い音と、物凄い風が吹いて。風が少し弱くなってから目を開けて周りを見たら、シマウ達の小屋のお屋根がなくなっていました。


 それから僕達の上を、大きなドラゴン? 鳥? が飛んで行ったの。うんとね、ぐーちゃんと同じくらい、とってもとっても大きな生き物だよ。今のがワイバーン?


 クタさんが怖い顔で、今飛んで行ったワイバーンは、普通のワイバーンよりもとっても力が強い。それに体も色も変だし。パッと見ただけじゃ、ワイバーンって分からないかも。でも感じる気配はワイバーンだから、ワイバーンで間違いないって。


 僕はママに読んでもらった、魔獣の本を思い出します。ワイバーンって何色だったかな? 茶色と灰色が混ざった色だった? 灰色が濃い? でも今の飛んで行ったのは、黒と白色だったよ?

 

「ブルーノおじいちゃん」


「坊っちゃま!! そのまま動かずに!!」


「いまのがワイバーン?」


「はい。そのようです。ですが、普通のワイバーンと違うようなので、坊っちゃまはそのまま動かずにいてください」


 周りでいっぱい爆発音が聞こえて、時々とっても強い風が吹いてくるの。でも風が止まった時に、クタさんが僕の洋服を咥えて、小屋の端っこ、まだ少しだけお屋根が残っている所に、僕を連れて行ってくれました。


 それから様子を見て、ここから避難するって。ぐーちゃん達の方へ行くみたい。でもその後なかなか、僕達はぐーちゃんの方へ行けませんでした。ぜんぜん攻撃が止まらなくなって、物凄く強い風も止まらなくなっちゃったんだ。


 クタさんとブルーノおじいちゃんが、どうやって避難するかお話しします。その時でした。僕達のすぐ近くで爆発が起こって、僕が大丈夫だったんだけど、クタさんとブルーノおじいちゃんが飛ばされちゃったの。


「おじいちゃん!? くたさん!?」


「くっ……。坊っちゃま、お怪我は!?」


「ぼく、だいじょぶ!」


「クタはどうだ!?」


『ガウアウ!』


 良かった。クタさんも大丈夫だって。でもブルーノおじいちゃんが、大きな木の板に潰されちゃったんだ。急いでクタさんが板をどかしに行きます。ブルーノおじいちゃん、お怪我してないかな? どこか痛い?


 僕はクタさんおお邪魔はダメダメ。だって絶対に板を動かせないでしょう? だからその場から動かないで、クタさんを応援していました。でもその時。遠くから小さな声が聞こえたんだ。


『おにいちゃ!!』


『ちーちゃん!?』


 え? 僕は声が聞こえた方を見ます。小屋が壊れているから、お外がよく見えて。僕は声が聞こえた方を見ました。声は、まだお兄ちゃんモルー達を探していない、ちょっと向こうの壁の方から聞こえたよ。


『おにいちゃ!! こわいよぉ!!』


『大丈夫、お兄ちゃんが一緒だよ。ちーちゃん、大丈夫だからね!』


 お兄ちゃんモルーとちーちゃんの声? 聞き間違えじゃない? 僕はブルーノおじいちゃんのお話しを思い出します。遠くにいたのに魔獣さんの声が聞こえたって、ブルーノおじいちゃんは言ってたよね。


 それでさっき、この前の声は、もしかしたら僕がお兄ちゃんモルー達の声を聞いたのかもしれないって。


 声。遠くでも聞こえる声。昨日はこっちで聞こえた声。


『おにいちゃ!!』


『ちーちゃん!!』


 絶対に聞こえた!! お兄ちゃんモルーとちーちゃんの声だよ!! そこにいるの? 


 僕がその事をクタさんに言おうとした時でした。1匹のワイバーンがお兄ちゃんモルー達の声が聞こえた方に攻撃しちゃったんだ。僕ドキッ!! としちゃったよ。でもすぐにまたお兄ちゃんモルー達の声が聞こえて。怪我してないって言ったんだ。


 ふいぃ。僕はため息。早く、早くお兄ちゃんモルー達を助けなくちゃ。僕は急いでクタさんに言おうとします。

 でも今度はまた、僕達の方を攻撃されちゃって。ブルーノおじいちゃんの上に、また別の板が乗っちゃったんだ。クタさんが新しい板を急いでどかしてくれます。

 

 ダメ、クタさんはブルーノおじいちゃんを助けてくれてるんだもん。僕はお空を見ました。あっ!! ワイバーンがあっちに行った!! 

 ワイバーンがちょっと、お兄ちゃんモルー達から離れたんだ。今のうちに僕がお兄ちゃんモルー達を助けてあげなくちゃ。


 僕はお兄ちゃんモルー達の声が聞こえた方へ走り始めました。それでもう少しで壁の所に着きそうになった時、ワイバーンが戻って来ちゃったの。うんとね、シマウ達の攻撃で、こっちに飛ばされて来ちゃったんだ。


 それでお兄ちゃんモルー達の声が聞こえた、少し横の壁にぶつかって。あっ、ちょうどあそこの壁の所からお外に出られえる!!


 ワイバーンの攻撃は続いていたけど、僕は一生懸命壁まで走って壁の崩れている所から外へ出ました。ワイバーンはね、僕の方見なかったよ。シマウ達ばっかり見てたから。だから僕、壁まで走れたんだ。


 壁から出て周りをよく見ます。あ!! 草の所、お兄ちゃんモルー達を発見!! みんないる!! 良かったぁ。すぐにみんなの所へ行こうとします。でも……。

 ワイバーンが色々な所に攻撃を始めちゃって、ちーちゃんが飛ばされちゃったんだ。そんなちーちゃんをお兄ちゃんモルーが追いかけて。


 僕もお兄ちゃんモルー達に駆け寄ります。あっ!! ワイバーンが!! ワイバーンがシマウの攻撃でお兄ちゃんモルー達の方に飛ばされて。後少し、後少しで届くよ!! 僕はお兄ちゃんモルー達に手を伸ばして叫びました。


「モルーおにいちゃん!! ちーちゃん!!」


 2匹を手で掴んで僕は目をギュッと閉じました。 ワイバーンが僕にぶつかると思ったから。でも……。


『お前達は何をしているんだ!!』


 あれ?

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