52.ワイバーンの攻撃、魔獣さん達の攻撃
攻撃してきたって、誰かが言ったんだ。そうしたらちょっと遠くの方でボンッ!! って音がして。それから白い煙が、ちょっとだけモクモクって上がったの。
『ヒヒィー!!』
「ワイバーンがこげき?」
『ヒヒヒィー!!』
「たいへん!? こわれちゃった!? おけが!?」
『ヒヒィ、ヒヒヒィー!』
「ほんと? ふぅ、よかったぁ」
あのね今のは1番大きいシマウが、門の近い所にブブっていう、豚さんに似ている魔獣さんと。カピーっていう、カピパラさんに似ている魔獣さんの小屋があるんだけど。
そのブブさん達とカピーさん達の小屋に、ワイバーンが攻撃してきたって言ったの。あのボンッ!! ていう音は、攻撃の音だったんだ。
だから僕、小屋が壊れちゃって、ブブさん達とカピーさん達がお怪我しちゃった? って思ったんだけど。
ブブさん達とカピーさん達の近くに居る、ホワイトタイガーっていう、地球のホワイトタイガーと名前が同じで、体もそっくりの。だけど大きさが、地球のホワイトタイガーよりも2倍くらい大きい、ホワイトタイガーさん達が。
雷と雪の攻撃で、ワイバーンの攻撃に攻撃して、みんなを守ってくれて。だからみんな大丈夫だって。あのモクモク煙は小屋に攻撃が当たって出た煙じゃなくて、攻撃に攻撃が当たった時のモクモクだったの。ふぅ、良かったぁ。
それでワイバーンはその1回だけ攻撃で、また進み始めたみたい。どんどん魔獣園の真ん中の方へ向かっているって。
もう、攻撃はダメだよ! 誰かがお怪我しちゃったらどうするの!! みんなせっかくお怪我が治ったのに。早くパパ達の倒してもらわなくちゃ。
「パパきてくれるかなぁ」
『ガウアウ!』
「そかっ!!」
今パパ達は、僕達の方へ来てくれているって。お兄ちゃんモルー達を探してて、ちょっと遠くまで行っちゃってたから、少し遅くなっちゃうかもしれないけど。でもその間は魔獣さん達が、ホワイトタイガーさんみたいに守ってくれるって。
「さぁ、坊っちゃま、小屋の方へ。頼むぞお前達」
ブルーノおじいちゃんと一緒にシマウ達の小屋へ。小屋に入ったら、すぐに出たり入ったり出来るように、出入り口から1番近いシマウのお部屋を借りて、藁のうに座りました。
「ワイバーンがいなくなったら、すぐにおにいちゃんモルーたちさがす? こえきいたから、きっとちかくにいるもん」
「そうですね。なるべく早く、また探し始めたいですが」
「なんでワイバーンはきたのかなぁ? パパがワイバーンはちかくにいないっていってたの。みんなも。どこからきて、ごようじはなにかなぁ?」
『ガウアウ、ガウアァ、ガニョウ』
「こわすのがすきなの? ダメなんだぁ、ママにおこられちゃうよ。なんでもこうげきはダメなんだよ」
クタさんが、ワイバーンは攻撃と壊すことが大好きだって教えてくれたの。わざと壊すのはダメなんだよ。ママがと~っても怒るの。パパもとっても怒られるんだから。きっと今頃ママは、とっても怒ってるはず。
そうだ!! ママに怒ってもらえば、ワイバーン達はママが怖いって、帰ってくれるかも!! ママも来てくれないかな? 僕がそう言ったら、クタさんもブルーノおじいちゃんも困った顔をして、ちょっとだけ笑っていました。何で?
小屋に入ってから、時々ボンッ!! とか、バシィィィィッ!! とか、ドカーンッ!! って、いろんな音が聞こえて。音は魔獣さん達が戦ってくれてる音だったんだけど。その音が、僕達の右の方から聞こえていました。
さっきクタさんとブルーノおじいちゃんがお話ししていて。魔獣園に来ちゃったワイバーンは、普通のワイバーンよりも強いし。変な動きをしているから、なかなか魔獣さんの達の攻撃が、ワイバーンに当たらないって。
クタさんもこんな変なワイバーンは初めて会ったみたい。しかもその変なワイバーンが3匹もいるから、大変だって言っていました。でもまだ何も壊されてはいません。ちょっと道が壊れちゃったけど。
早くワイバーンいなくなってくれないかな?
*********
「遅かったな。それで向こうの様子は?」
「毎日決まった人間が出入りしている以外は、お前達がいた時と何も変わりはなかった。それと周りを詳しく調べてみたが、やはりそう簡単には入れないだろう」
「そうか。ならばあそこは後回しだ」
「待て。まだ話しは終わっていない。あそこにあのワイバーン達を置いてきた」
「あれをか? まだ生きていたのか?」
「ああ、ギリギリでな。それでさっき、奴らがあの力を使ったのを感じた。そしてその後、奴らが戦っているのも」
「まさか!? 成功したのか!?」
「成功と失敗だな」
「どういうことだ?」
「奴らの結界を無理やり潜り抜けたせいで、体の組織の半分以上が損傷を受けた。奴らだから即死はしていないが、俺達があの力を使った場合は即死だろう」
「はぁ、何だその報告は。それでは役に立たないではないか」
「おい、これは凄い成果なんだぞ。元々死が近かった奴らだ。だが、何もせずにそのまま死なれたら勿体ないだろう。それに体の組織の半分以上が損傷を受けたが、結界を達ことはできたんだ。これは俺達の研究が全て間違ってはいない、ということの証明になる」
「ふん。言い方を変えれば、たいして今までと変わらないって事だろう」
「入れたって事が大事だろう。まぁ、お前には分からないか」
まったく、これだから力で全てを解決しようとする奴は。今回の事がどれだけ俺達にとって大切な事なのか、まったく分かっていない。
まぁ、今は良い。だが、本当にこの力を手に入れられれば。お前も考えが変わるだろう。
それにまだだ。まだあの力が残っている。奴らは自分が長くない事を分かっている。そんな奴らが死ぬまでに何もやらないなんてことはない。あの力も使うはずだ。
くくくっ、魔獣園の奴らは驚くだろうな。これでエドガーかシャーナのどちらかを再起不能にでもできたら……。




