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50.モルーお兄ちゃん達達の声?

 みんなでこれからどうしようかお話しです。クタさんにも1度僕達の所に来てもらったよ。それで僕達はこれから、もう少し匂いが消えた場所と、シマウ達の小屋周り、他の魔獣さんの小屋周りを確かめてから。また壁の続きを歩くことのしました。


 もしかしたらまた、匂いが見つかるかもしれないもん。僕、諦めないで頑張って探すよ!! それから、もしかしたらみんな泣いているかもしれないでしょう? あとは助けて、ここだよって呼んでいるかも。

 だからどんなに小さい声でも、絶対に聞き逃さないように、それも頑張って聞くよ!! 耳の側でしか聞こえない声だけど、頑張る!!


 そう僕が言った時でした。1番大きなシマウが変な顔をしたんだ。それで『おや?』って言ったの。


「どしたの? もしかしてなにかきこえましたか!!」


『ヒヒヒィー』


 違うって。何だぁ、もしかしたら何か聞こえたのかと思ったよ。じゃあ、なぁに?


『ヒヒヒィ、ヒヒィー、ヒヒヒィー』


「何だ? 声に関して何かあるのか? それは何だ?」


 1番大きなシマウが、声で思い出した事があるって言ったんだ。思い出したこと? 1番大きなシマウが僕を見てきて、昨日の事を覚えているだろう? って。昨日のこと? 何かあったっけ? 


『ヒヒヒィ、ヒヒィー、ヒヒヒィ』


「それは本当か? 坊っちゃま? 何かの声をお聞きになったのですか?」


 声? 何の声だっけ?


『ヒヒヒィ、ヒヒィー、ヒヒヒィ!』


 1番大きなシマウが首を柵から出してきて、僕のお洋服の襟のところを咥えると。そのまま持ち上げてちょっとだけ反動をつけて、僕を壁の方へ向かせました。それで、昨日僕がみんなに餌をあげた時に変な声を聞いて、みんなで向こうを確認しただろう? って。


 あっ!! そうそう!! 声ね! うん、僕声を聞いたんだった。あれ? 聞いた? でもシマウ達は、みんな聞こえなくて、僕の聞き間違えだと思ったんだよ。


「坊っちゃま、どんな声でしたかな?」


「う~ん、ごめんなさい。あんまりおぼえてない。でも、ママとか、すぐにとか、きこえました。あとはうんと……」


 何て言っていたっけ? ほとんど聞こえなかったの。ううん、気のせいかもしれないし。


『ヒヒィー、ヒヒヒィー、ヒヒヒィ』


 僕が考えていてら1番大きなシマウが、僕が聞いたかもしれない声は。もしかしたらモルー達の声だったんじゃないかって。


 ええっー!! みんなの声!? だってみんなの声ならすぐに分かるよ。僕はみんなんとたくさんお話ししてるもん。


 それにとっても小さなモルーの声。これから頑張って聞きながら探すって思っていたけど。壁から今僕がいるシマウ達の柵の所までは、聞こえないでしょう? もう少し近くなら、聞こえるかもしれないけど。ここまでは無理だと思うんだ。


「いえ、もしかしたら、坊っちゃまは本当に、声をお聞きになられていたかもしれません」


 ブルーノおじいちゃんが、ちょっとビックリしている顔で、僕にお話しして来ました。ブルーノおじいちゃんは前に5回だけ、魔獣さんと特別な事がありました。


 ある日、突然声が聞こえて、でも周りには誰もいなくて、とっても不思議に思っていたブルーノおじいちゃん。変だなぁって思いながら街へ。

 そしてその街には、僕のお家みたいに、保護をしている魔獣さん達がいたんだけど。その仲の1匹の魔獣さんが別の魔獣さんとお話ししていて。


 そうしたらその魔獣さんの声が、さっき街に着く前に聞いた声と同じだったの。間違いかと思って、ずっと聞いていたんだけど、絶対に間違いなくて。ブルーノおじいちゃんはその魔獣さんに、さっき聞いた事をそのまま伝えました。


 そうしたら魔獣さんはビックリ。その話しをしていたって言ったんだ。だからブルーノおじいちゃんもビックリ。


 それからブルーノおじいちゃんは、遠くからでもお話しが分かる魔獣さん4匹と出会って。みんな家族になったんだよ。今もその魔獣さん達は、ブルーノおじいちゃんのお家で暮らしているんだって。


 どうして遠くからでも声が聞こえたか、ブルーノおじいちゃんも、魔獣さん達も結局分かりませんでした。でもそのおかげで出会う事ができて、そしてみんなと家族になれて、とっても嬉しかったって。


 それでブルーノおじいちゃんは遠く離れていても、魔獣さんの声が聞こえたでしょう。もしかしたら僕もブルーノおじいちゃんと一緒で、お兄ちゃんモルー達の声が、離れていても聞こえたかもしれないって。


 ふわわっ!? 僕、みんなの声聞いてた!? でもみんなの声知ってるのに、僕気づかなかった。それに声の聞こえた所まで行かなかった……。


「ぼく、みにいかなかった……。みんないたかも。それにこえ、きづかなかった……。どうしよう」

 

 昨日、僕がもっとよく調べていたら、みんなを見つけられたかもしれないのに。みんなごめんね、ごめんなさい!!


「ぼく、ごめんなさい……」


「いえ、これは坊っちゃまのせいではございません。坊っちゃまは分からなかったのですから良いのです。それに私も最初、遠くで話し声が聞こえた時は信じられませんでした。もしその魔獣に会うことがなければ、そのまま気のせいだろうと、坊っちゃまと同じ事を考えていたでしょう。だから良いのです」


「でも……」


『ヒヒヒィ、ヒヒヒィ、ヒヒヒヒヒィー!』


「ん?」


「そうです。このシマウの言う通りです。確かに初めてのことで、しかもシマウ達が気づかなかったのだから、誰のせいでもありません。それよりももし、本当に坊っちゃまが声をお聞きになられたのなら、ここまでモルー達が来たと言うこと。匂いは消えていますが、それでも新しい情報です!」


「あたらしい?」


「そうですよ。これでまた色々な探し方ができるかもしれません。ですから坊っちゃま、頑張ってモルー達を探しましょう!」


「いろいろさがせる? ……うん!! ぼくがんばる!!」


 そうだよ! 遠くのお兄ちゃんモルー達の声が聞こえるなら、また聞こえるかも。そうしたら今度はすぐに迎えに行ってあげられるよ!! 頑張らなくちゃ!!


 僕が片方の手をグーにしておーっ! ってやったら、リアも僕の頭の上で、翼を片方広げておーっ! ってしてるって、1番大きなシマウが教えてくれたよ。


 それで声が聞こえた方へみんなで歩いて行こうとしたんだけど、その瞬間でした。魔獣園の魔獣達が、一斉に鳴き始めたんだ。とっても怖い顔をして。

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