44.絶対にちーちゃんをお家に帰してあげるからね(お兄ちゃんモルー視点)
『ねぇ、おにいちゃ、きのみおいちいね!』
『うん! 美味しいね』
良かった、ちーちゃんが少し元気になってくれて。昨日までは泣いてたけど、今はご飯を食べて落ち着いたからかな。泣くのが止まって、いつもよりはニコニコじゃないけど、ちょっとニコニコしてるんだ。
僕達が迷子になってから、ここに来て2日くらい? 壁の所にいるんだけど、僕達壁の外に出ちゃったみたいなんだ。これでもし壁からどんどんも離れちゃったらダメって、ずっと僕達は同じ場所に居るの。
でも最初は壁に沿って、あっちに行ったり戻ってきたり、今度は反対の方へ進んでみたり。何とか壁の中に、魔獣園の中の入ろうとしたんだ。特別なお水を探しながら。
僕達、芋虫さんの泥に入っちゃって、くさ~い泥だらけになっちゃったの。臭くて気持ち悪くて、その辺の草を食べることもできなくて。それにぜんぜん、僕達の小屋に帰れなくて。ずっとちーちゃんは泣いていました。
でも昨日、誰かが魔獣園の中から水を撒いてくれて。僕達は急いでその水を浴びて、しっかり匂いを取ることができたの。
まだまだ泥だらけの体だったけど、でも匂いが取れて。僕達が歩いた所が臭かったから、また匂いがつかないようの気をつけて移動して、今いる場所まで来たんだ。
それでやっと僕達は、少しゆっくりできました。それまでずっと歩いていたから、とっても疲れていて。だからみんなで交代で寝ることに。半分ずつに分かれて寝ました。
そうすれば起きているお兄ちゃんモルー達の誰かが寝ちゃっても、誰かが起きていて、すぐに起こしてくれるでしょう?
その後はみんな眠て少し元気になったから、壁から離れないで、どこからか魔獣園の中へ入らないか、もう1回探すことに。
探し方は、探している間にバラバラになっちゃうといけないから、ここに何匹か残って。他のお兄ちゃんモルー達が壁に沿って進んで探すんだ。探し終わったら壁に沿って戻ってくるの。
これなら壁があるから迷子にならないし、戻ってきた場所に誰かが居てくれれば、行き過ぎちゃうこともなくて、それでも迷子にならない。僕達はすぐにこの方法で、壁の入れる場所を探し始めました。
これがバッチリ!! 中へ入れる場所はまだ見つかっていないけど、迷子にはなりませんでした。
そして探しているお兄ちゃんモルー以外は、壁の中に向かって、一生懸命壁の中に、呼びかけてみました。もしかしたら魔獣園の人達や魔獣達が気づいてくれるかもって。
ただこれはぜんぜんダメ。やっぱり僕達の声は小さいから、誰も気づいてくれないみたい。でもでもこれからも諦めないで、呼んでみるつもりです。
後、今食べている木の実は。誰かが壁の所じゃなくて。壁とは反対側のちょっと離れた所。向こうは林になっていて、木がいっぱい。
それでね、林に入る前の所に、木の実がたくさんなっていたんだ。僕達はよく食べる木の実で、とってもみずみずしいくて。お腹もいっぱいになるし、お水もこれで大丈夫なの。
探すのと呼ぶので、またまた疲れちゃった僕達。喉も乾いてぐたぁってしていたら、ちょうど良いって。僕達は実を取りに行くことにしたんだ。
林の中に入らないから迷子にならないはず。それに半分ずつ、果物を持ってくるモルーと、この場所で待つモルーに、さっきみたいに分かれれば良いよって。
木の実を持ってきてくれるモルー達が、林にはいらなくても、もしかしたら別の方向へ行っちゃうかもしれないからね。残っているモルー達が目印になれば、迷子にならないもん。
そうやって僕達は分かれて木の実を取ることに。そしてちゃんと実をとってくる事ができたんだ。それで今その木の実を食べているところです。
『おにいちゃ、いっぱいたべちぇる?』
『うん、食べてるよ』
『えへへ、おいちいねぇ』
『さて、これを食べ終わったら、もう少し取ってこよう。それでいつでも食べられるようにしておこう』
『うん。取ってもすぐに腐らないもんね』
『ずっと新鮮なまんま』
『いちいち取りに行ってたら、もしかしたら迷子になるかもしれないからな』
『その後はまた順番に、どこか入れないか探しに行く?』
『探しに行くけど、もう少し休んでからだな。みんなまだ疲れてるから、もう少しだけ休んだら探そう。それで暗くなってきたら、探すのは中止。暗くて迷子になるといけないからな』
『『『うん!!』』』
今僕達はどの辺に居るんだろう? 壁から離れていないから、中は魔獣園で間違いなし。だって魔獣達の声も聞こえるし。最初に止まった所だと、シマウ達の声が聞こえたっけ。今も聞こえるけど、最初よりは遠くに聞こえる。
後はちょっと遠い方から、サーイ達の声も聞こえるし。あれ? でもそういえば、みんなで芋虫さんの泥の匂いと迷子でふらふらしていた時に、サーイ達が芋虫さんと話していた気がするよね。それにお水をかけてもらった所は、サーイ達の声が近かったし。
僕達のお家は、サーイの声が聞こえる所だから、もうちょっと戻らないとダメ? でも戻ったらまた臭くなっちゃうかもしれないし。でもでも、僕達はその辺からお外に出た? ん? なんか分からなくなっちゃった。
『ごちそ、しゃまでちた!!』
『うん、ご馳走様!! お腹いっぱい?』
『うん!!』
『じゃあ、お兄ちゃんが側にいるから、いつでも寝て良いからね』
『うん!! おいにいちゃ、いっちょいてね』
『絶対に一緒にいるよ』
少ししてちーちゃんがスゥスゥ寝始めて、1番お兄ちゃんが、僕にも今のうちに寝てろって。ちーちゃんが寝ているうちにね。だからすぐに僕も寝たんだ。
このままずっと帰れなかったらどうしよう。なんとかちーちゃんだけでも、小屋に帰れないかな。僕はそれだけで良いんだ。
お父さん達心配してるだろうなぁ。ちーちゃんは絶対に僕が守るからね!! それからちーちゃんが小屋に帰れたら、怒らないでね。
ちーちゃんずっと、いっぱい泣いてたんだ。だから怒られてもっと泣いちゃったら、体からお水がなくなっちゃうかも。
ちーちゃん、お兄ちゃん頑張って、ちーちゃんを小屋に帰してあげるからね!!




