43.またまた問題発生、外にまで特別なお水!?
『ガウアウ』
「なにもにおいない?」
『ガウアウア』
「そか……」
『ガウニャア!』
「うん!! ぼくもにおいわかんないけど、さがず!!」
道のお掃除が終わった所まで歩いて来た僕達。でもクタさんは、それ以上先の道にも、芋虫さんのくさ~い泥の匂いはしないって。だから僕、ちょっとしょんぼり、そかって言ったら。この辺んを全部調べれみるって。
クタさんはずっと匂いを嗅いで頑張ってる。だから僕もしょんぼりをやめて、頑張ってお兄ちゃんモルー達を探さなくちゃ。
僕は匂いは分からないから、足跡がないか、毛が落ちていないか探すことにしました。それで途中まで、ずっとしゃがんだまま前に進んでいたんだけど。
僕は昨日のことを考えていました。シマウ達と遊んで、その後はお兄ちゃんモルー達のニニンを掘って。そのまま持って行ってあげれば、昨日からすぐに探してあげられたのにって。
だって居なくなってから、2回も夜になっちゃったんだもん。ご飯は……、うん、その辺の草を食べれば大丈夫なはず。でもその他のことでずっと泣いたまま、どこかで小さくなっているかも。迷子だし、身体中芋虫さんのくさ~い泥の匂いだし。
僕もきっと迷子になったら、ご飯はパパとママに教えてもらった、食べられる草を食べれば良いけど、寂しくて芋虫さんのくさ~い泥だらけだったら、絶対泣いちゃうよ。あっ、でも。くさ~い泥の匂いでここまで来られたから、やっぱり泥はいるのかな?
「坊っちゃま、泥の匂いがなくとも、坊っちゃまの匂いで探す事ができますよ。今回は泥の匂いの方が強いので、泥の匂いを追って来たのです。ですが、泥の匂いがするまでは、モルーの匂いを探してきたでしょう?」
あっ! そっか!! ん? なんでブルーノおじいちゃん、僕の考えていたら事分かるの?
「坊っちゃま、口の出しておられましたよ。1人でお話しをしながら探しておりました」
僕、考えていたんじゃなくて、独り言で言っちゃってたもたい。ブルーノおじいちゃん、魔獣さん達の言葉だけじゃなくて、僕達の考えている事も分かるのかなって思っちゃったよ。
「くしゃ~い、どろんこにならなくても、だいじょぶ」
「ほほほ、そうですね。ですが、なるべく迷子にはならないよう、お気をつけくださいね」
それからもいっぱい探した僕達。でも僕は何も見つけられませんでした。う~ん、みんなどこに行っちゃったのかなぁ。
『ピピピッ!!』
僕が別の場所を探そうとした時、リアが帰って来たよ。お手紙を持って帰って来てくれて、そのお手紙には、別の場所で探している人達が、すぐにこっちに来て探してくるって書いてありました。
良かったぁ、これでもっと色々な場所を探せるから、もしかしたらすぐにお兄ちゃんモルー達見つかるかも。
そう思って僕ね、ちょっと元気になったんだ。だけどまたまたダメダメな事が判明したんだよ。僕達は魔獣さん達の小屋の周りを探していて。クタさんはもちろん魔獣さんの小屋から、ずっと、匂いを探していました。
えっと、魔獣さんの小屋から道をまっすぐ進んで、お掃除が終わった場所よりも、もう少しだけ進んで。
でも何も匂いが見つからないと、そのままクルッと反対に。それで少しずれて、またまた真っ直ぐに道を進みながら、魔獣さんの小屋の方へ戻って来て。それの繰り返しで外壁の方へ進んで行ったんだ。
でもぜんぜん匂いが見つからなかったの。だからもしかしたら、壁の外にも出ちゃってるかもしれないから、壁に上がって、お外の匂いも嗅いでくれたクタさん。そうしたら大変な事が分かって。
外にも芋虫さんの泥の匂いを消す、特別なお水が撒かれていたみたい。僕には分からないけれど、クタさんや他の魔獣さんは、あの特別なお水の匂いが分かって。だから壁のお外にもお水が撒かれている事が分かったんだ。
『ガウアウ、ガアウ』
「そうか。そこまで水を撒いているということは、水を撒いた者が、外からも匂いがしていたことに気づいたのか。それとも用心のための撒いたのか。ここに来た者が誰なか聞いてみよう」
『ガアウ、ガニョウ!』
「ああ、それも分かっている。壁の外に出ていたと考えて、外もきちんと探す。だがそれには旦那様の許可を取らなくては。確か先程の手紙に、旦那様がことらに来られると。許可を頂き次第、外を探してみよう」
どうしよう!! パパ、早く来て!! もしかしたらみんながお外に出ちゃったかもしれないの。この壁の周りの匂いは消えていても、他の匂いは残っていたら。みんなでその匂いを見つけて、それでまた探せるでしょう?
でも魔獣さん達が外に出て匂いを探すには。壁のお外に出るには、パパに聞いて、パパが良いよって言わないとダメなんだ。時々魔獣さん達はお外に出る事があるんだけど、みんなちゃんと、パパに聞いてから出ているんだよ。それから魔獣園の人も一緒じゃないとダメなんだ。
リアが持って帰って来てくれたお手紙に、パパ達が今から僕達の所に来るって書いてあったから。パパが来たらすぐにお外にで良いか聞いて、早く探さなくちゃ!!
パパ達が来るまでに、ブルーノおじいちゃんはサーイさん達に、特別なお水を巻いてくれた人が、誰だったか聞きます。
『グオォ?』
『グオォォォ』
『グオォ、グオォォォ』
今のはね、名前は何て言ったか? 我々はいつも特徴で呼んでいるからな。名前は聞いたけど覚えていない。だって。
「では、名ではなく、いつも呼んでいる特徴を教えてくれれば良い」
『『『グオォォォォォォ!!』』』
サーイさん達の声が綺麗に重なったよ。えっと、『カッコつけ振られ男』だって。ん? カッコつけ? 振られた男? どういう事? いつも来ているお洋服とか、かぶっている帽子とかで呼んでるんじゃないの? それか、ニックネーム?
僕はお名前はつけないけど、仲良しウササとかグーちゃんとかグリちゃんとか、後はクタさんとか、みんなそんな感じで呼んでいるでしょう? でも今のサーイさん達のは、『カッコつけ振られ男』? だったよ。
「ああ、あいつか」
あれぇ? ブルーノおじいちゃんは分かったみたい。なんで分かるの?