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42.綺麗にするのはとっても大事、でも……

「におい、ない!? きれいにない!?」


「坊っちゃま落ち着いてください。今、詳しく話しを聞いて、掃除が終わったと思われる場所で匂いを探しますから」


 ブルーノおじいちゃんとクタさんが、サーイさんから詳しくお話しを聞きます。サーイさん達はモルーお兄ちゃん達がいなくなった日の夜、どこからともなく漂ってきた臭い匂いで目を覚ましました。他の周りの魔獣さん達も気づいて目が覚めたみたい。


 それでその臭い匂いが何か、すぐに気がついたサーイさん達。独特の匂いだから、すぐに芋虫さんのくさ~い泥の匂いって気づいたんだって。

 それでこれだけ匂いがするんだから、芋虫さんが近くに泥を作り始めたと思って。小屋の中から注意しました。この近くに泥を作るなって。


 でも芋虫さんからお返事はなくて。おかしいと思ったサーイさん達。小屋の中の1番端っこで寝ていたサーイさんが、外を確認しようと思ったんだけど。今みたいに広い柵の中じゃなくて、小屋の中からだったから、やっぱりお外が見えなかったみたい。


 それで仕方なく、もう1回だけ注意して、みんな匂いが気になったけど、そのままもう1回寝ることに。


 そして昨日の朝起きると、まだ臭い匂いがしていて。もしかして注意を聞かないで泥を作った? 小屋から出たサーイさん達、そして周りの魔獣さん達は広い柵の中へ出てくると、すぐに芋虫さんに注意しようとしました。でもどこを見ても芋虫さんも臭~い泥もなくて。


 不思議に思ったサーイさん達。みんなで声を掛け合って、周りを詳しく確認したんだ。そうしたら、匂いは僕達が今、来た道からするって気がつきました。


 もしかしたら芋虫さんが夜のサーイさん達のお話しをちゃんと聞いていて、移動してくれたけど。でもほんの少しだけどこかに、ほんのちょっとだけ泥を作り始めちゃっていて。

 例えば小屋の本当にスレスレの見えにくい場所とか、どこかの花壇のすみとか。それだとサーイさん達がいくら広い柵の中にいても見えないから。


 そのちょっと作っちゃった臭い泥を、芋虫さんが体につけたまま移動した。だから道に匂いが付いて、そのせいで臭いんじゃないか。サーイさん達も、周りの魔獣さん達も、そう考えがまとまりました。


 それで本当はすぐにでも、魔獣園で働いている人に、特別なお水を巻いてもらおうと思ったサーイさん達。ただ働いている人が来るのは今日の予定で。だからサーイさん達は少しだけ我慢しようと思ったんだ。


 だけどやっぱり、どうしても我慢できなくなって。仕方なく働いている人を呼ぶことに。サーイさん達と他の魔獣さん達は、みんんで大きな声で鳴いて、その声を聞きつけた働いている人が、すぐのサーイさん達の所へ来てくれました。


 そして来てくれた人も、すぐに芋虫さんのくさ~い泥の匂いに気づいて、道と周りに特別な水を撒いてくれたんだ。でも気になる所全部に水を撒くには、特別な水が足りないし、1人じゃ無理って。


 とりあえず魔獣さん達の小屋と、近くの道はしっかりと撒いてくれてね。他はもう少し歩いていくと、魔獣さん達の小屋がない場所に着くから、そこまで特別な水を撒くことに。


 次の魔獣さん達の小屋が建っている場所まで遠いから、匂いが途切れていればそれで良いし。もし向こうの魔獣さん達の方まで匂いが続いていても、向こうの魔獣さん達の方ではその日、お掃除予定だったから。そのお掃除の人達が、匂い消しをしてくれるはず。だから問題なって。


 来てくれた人は本当に綺麗に水を撒いてくれて、匂いを消してくれたんだ。だから昨日はゆっくり寝られたんだけど……。


「そんなぁ!?」

 

『ガウガア』


『グオォォォ』


「そうか、見ていないか。声も聞いていないと」


「なにもおはなし、してなかった?」


『ガウニャア』


「こえきこえない?」


「坊っちゃま、モルーの声はとても小さいのですよ。いつも遊んでおられる時も、ほとんど聞こえないでしょう?」


「うん、おみみのちかくに、おにいちゃんモルーたち、ちかずけないと、きこえない」


「モルーの1番大きな声は、いつも坊っちゃまが聞いている声より、ちょっと大きいだけなのですよ。だから離れているとぜんぜん聞こえないのです」


「おおきいこえ!? ちいさいこえ!? ぜんぜんだね!!」


 お兄ちゃんモルー達とお話しする時は、いつも耳元でお話ししてもらうの。ぜんぜん聞こえないから。パパ達も声が小さいからって言ってたし。僕ね、小さな声でお話しするの、わざとだと思ってたんだ。本当はもっともっと大きな声でお話しできるって。


 でも1番大きな声が、いつもの声をちょっとだけ大きな声なら、ぜんぜん聞こえないよ。だからもし、サーイさん達に何かお話していても、サーイさん達も気づかない。


 どうしよう、どうしよう。匂いも消えちゃって、声も聞こえなくて、それから誰もお兄ちゃんモルー達を見ていなくて。


「とりあえず、匂いを消した所まで行ってみましょう」


「うん!」


 僕達はお話してくれたサーイさん達にありがとうをして、お掃除が終わった所まで歩いて行きました。その途中でも、もしかしたら誰かが何かを見たり、何かを聞いたりしているかもしれないから、魔獣さん達に何か知りませんか? って聞きながら歩いたんだ。


 それともう1つ。リアにまたまたお手紙を届けてもらいました。こっちに歩いてきたことは確かだから、ぜんぜん違う方を探している人達に、こっちへ来てくださいってお手紙だよ。


『ピピピッ!!』


 今のは、しっかり届けるからね!! って。そう言ってリアがフッ!! と消えました。でも次の瞬間、近くの魔獣さんの小屋の壁でバシッ!! って音がして、ポトッとリアが落ちたんだ。リア、またぶつかっちゃったの。


「リア!?」


『ピピピ……』


 また失敗しちゃったって。困った顔で笑った後、飛んで行ったよ。リア、お願いね。みんなで探さないといけないから、みんなを呼ばなくちゃ。


「まったく、やはり今の捜査が終わったら注意しなければ」

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