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39.くさ〜い泥と芋虫さん

「ありゃあ~」


「これだけ広い泥は初めてですかな」


「うん、1ばんひりょい」


 僕の目の前には、とってもとっても広い泥が広がっていました。普通のタート達と遊ぶ泥じゃないよ。くさ~い泥を作っちゃう、あの芋虫さんの泥なんだよ。

 僕ねこんなに広い広い臭い泥を見たのは初めてです。今まで1番広かったのは、ママのお薬を作るお家の裏にできちゃった臭い泥。僕がすっぽり2人入っちゃうくらいの臭い泥でした。


 でも今僕の前にある臭い泥は、それの何倍も広い臭い泥だったんだ。だからあんまりにも臭くて、ミニミニ森の外までくさ~い匂いがして、僕達も臭くなっちゃったんだよ。


「ぼっちゃま、大丈夫ですかな? 私達はもう少しここで調べますが、坊っちゃまはどうしますか?」


「だ、だじゃぶ! がんばりゅ!!」


 広い広いくさ~い泥を踏まないように、それから匂いを我慢して、僕達はくさ~い泥と泥の周りを調べ始めました。クタさん、とっても大変そうだったよ。たぶんポケットに完璧に入っちゃっていて姿は見えないけど、リアも大変だったと思うんだ。


 だってみんな僕やブルーノおじいちゃんよりも、匂いを嗅いじゃうんだもん。それなのに我慢して頑張ってくれてる。そうだ!! 後でパパにお願いして、特別ご飯を用意してもらおう。捜査を手伝ってくれたみんなにも。


 パパもママも、何か良いことがあった時に、魔獣さん達に特別ご飯をあげるんだよ。ご飯がいつもよりも豪華になったり、山盛りになったり。魔獣さん達はご飯が特別だと、とっても喜んでくれるんだ。こんなに大変だったんだもん。特別ご飯が良いよ!!


 そっとそっと歩いて、でも泥に変な所はありません。あっ!! あそこに芋虫さんがいる!! とっても大きい!! だからこれだけくさ~い泥が広いのかなぁ。もうすぐ綺麗な蝶々さんになるけど、やっぱりこの泥、やめた方は良いんじゃない?


「何かあるか?」


『ガウガァ』


「そうか」


 今のは、まだ何も見つからない、だよ。うん僕もまだ何も見つからない。本当にお兄ちゃんモルー達はここに来たのかな? もしかしてあんまり臭くて、その臭さのせいで、その辺で倒れてる?


 なんて考えていた時でした。今見つけた芋虫さんが、僕の方へ近づいてきたんだ。うん、やっぱり大きい。僕の手よりも大きいよ。


 それで芋虫さんは僕の前まで来て止まると、頭を上げてゆらゆら揺れてね。ゆらゆら、そっちにゆらゆら、あっちにゆらゆら。縦にゆらゆら、横にゆらゆら。う~ん、何かなぁ? どうしたの芋虫さん。


『ガウガウアァ』


「ふぁ!? クタしゃん、ことばわかりゅ!?」


『ギャウニャウ』


 あのね、クタさんは芋虫さんの言葉が分かるんだって。僕ビックリ。僕は魔獣さんの言葉はなんとなく分かるけど、芋虫さんや虫さんの言葉は分からないんだ。凄いねぇクタさん。でも芋虫さん声出てる? 僕聞こえないよ?


「こえきこえりゅ?」


『ガアゥ!!』


 ふ~ん。人には小さすぎて聞こえないって。じゃあ、言葉が分かっても、聞こえないんじゃダメだね。


 それで芋虫さんが何て言っているのか。なんかね、僕達にお話があるんだって。みんなが僕達の所へ集まってきて、芋虫さんのお話しを聞きます。でも、僕とブルーノおじいちゃんは分からないから、とりあえずクタさんに話しを聞いてもらうことに。


 クタさんは、本当か!? いつ頃だ? 何匹くらい居た? ここでそんな事が? 良いのか悪いのか分からないな。なんて色々な事を言っていました。それからビックリのはお顔や、焦っているお顔、困っているお顔に、いやそ~なお顔をしたんだ。何で嫌な顔?


 でもお話が終わった時は、この臭い場所で少しだけ笑ったクタさん。


『ガウガァ!! ガウニャア!!」


「ほんちょ!?」


「やはりここに来ていた、それで間違いはなかったようですね」


 お兄ちゃんモルー達がいなくなった日。芋虫さんはここで夜食の泥を食べていました。でも途中で魔獣さんの匂いがして、急いで泥の中に隠れた芋虫さん。泥の中から目だけ出して、周りを警戒する事に。


 そうしたらすぐに小さな丸っこい魔獣さんが現れて。襲われたらどうしようと思っていた芋虫さん。でも襲われませんでした。それに見た感じ、怖い魔獣さんじゃなかったって。その魔獣さん、泣いていたみたい。


 ずっと泣いている魔獣さんに、芋虫さんはとっても心配になったんだけど近づけなくて。でも少しして、また魔獣さんの匂いが。芋虫さん、臭い泥の中からよく遠くからの匂いが分かるね。


 また誰か来た!! 泣いている魔獣さん大丈夫!? 襲われる!? 慌てた芋虫さん。でも泣いている魔獣さんは襲われませんでした。

 泣いている魔獣さんは後から来た魔獣さんを見ると、もっと泣き始めて、でもとっても喜びながら、後から来た魔獣さんの方へ走り始めて。泥の中を走りながら、途中で転んで泥だらけになりながらね。後から来た魔獣さん達も同じだったみたい。


 そうして泥の上でお互いが合うと、後から来た魔獣さん達は、何匹も居たみたいなんだけど。その魔獣さん達が、何で僕の側から離れちゃったの? どうして勝手に動いたんだ! もし俺達がこっちに来なかったらどうするつもりだったんだよ。って、色々言ったって。


 そうしたら最初の来た魔獣さんが、ごめんなさい。ボールが転がって取りに行って、穴を見つけて出ちゃったら、戻れなくなっちゃった。って泣きながら説明したって。


 ボール? 穴? そういえばあの10円玉の穴、あの穴の近くにボールが落ちていたような? もしかして……。他にも何か言っていたか聞くクタさん。


『ガウニャア』


 うんうん頷いたクタさん。どう? 何か他に分かった?


『ガアウニャァ、ガウニャア、グルルルル』


 本当!? 間違いない!? 僕は何回も同じ事をクタさんに聞いちゃいました。だってね、クタさん、じゃなくて芋虫さん。とっても大切な事を言ったんだ。

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