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32.事件発生!! お兄ちゃんモルーとちーちゃんはどこ!?

「アルフ、何を言っているんだ? パパ達は忙しいから……」


「だから、パパまちがいだよ!! あなからでたけど、あなからでられなくて、みんなでいっしょうけんめい、あなからでようとしたの!!」


「だから、何を言っていると……」


「隊長、待ってください。もしかすると穴ってことは、この穴について、何か言いたいことがあるんじゃ? アルフ、ゆっくり話してくれ。慌てずにゆっくりだ」


 慌てない? ゆっくり? ダメダメ、大変で、急いでお話ししなくちゃいけないんだよ。


「えとえと、あなからでたけど、あなからでられなくて……」


「あ~、俺の聞き方が間違ってたな。1つずつ聞いていくから、それに答えてくれ。良いか? まず穴から出たけどって、穴から誰かが出たのか?」


「あのねあのね!! あなからおにいちゃんモルーと、ちーちゃんと、それからちいさいモルーがでちゃったって!!」


「何だって!? それはいつの事だ!! それで出でいけないっていうのは……」


「隊長、その聞き方じゃあ、また話しが進まなくなるから、少し静かにしててくれ」


「むっ、わ、分かった」


「それで、いつ出て行ったか分かるか?」


「えと、えと、きょうじゃなくてきのう? 1にちまえ」


「なるほどな……。それで出て行ったのは、絶対なのか?」


 ライアンおじさんの質問に、今お父さんモルーから聞いた話しを思い出しながら話します。でも慌てちゃってたから、覚えていない事もあったり、さっき聞いていない事もあって。それはその場でお父さんモルーに聞きながら答えました。


「そうか、それでみんなであの穴の周りに。で、俺達が来たことに気づかなかったと」


 お父さんモルー達の話し、とっても大変なことでした。お兄ちゃんモルーとちーちゃん、それから他の子モルーが何匹か、居ない事に気づいたらお父さんモルー達。それでみんなで急いで探したら、あの端っこの穴を見つけました。


 いつから空いていたか分からない穴。とっても小さい穴だから、大人モルーは通れないんだけど。でも子モルー達は大人モルー達よりも、とってもとっても小さいから。あの穴から出たんじゃないかって。


 でも穴が空いていても、本当に外に出たのか。もしかしたらまだ小屋のどこかに居て、お父さんモルー達が気づいていないだけかもって思って。お父さんモルー達はいっぱい小屋の中を探したんだよ。だけど……。


 穴に1番お兄ちゃんモルーの毛が付いていたんだ。だからやっぱり穴から1番お兄ちゃんモルーは出ていて、居ない子モルー達もお兄ちゃんにに付いて行ったんじゃって。

 

 そう確信したお父さんモルー達は、外に助けを求めました。だけどモルー達はとっても声が小さいからね。他の魔獣さん達や、他のこの魔獣園で働いている人達には声が届かなくて。でも今までは頑張って助けを呼んでいたんだよ。


 それから自分達でもできる事をって。何とか穴を広げて自分達も外へ出て、子モルー達を探しに行こうとしました。だから穴に気づいてから、ずっと穴を齧って広げていたみたいです

 だけど小屋に使っている木は、とっても硬いオーリオの木だから、なかなか穴は広がりませんでした。


 でも今さっき、少しだけ穴が広がったんだ。それでみんな嬉しくて穴の周りに集まって。もっと穴が開くように、みんなで木を齧っているモルーを応援していたの。

 だからそっちにみんなが集中しちゃっていて、僕達がここへ来たことに気づきませんでした。みんな僕を見てこなかったのも、集まってこなかったのも、穴に集中していたからだったんだね。


「まさか、そんな事が。だがしかし、アルフの話しだからな。本当にモルー達がそう言っているかは」


「パパ!! ほんと!! ちーちゃんたちいなくなった!! はやくさがさないとダメ!!」


「しかし……」


「ほんとにいなくなったの!! はやくさがす!!」


「隊長、モルー達がいないのは確かだ。他から魔獣が侵入した形跡もないし。もし入られていたとしても、そして子供達が襲われたとしても。毛も血も何も痕跡が残らないのは」


「確かにそうだな。少しの痕跡もないからな」


「それに。隊長はほぼ毎日見てるだろう、アルフが魔獣達と話している姿を。アルフはたぶんと言っているが、俺達から見たアルフは、本当に魔獣達と話しているように見える。……たぶんだとしても、半分以上アルフの言っていることはあっているんじゃと」


「……」


「勿論言葉が分かるなんて、そんなことは絶対にないと思うけどな。ただアルフは魔獣達との距離が、俺達とはぜんぜん違うだろう? やたらと魔獣に愛されている。そん魔獣達と生活するうちに、少しの表情や仕草の変化で。魔獣達が何を言いたいか、感じ取っているんじゃないかって、そう思っているんだ」


 パパ達のお話が止まりません。僕もモルー達もドキドキしてパパ達を待っているよ。早く探さないといけないけど、パパ達がちゃんと分かってくれて、みんなで探してもらわなきゃ。だって探してくれる人が多い方が、早くちーちゃん達が見つかるかも。もちろんパパが探さんくても僕は探すよ。


「もしもアルフの言っていることが本当だったら、今から探せば、もしかしたら間に合うかもしれないぞ」


「……そうだな。いつもアルフは、魔獣の話しをしているからな。この前のコケコのこともあるし、普段の魔獣達のアルフに対する行動もな。ここの穴の事は他の者に任せるて、子供達が出て行ってしまったと考え、動いた方が良いだろう。よし!!」


 良かった!! パパ達がちーちゃん達を探してくれるみたい。モルー達の顔もちょっとだけ安心した顔になったよ。


 お兄ちゃんモルー、ちーちゃん、他の子モルー、待っててね!! すぐに探してあげるからね。それでみんなで帰ってこようね!!

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