99.発表会は大成功? ん? でも雨が?
『頑張れー!!』
『あと少しだぞ!!』
『そのまま、そのまま!!』
『しっかり体勢を整えて!!』
「……どう見ても雨乞いだろう」
腰をフリフリ、クネクネ歩きと、ガッツポーズと足ピッ!! の発表が始まって、どのくらい経ったかな? 僕達は今、柵の半分を行進し終わって、半分だけじゃなくて、残りあと15歩くらいの所まで進んでいます。
僕達ここまで、ぜんぜん失敗しないで歩いてこれたんだよ。誰も間違えずに、よろよろせずに転ばずに、ずっとずっと。
でもあとちょっとだけど、みんなとっても疲れているみたい。僕は……、うん疲れてます。半分まではとっても元気だったんだけど、そのあとはどんどん疲れてきちゃったんだ。足も腕もなんかパンパンって感じ。それに息がはぁはぁ。
ミル君と他のみんなも一緒。時々疲れたねぇ、でも頑張る、腕と足がピクピクしてるなんて、お話しが聞こえてきて。お兄ちゃんモルーもちーちゃんに大丈夫か聞いていました。ちーちゃんもゼェゼェしてたから。だから疲れたら途中でやめても良いよって。
でもちーちゃんは最後まで頑張るって。ガッツポーズしながらフンッ!! って気合いを入れて。ゼェゼェしてるままだったけど、ずっと行進を続けてたんだ。
そんなちーちゃんを見て、みんなも僕ももう1回気合いを入れて、ここまで頑張って行進してきたよ。だって1番小さなちーちゃんが頑張ってるんだもん。僕達も頑張らなくちゃ!!
「みんな、あとすこし!!」
『最後まで頑張ろう!!』
『10歩ずつだったけど、あと15歩くらいだから、最初に5歩で止まろう!』
『うん、それが良いかも!』
『最後は10歩! みんな良い!?』
『ちーちゃん、最初は5歩だよ、それで最後が10歩、いい?』
『うん!! ちーちゃ、がんばりゅ!!』
みんなでピッタリ5歩歩いて止まった僕達。しっつかりガッツポーズと足ピッをしてから、最後10歩は歩く前にみんなで『おー!!』ってして気合いを入れました。そうして……。
「こうしん、さいご!! しゅっぱつ!!」
みんなで最後の10歩を歩き始めます。ちゃんと歩いている最中のポーズも忘れずに、僕は今までの全部のポーズをしてみました。腰に手を付けたり、頭を触ったり、色々なポーズ。途中でフラッとしそうになったけど何とか我慢したよ。
そしてついに10歩目。誰も倒れる事なく、僕達は終点につくことができたんだ。あとはガッツポーズと足ピッだけです。
みんな同時にポーズをします。でも最後の最後でした。ちーちゃんがよろっと倒れそうになっちゃったの。僕もみんなも『あっ!?』って言っちゃいました。ちーちゃんここまで頑張ったのに! 最後なのに! って。
その時でした。お兄ちゃんモルーがくるっと1回転。勢いをつけたまま、小さい足を伸ばしてちーちゃんを軽く蹴って、ちーちゃんをまっすぐに戻したんだ。そうしてちーちゃんはすぐにガッツポーズと足ピッをして。
僕もみんなもふぃ~ってため息です。良かったねちーちゃん、お兄ちゃんモルーには心の中で拍手。あんな凄い早い動きができるなんて凄い凄い!!
お兄ちゃんモルーが凄い動きをしてくれて、僕達は全員最後までしっかりポーズをすることができました。そしてポーズが終わると、普通に歩いて僕達は小屋の前に整列。それで最後全員でお辞儀をしたよ。
「これで、はっぴょうおわります!!」
その途端みんなが拍手してくれます。
『みんな凄いぞー!!』
『完璧だったわ!!』
『しっかり求愛……、じゃなかった、面白い格好の行進になってたぞ!!』
『やっぱり私の求愛が最高だったから、ここまで素晴らしい行進ができたのよね。アルフ、やっぱりあなた最高よ!!』
『何言ってるのよぉ!! あたしのが最高だから、みんなあたしを目標に練習してくれたのよぉ。アルフもみんなも、あたしの真似をしてくれてありがとうぉ!!』
『何ですって!!』
『何ようぉ!!』
『だから止めろって言ってるだろう!!』
『アルフ達の素晴らしい発表を台無しにするつもりか!!』
僕達の周りにみんなが集まります。それで頭を撫でてもらったり、近くで拍手してもらったり。あれ? そういえばパパとママ、グーちゃん達とコケコおじさんは?
「どう見てもあれは雨乞いの踊りだろう」
「雨乞いじゃないわよ。あの子達にとっては面白行進で、そかも大成功じゃない」
「いや、前にどこかの村で見たことがあったが、その雨乞いの踊りにそっくりだぞ」
『確かのそうも見えるかもしれないな。奴らの求愛ダンスを真似て頑張っていたが、どうにもアルフ達がやると迫力がな。まぁ、アルフ達は気に入っているし、最後までやりきって良い笑顔だから良いじゃないか。奴らもその辺関係なく喜んでいるし』
「……と申しております」
「そうか。俺にはどうにもこうにも、雨乞い踊りにしか見えないが。まさかこのあと雨が降ってきたりしてな」
「まさかそんなこと」
『いや、ちょっと待て、空を見てみろ。雲行きが怪しくなってきた』
「……だそうですが。なるほどいつの間にか雲が」
ポツ、ポツ……。
「嫌だは、本当に降ってきたわね。アルフ! みんなもとりあえず小屋に入りましょう!!」
ママが僕達を呼んで、僕がママの方を見たら、ポツポツって雨が降ってきました。わわっ!! 大変、カッコいい可愛い格好をしてるのに、濡れたら大変だよ!!
僕達は急いで小屋に入ります。その後どんどん強くなった雨。あんまり強い雨が降ってきたから、僕達は少しの間小屋から出られなくなっちゃったんだ。
「やっぱり雨乞いだろう」




