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6.探り

「逆に、お二人の能力はどのようなものなのですか??」

隈本一帆(くまもとかずほ)に問われ、

「アタシのは〝30秒だけ武器を出せる〟つースキルだ。」

「アタシが知っている物に限られんのと、同じ武器は一日で二回以上は出現させられねぇんだけど…、マシンガンやランチャーとかも扱えんだぜ。」

「さっきは、カズホが〝接近戦タイプ〟ってことで、巻き添えになんねぇように控えたけどな。」

緋島早梨衣(ひしまさりい)が笑顔で答えた。

これに、

「ボクのは、10人までを5Mの高さに浮上させる能力だよ。」

「ただし、半径20Mの範囲内でしか発揮できないけどね。」

「あと、オーバーヒートしたくないから、あんまりスキルは使いたくない。」

意川敏矢(いかわとしや)が脱力した感じで続いたのである。

「緋島さんは地面を踏むのと、意川さんは両手を突き出すのが、発動条件という事でしょうか?」

一帆が新たに尋ねたら、

「ああ、そうだ。」

「で??」

「カズホの場合は?」

「アタシ、見てなかったんだけど。」

緋島に質問で返されたのである。

「あ、はい。」

「私のは、〝自分の拳を合わせる〟のが条件です。」

そう告げた一帆に、

「へぇー、なるほどねぇ。」

理解を示す意川であった……。



AM11:05を過ぎた頃に、

「うぃーっす。」

「ただいまー。」

「只今、戻りました。」

三人が[事務所]に帰って来た。

ディスク席から、

「おっかえりぃ~♪」

〝トトトトトッ〟と駆け寄った宮瑚留里花(みやこるりか)が、

「妖魔に関する放送が聞こえてたけど、大丈夫だった?? くまりん。」

そう訊いたところ、

「はい。」

「緋島さんと意川さんのお陰で、全て倒せました。」

と、一帆が伝えたのである。

「いや、活躍したのはカズホであって、アタシ達じゃない。」

緋島の言葉に、

「そうなの?」

ギャルの宮瑚が首を傾げた。

「あ、いえ、然程(さほど)ではありません。」

このように一帆が述べたら、

「20体の敵の大半を消滅させたのは隈本さんなんだから、謙遜しなくていいよ。」

意川がアドバイスしたのである。

「え?!」

「それって、スゴイんじゃない??」

留里花が瞼を〝パチクリ〟させたところで、自身の手を〝ぽんっ!〟と叩いた沖奈朔任(おきなさくと)が、

「取り敢えず、お喋りはそこまでにして、業務を再開しましょう。」

「緋島さんは、報告書の作成を、お願いします。」

そう促した。

「うぅ~、アタシ、あんま得意じゃないんだよなー。」

右手で後頭部を〝ボリボリ〟と掻く緋島に、

「ボクが代わってあげましょうか?」

意川が提案するも、

「いんや、隊長の命令だから、従うとすんよ。」

どうやら観念したようだ。

しかし、気が重そうにしている。

これを察して、

「今日中に提出してもらえれば問題ないので、ゆっくりで構いませんよ。」

優しく微笑む沖奈隊長だった…。


少し時が経ち、

「そろそろ11時半になりますので、“(はや)ご飯”の方々は休憩に入ってください。」

「隈本さんも、どうぞ。」

朔任に勧められて、一帆/緋島/意川/宮瑚/筺健(かごまさる)

鐶倖々徠(かなわささら)副隊長が、昼食を摂ることになった。

「ではでは、くまりん。」

「下のカフェにでも行ってみるぅ?」

留里花の誘いを、

「お弁当を持参しておりますので、すみません。」

そのように断った一帆である。

「おおー。」

「“かなっちふくたいちょー”と同じタイプだね☆」

感心する流れで、

「じゃあ、どうしようかなぁ~。」

「……、トッシーは??」

ふと質問した宮瑚に、

「朝、コンビニで、おにぎり買ってきてある。」

意川が答えた。

「ふむふむ…。」

「サリーちゃんとマサルンは、なに食べるの?」

留里花と目が合った早梨衣が、

「アタシは、近所に出来たラーメン屋。」

こう返したのである。

「確か、あそこは、まだ、オープン記念の全品半額セールやってるんだったよな。」

「……、俺も一緒にいいか??」

スキンヘッドかつ黒肌の筺に尋ねられて、

「もちろんっスよ。」

緋島が頷く。

「んん~ッ。」

やや悩んで、

「よし!!」

「あーしは、パンにしよう!」

そう決めた宮瑚が、

「“休憩室”の人らは、あーしが戻って来るまで食べ始めないように!!」

一帆たちに伝えて、1Fのベーカリーショップへと向かったのである…。



[休憩室]には、二台の長テーブルが隣り合わせで置かれており、六脚のパイプ椅子が備えられている。

意川の話しにて、

「へ!?」

「一人で14体も?」

「くまりん……、チョー強いじゃん!」

留里花が、パンを片手に、驚いた。

丸メガネの副隊長も、ビックリしている。

これらの反応に、

「いえ、その…、ありがとうございます。」

一帆が照れくさそうにした。

ペットボトルの緑茶を〝ゴキュゴキュ〟と飲んだ意川が、

「隈本さんと巡回すれば、これから先、だいぶサボれそうで助かるよ。」

本音を吐露(とろ)したら、

「ほぉう??」

倖々徠に睨まれてしまい、

「いや……、ボクも、一生懸命、頑張ります。」

気まずそうに視線を逸らしたのである。


早梨衣と健は、カウンター席で、拉麺(らーめん)を口に運んでいた。

「そいつぁ、かなりのもんだな。」

筺の感想に、

「うっす。」

「カズホは、今後、うちらのエースになるんじゃないっすかね。」

緋島が述べた。

「ふぅ~む…。」

「総監の推薦なら、ちゃんと知らされてんのか?」

「俺らの本当の任務(・・・・・)を。」

健が疑問を呈したところ、

「さあ??」

「フクソーカン派のイカワが居たんで、そこは聞かないでおいたっす。」

「ただ…、パトロールんときに、〝東京組第一番隊への配属を希望していた〟って、本人が言ってたスよ。」

早梨衣が伝えたのである。

「だったら、あれか。」

「〝隈本隊員が通常の仕事に慣れてきたタイミングで、隊長が教える〟みたいなことかもな。」

筺の推測に、

「じゃないすかね。」

同意する緋島であった―。


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