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52.在りし日・前編

翌日となった。

この日も沖奈朔任(おきなさくと)隊長は休みである。

朝方、スーツ姿の沖奈が、ある警察署に赴いていた。

その留置所で面会しているのは、架浦聖徒(みつうらせいんと)だ。

「調子は如何です?」

なんとなく沖奈が尋ねたところ、

「快適だよ。」

架浦が〝フッ〟と笑みを浮かべて嘘を()く。

ある種の嫌味だとは気づかず、

「それは良かったですね。」

〝ニッコリ〟する沖奈に、

「……、ほんと、読めねぇな、隊長は。」

架浦が半ば呆れた。

「そうですか??」

不思議がった沖奈が首を傾げたら、

「ま、いいけど。」

眉間に軽くシワを寄せた架浦が、

「で?」

「なんの用だ??」

「ある程度の検討は付くけど。」

このように述べる。

「でしたら、話しは早そうですね。」

沖奈が穏やかに目を細めて、

「関東司令官は、今、どこに隠れています?」

そう質問したところ、

「昨日、警察にも聞かれたんだけど…、知らねぇんだよ、本当に。」

「“隠れ家”みたいなもんを幾つか持ってるらしいんだが、それらの詳しい場所は、オレとかは教えてもらってねぇ。」

「多分、こんな感じで情報が洩れるかもしれないことをイヤがったんだろうな、アイツ(・・・)は。」

こう返した架浦だった。

「〝アイツ〟ですか……。」

「架浦さん、あなたと関東司令官は、ご兄弟ですね??」

沖奈に訊かれて、

「なんで、その事を?!」

驚いた架浦が椅子から〝ガタンッ!!〟と立ち上がる。

「やはり、当たっていましたか。」

落ち着いた様子で〝ふむ〟と頷いた沖奈に対し、

「…………、あ。」

「カマをかけられちまったってぇ訳か。」

架浦が眉を段違いにした。

「ま、そんなところですかね。」

沖奈に告げられ、座り直した架浦が、

「ここに緋島(ひしま)が居たら、またバカ呼ばわりされたんだろうな。」

後頭部を右手で〝ポリポリ〟と()く。

「そうかもしれませんね。」

〝クスクス〟と笑う沖奈に、

「間違いねぇさ。」

架浦も口元を緩める。

いささか真顔になった沖奈が、

「ついでに伺いますけど…。」

「架浦さんや、関東司令官に、“漠皁組まくそうぐみ若頭(わかがしら)”であったり、“H.H.S.O”などに潜んでいる敵は、あの研究施設(・・・・・・)で生まれ育ったのでは?」

確信に触れた。

「……、ああ、そうだ。」

それを肯定した架浦が、過去を語ってゆく…。



▼▽▼▽

かつて、5体の“着物姿の女性妖魔たち”と、金で雇われた人間の男性らが、交わった。

なお、男性陣のなかには、学業や労働のため日本で暮らしていた外国人も何名か含まれている。

これによって、約600数の“半妖”が誕生していた。

何はともあれ。

関東司令官と架浦は、両親が同じである。

ちなみに、父は“金髪の白人”であった……。


架浦が6歳になって間もない頃、施設が火災となった。

いや、後の関東司令官こと、当時14歳だった“三上(みかみ)”の発案で、〝わざと(・・・)行なった〟のだそうだ。

なんでも、半妖達は、男女問わずスキルが備わっていたらしい。

それらの能力は各自で異なっていたのである。

興味を示した学者らは、これを解明すべく、半妖たちに危険な実験を進めるようになった。

こうした日々に、半妖らが怨みを募らせていく。

そして…、三上の発案により、過半数の半妖が反旗を翻す。

ある深夜に、一斉に火を放ったのである。

この流れで、混乱に陥った学者達を、確実に殺害したのだそうだ。

ただし、〝作戦に加わらなかった半妖たちは先に逃がしてあげた〟との事だった。

そうして、架浦なども研究施設を離れようとしたタイミングで、[第一次妖魔大量発生]が世界中で起きたのである。

〝おそらく、建物内に置かれていた機材が炎で燃えていくなかショートしたのが原因だろう〟との推測であった……。



▼▽▼▽

「そこからは、どうなったのですか??」

沖奈の疑問に、

「“時空の(ひずみ)”で出現した妖魔らと戦って、なんとか生き残れた。」

「つっても、100人ぐらいが亡くなっちまったけどな。」

架浦が“遠い目”となる。

「成程…。」

ふと呟いた沖奈が、

「その後の生活は、どうしたんです?」

「住まいや戸籍が無ければ、かなり厳しかったのでは??」

新たに尋ねた。

「あぁー、…。」

「〝他人の記憶を操る〟っていうスキル持ちがいたんだよ。」

「その女性に“いろんな家庭”や“役所の連中”の記憶を改竄(かいざん)してもらって、〝どこかしらの実子や養子に成り済ました〟つーわけさ。」

「まぁ、彼女は、10年くらい前に大病を患って、息を引き取ったけどな。」

架浦の説明を受け、

「……、その人に、学者の方々の記憶を変えてもらえば、誰の命も奪うことなく、施設を去れたのではありませんか?」

再び沖奈が質問する。

これに、

「あんときは、まだ、オレらもガキだったから、憎しみで動いちまったんだよ。」

「まぁ、今にしてみれば、あそこまでやる必要はなかったと思うけどな。」

そう架浦が答えた。

どこか釈然としないまま、

「“僕などの偽者(・・)”も、架浦さん達の仲間ですか??」

沖奈が別の謎に関して訊ねる。

問われた架浦は、

「みたいだな。」

「あの研究施設からオレとかと一緒に逃亡したのは、およそ450人だったんだけど…、さすがに全員の顔は覚えてなくてよ。」

「それに、施設を離れて以来、ソイツとは会ってねぇしな。」

「いつだったか、兄貴……、関東司令官に計画を聞かされて、〝そう言や、そんなヤツもいたっけか??〟と思った程度さ。」

「んなもんで、正体や住所とかは一つも分からねぇ。」

このように述べながら肩をすくめるのだった―。




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