48.死闘・破
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話しは少し遡り、隈本一帆たちが地下室で架浦聖徒と再会した頃――。
屋外では、〝ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!! ビィ――ッ!!〟という警報音が鳴り響いた流れで、
『およそ5分後に“時空の歪”が発生し、妖魔が出現します。』
『規模は小さめですが、近隣の方は念の為に避難してください。』
『予測される場所は――。』
このような放送が繰り返されている。
それによって、背丈170㎝あたりで、20代後半だろう、黒髪ショートの男性が、
「ここから割と近いですね。」
「どうします??」
すぐ側の隊員を窺う。
「……、行きましょう。」
こう答えたのは、身長165㎝ぐらいで、30代前半らしき、ロングの茶髪をポニーテールにしている女性だった。
彼女が、近くにいた50代半ばであろう男性刑事に、
「我々は、妖魔に対応すべく、一旦この場を離れますが…、よろしいですか?」
そのように確認する。
「ええ、構いません。」
「なんでしたら、アンドロイドを貸しましょうか??」
“渋めの刑事”が提案したところ、
「いえ、こちらが手薄になってしまいますので、それには及びません。」
「お心遣い、感謝します。」
丁重に断った。
「では、妖魔のこと、よろしくお願いします。」
会釈した刑事に、
「はい、お任せください。」
こう伝えた女性が、9名の部下を連れて去ってゆく…。
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一方、研究施設内の“1F東エリア”を捜索していた[第二百一番隊]の5人は、外から警報が聞こえてきたことによって、ある部屋で不意に足を止めた。
「……、近くに歪が生じるみたいですね。」
そう呟いたのは、背丈157㎝ほどで、20代前半の、黒髪セミロングをツインテールにしている女性である。
「まぁ、小規模のようですから、駐車場に待機しているメンバーだけで勝てるでしょう。」
このように述べたのは、30代半ばで“七三ポマード”の男性であった。
彼は、数分前に正面玄関の自動ドアを【念力】で開けた人物だ。
その男性が、
「さ、こちらも、自分たちの任務に集中しましょう。」
再び歩きだし、仲間が後に続く。
が。
最後尾に控えていた別の女性が、自身の首を左手で軽く絞めるかのように触れて、
「発動。」
スキルを扱ったのである。
身長160㎝あたりの彼女は、20代前半くらいで、ショートパーマの髪をミルクティーカラー(クリーム色)に染めていた。
こうした女性の能力によって、もがき苦しみだした4名が、膝を着いたり、這いつくばる。
それは、【空気操作】であり、対象者を軸とした直径1Mの範囲で〝酸素を薄くする〟といったものだ。
一度に効果があるのは10人迄で、制限時間は1分らしい。
背丈180㎝かつ、茶色の短髪であり、30代前半の男性が、眉間にシワを寄せ、
「お、まえ…、は?」
かろうじて声を出す。
“ショートパーマの女性”は、腰に帯びている[拳銃]を掴みながら、
「やだなぁ~。」
「状況からして分かるっしょ??」
「いわゆる“敵”てやつっすよぉ。」
「皆さんを始末するチャンスが巡ってきたので、実行に移させてもらうっす。」
〝ニヤァ~〟と口元を緩めた。
こうして、ピストルを抜いた女性が、二発ずつ撃っていく。
隊員たちが〝うッぐぅッ〟と呻くなか、
「んー、なかなか、しぶといっすねぇ。」
苦笑いした“ショートパーマ”は、新しい弾丸をセットして、構え直したのである……。
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現在――。
B1にて、架浦の能力がタイムリミットを迎え、額を貫かれていた男性が倒れた。
そちらに多くの者が気を取られるなか、[漠皁組の若頭]が、沖奈朔任隊長を射殺しようとする。
この様子が視界に入り、
「発動!」
急ぎ唱えたのは、八幸隊長だ。
それによって、若頭の右手が握っている拳銃ごと〝ぎゅんッ〟と真上に向いた。
この勢いで〝パンッ!!〟と発砲された弾は、斜めに放たれ、誰にも当たらずに済んだ。
「は?!」
目を丸くした若頭は、ピストルが更に〝ぐぐぐぐぐッ〟と後方に引っ張られたことによって、背中を床に打ち付けたのである。
「お陰で助かったみたいですね。」
「ありがとうございます。」
お辞儀する沖奈に、
「いえいえ、たいしたことはありません。」
八幸が謙遜した。
そうして、跪いた沖奈が、
「鐶さんは無事ですか?」
真顔で確認したところ、
「はい。」
「痛みはありますけど、大丈夫です。」
鐶倖々徠副隊長が、はっきりと答えたのである。
鐶を心配した[第十三番隊]が側に寄っていくタイミングで、
「邪魔よ!」
架浦を押しのけるようにして立った[豹の獣人]が、再び走りだす。
これに対し、
「発動!!」
両の拳を〝ガツンッ!〟と合わせた一帆が、駆けてゆく。
互いが間合いに入るなり、豹が左手を払ってきた。
おそらく“爪”で負傷させようとしたのだろう。
下へと躱した一帆は、そのまま、右のストレートパンチを、ボディに〝ドンッ!!〟と見舞ったのである。
獣人が、
「ぐふッ!?」
血を吐きながら、4Mほど後ろに吹き飛ばされた。
尻餅を着いた豹に、一帆が距離を詰めていこうとしたところ、
「発動。」
横になっている架浦がスキルを使用したことによって、動きを封じられてしまう。
「くッ!」
一帆が焦るなか、獣人が咳き込みながらも改めて起き上がる。
〝すぅ――、ふぅ――ッ〟と深呼吸して、一帆に近づいた豹は、
「ギッタギタに切り裂いてやるから、覚悟しな!!」
怒り露わに、右手を振りかぶるのだった―。




