表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/60

46.悲喜こもごも

この場所に宮瑚留梨花(みやこるりか)を送ってくれた警察たちによれば、

「噓発見器も使用しましたが、彼女は完全に“シロ(・・)”でした。」

とのことである…。


取り敢えず泣き()んで〝ヒック ヒック〟と痙攣気味になった宮瑚が、

「結局のとこ、〝すてごま〟ってやつだったんだよ、あーしは。」

「関東司令官も、ミッツ―も、なんにも教えてくれてなかったし。」

そのように口を開いた。

宮瑚にしてみれば、〝架浦聖徒(みつうらせいんと)のカモフラージュとして選ばれたに過ぎず、関東司令官に重宝されていた訳ではなかった〟という悔しさと、〝仲間として受け入れ直してくれた東京組第十三番隊の温かさ〟に安堵して、涙が自然に(あふ)れてしまったようだ。

「初めに事実を伝えられていた場合、貴女は素直に従いましたか?」

優しく問いかけた沖奈朔任(おきなさくと)隊長に、

「それは、ない。」

宮瑚がハッキリと答える。

「まぁ、そうだろうな。」

「お前は、お馬鹿なほうではあるけど、根は悪いヤツじゃねぇし。」

「本当のことを知らされていたら、きっと断ってただろ。」

緋島早梨衣(ひしまさりい)が述べたところ、

「うぅっ、サリーちゃあ~ん。」

「信じてくれて、ありがとぉー。」

再び泣き出した宮瑚に抱き付かれてしまった。

「バ、ちょ、おま、やめろって!」

「涙と鼻水で、アタシの服が汚れんだろうがよ!!」

困惑しながら両手で押しのけようとする緋島に、鐶倖々徠(かなわささら)副隊長と隈本一帆(くまもとかずほ)が〝くすくす〟笑う。

男性三人は、優しく見守っていた…。


「落ち着いたようなので、そろそろ行きましょうか。」

「架浦さんに会いに。」

「もし、本人が居なかったとしても、“漠皁組(まくそうぐみ)若頭(わかがしら)”は間違いなく潜んでいるでしょうから、必ず捕まえたいですね。」「いろいろと暴露させるためにも……。」

こう告げた沖奈が、

「お待たせしました。」

「よろしくお願いします。」

[東京組第二百一番隊]の隊長たる“八幸(やさき)”に向けて、軽く会釈したのである。

「了解です。」

頷いた八幸は、反転するなり、

「これより作戦を開始する。」

「が…。」

「仮に、“関東司令官の回し者”が、この隊に紛れていたときは、迷わず殺せ!」

「さもなければ、自分が死ぬぞ。」

そう配下に命令したのだった。



自動ドアから1.5Mほど離れた位置で、七三にした黒髪をポマードで固めているらしい“インテリ眼鏡の男性”が、両の(てのひら)を突き出し、

「発動。」

静かに唱える。

ここから、30代前半であろう男が、両手を左右に広げていった。

それによって、ドアが開いていく。

「テレキネシス……、いわゆる“念力”みたいですね。」

沖奈の呟きが耳に入ったらしい筺健(かごまさる)が、

「お前の能力と同じ系統か??」

意川敏矢(いかわとしや)に尋ねる。

「さぁ?」

「どうでしょう??」

「似たようなスキルは幾つかあるみたいですけど、ボクには詳しい事は分かりません。」

意川が肩をすくめたところ、

「異能力については、研究者たちも、まだまだ解明しきれていないようですからね。」

「〝全人類がスキルを使える訳ではない〟というのも含めて、(いま)だ謎が多いそうですよ。」

こう語ったのは、鐶であった…。


[H.H.S.O]が建物内へと足を運ぶ。

ちなみに、“第二百一番隊”のうちの5名は、駐車場で待機していた。

いつ現れるとも知れない妖魔に備えて。


自動ドアを通過した所で、八幸が、

「そっちは任せたぞ。」

隊員の10人に指示する。

〝はッ!!〟と応じたメンバーは、右側へと進んでいった。

以前、沖奈が架浦と共に各部屋をチェックした時は誰も居なかったが、〝あれから状況が変わったので()も増援されているかもしれない〟と警戒してのことである。

「いつでも、どうぞ。」

八幸に促され、

「それでは、残りの方々は僕に付いて来てください。」

穏やかに伝える沖奈だった。



沖奈隊長を先頭にした12人は、屋内の左エリアを歩いている。

二列目が鐶副隊長&筺で、三列目は緋島&一帆、四列目に意川&宮瑚が、続いていた。

その後ろは[第二百一番隊]の5名である。

こうした最中(さなか)に、小声で、

「ねぇ? トッシー。」

「あーしが警察に連れて行かれたって聞いたとき、どう思ったぁ??」

「〝やっぱりスパイか〟て、けーべつした?」

宮瑚が質問した。

「いや、そんな事ないけど??」

「だって、お前、ゲームで対戦すると、いっつも正直すぎて、すぐボクに負けてたじゃん。」

「そういうタイプは、他人(ひと)を騙せないでしょう。」

「簡単にバレるだろうから。」

「ま、架浦さんが()だったのには納得させられたけどさ。」

意川が述べたら、

「つまりは、あーしのこと、信用してくれてたんだ?」

「……、えへへへ。」

嬉しそうにした宮瑚である。

「なんだよ??」

「変なやつだなぁ。」

眉をひそめた意川に、

「なーんでもなぁ~い♪」

上機嫌になる宮瑚であった…。



一同は、例の“デッドスペース”に到着している。

「さて。」

「やはり、これ(・・)が怪しいですね。」

沖奈は左側へと視線を送った。

そこには、壁と一体化している[赤色の火災報知器]が見受けられる。

このボタンを、沖奈が“右の人差し指”で押してみた。

本来であれば〝ジリリリリリィーッ〟と鳴り響く筈のところ、“正面の壁(・・・・)”が左に〝ガガガガガガァ〟とスライドしていく。

そうして登場したのは、“地下への階段”である。

後ろを振り向いて、

「では、進むとしましょう。」

皆を安心させるために微笑む沖奈だった―。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ