11.恋バナ・後編
冷静になった鐶倖々徠副隊長が、〝コホン〟と咳払いして、
「つまり……、〝隈本さんの恋愛を成就させるために協力してあげよう〟という訳ね?」
宮瑚留梨花に確認したら、
「うん。」
「そぉだけど…、マズかった??」
「もしかして、“かなっちふくたいちょー”も“さっくんたいちょー”が好き、とか?」
逆に尋ねられた。
その発言によって、左隣の一帆が慌てたかのように〝バッ!〟と顔を向けてきたので、
「大丈夫よ、沖奈隊長は素晴らしい人だとは思うけど、私のタイプではないから。」
倖々徠が優しく告げて安心させる。
「“かなっちふくたいちょー”はぁ、どぉいうメンズが好みなの??」
留梨花の疑問に、
「そうねぇ……。」
「背が高くて、体格の良い男性、かしら?」
鐶が軽く首を傾げた。
「それってぇ~、“マサルン”の事なんじゃない??」
宮瑚が指摘し、
「あー、おもいっきり当てはまるな。」
緋島早梨衣が納得したところ、
「べ、べべ、別に!?」
「そうとは限らないし?!」
倖々徠の目が泳ぎまくったのである。
「“かなっちふくたいちょー”も正直者だねぇ。」
「“くまりん”と同じで。」
〝ニコニコ〟する留梨花に、
「そういう貴女は、どうなのよ?」
鐶が話しを振ったら、
「んー。」
「…、トッシー、かな??」
「なんか〝ほっとけない〟みたいな感じなんだよねぇ。」
「これが恋なのかはイマイチよく分かんないけど……。」
このように吐露した流れで、
「サリーちゃんはぁ?」
横に視線を送った。
「アタシは、そういうの苦手だから、いねぇよ、今んとこ。」
早梨衣が答えたところ、
「この際、ミッツ―にしてみれば??」
宮瑚が提案したのである。
そんな意見に、
「ぜってぇー断る!」
「あんな薄っぺらいヤツ!!」
緋島が不愉快そうにした。
これに宮瑚が〝ぷはッ〟とウケたら、他の三人も釣られて吹き出したのである。
まるで親友たちの集いかのような楽しい空気に包まれて、[二代目 東京組第十三番隊]の内情を未だ知らない隈本一帆を除くメンバーは、
(このまま、ずっと、仲良くしていければいいのに。)
そう願わずにはいられなかった…。
▼
歓迎会の当日である。
PM20:00頃に、一帆が[西武新宿駅]の改札を出たところ、
「お!」
「くまりぃ~ん、こっち、こっちぃ~!!」
留梨花が右手を大きく振ってきた。
「お待たせしてしまったようで、すみません。」
〝ペコッ〟と会釈した一帆に、
「ぜぇ~んぜん。」
「あーしも、ついさっき着いたとこだから。」
宮瑚が返す。
一帆に、髪や顔を〝まじまじ〟と見られて、
「あぁー、気になる?」
「お仕事のときは控えめにしてるけど、プライベートはこんなだよ、いつも。」
微笑みながら説明した留梨花である。
そんな彼女は、髪を幾つものアクセサリーで飾っており、顔にはシールを貼りまくっていた。
服装は、いつにも増して、ド派手である。
まさに〝デコラファッションの完成形〟と言えるだろう。
一帆はというと、パステルグリーンの“レディーススーツ”といった格好だ。
「んじゃ、まぁ、お店に行こうか☆」
歩きだした宮瑚を、一帆が追いつつ、
「ここからどれくらい掛かるのですか??」
なんとなく質問してみたら、
「ん~、……、徒歩で5分ぐらい、かな?」
「事務所からだと10分ほどだよ。」
「だから、あーしらが先に到着しちゃうね。」
「今日お勤めの人達よりも。」
このように教えたのであった。
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店は、和洋折衷の、おしゃれな居酒屋である。
一帆&留梨花が、個室で雑談すること約5分。
「やはり、お二人の方が早かったみたいですね。」
沖奈朔任隊長が〝ニッコリ〟しながら入室してきた。
彼の後ろに、他の5人が続いて来る。
「おっつー。」
宮瑚と、
「お疲れ様でした。」
一帆が、ほぼ同時に挨拶し、
「どうも、お疲れ様です。」
朔任を筆頭に、
「お疲れさま。」
鐶副隊長、
「おつかれ。」
筺健、
「おーつかぁれさぁーん。」
架浦聖徒、
「おつかれー。」
緋島、
「お疲れっしたー。」
意川敏矢が、応えた…。
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「それでは、僭越ながら。」
「……、えー、皆さん。」
「本日は、隈本さんの入隊を祝う為に、お集まりいただき、ありがとうございます。」
「畏まった感じは個人的にも苦手なので、手短に済ませますが…、隈本さんを新たに加えて、これからも仲良く励んでいきましょう。」
「それでは、乾杯!」
沖奈による簡単なスピーチにて、
「かんぱぁ~い!!」
ジョッキやグラスを一斉に合わせる8人だった。
飲食が進むなか、
「今日って、ここら辺りには、何回くらい妖魔が現れたの??」
留梨花が誰ともなく訊ねる。
「お昼すぎと、夕刻の、計二回でしたよ。」
朔任が伝えたところ、
「あーしが住んでる地域と一緒だね。」
「“くまりん”の所は、どーだったぁ~?」
宮瑚に話しを振られ、
「朝方に、一回だけです。」
一帆が返答した。
〝ふむ〟と頷いた留梨花の、
「能力者同士の争いはぁ??」
との次なる問いに、
「俺と意川がパトロールしていた際に一件あったぞ。」
「〝通行中すれちがいざまに肩がぶつかった〟という古典的な理由で。」
「あれは、十七時半ごろだったな、確か。」
「ま、喧嘩してたのは、たいしたことない奴らだったから、速攻で収めたけどな。」
筺が述べたのである。
今の時代、世界の何処にでも、毎日、[次元の歪]が出現しており、人々は対応に追われていた。
地区によって、一日で1回から2回であったり、小規模or中規模といった違いはあるものの、妖魔どもは年中無休である。
また、“スキル持ちの人間”によるトラブルも頻繫に起きていた。
ともあれ。
ムードメーカーたる宮瑚によって、宴が徐々に盛り上がっていったのである―。




