10.恋バナ・前編
[H.H.S.O 東京組第十三番隊]の四人の配置は、
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隈本一帆
宮瑚留梨花 筺健
沖奈朔任
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このようになっている。
ギャルの宮瑚留梨花と、色黒の筺健は、[スタンガン式警棒]で攻撃や防御を行いながら、スキルを発動していた。
筺の能力は〝3秒だけ火炎を吐ける〟というものだ。
隈本一帆のスキルがタイムリミットを迎えた時点で、猿鬼らの40体ほどが消滅している。
弾丸を込め直そうとする沖奈朔任隊長に、敵の一匹が飛び掛かった。
沖奈が急ぎ、
「発動!」
そう唱えるのと同時に、左指を〝パチン!!〟と鳴らす。
これによって、眼前の猿が、〝シュンッ!〟と、妖魔集団の最後尾に[瞬間移動]した。
朔任の能力は〝個体をテレポートさせる〟といったものである。
ただし、〝自分を中心とした半径50M以内〟との制限があるのだそうだ。
ともあれ。
あらかた交通整理が落ち着いたのであろう、5体のアンドロイドが、敵どもの背後に駆けて来て、発砲を開始した。
それに対応すべく、160匹のうち4割ほどの猿鬼が、ロボット警察へと標的を変える。
妖魔が二手になったことによって、第十三番隊の負担が幾らか減ったなか、一帆が改めてスキルを扱う……。
およそ6分が経ち、
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
『妖魔は殲滅されました。』
『もう安全です。』
“機械的な女性の声”によるアナウンスが街に流れていき、
「ふぅ――。」
「オーバーヒートになる前に片を付けられて、良かったな。」
健が安堵した。
個人差はあるが、平均的には、能力を20回ほど使用すると眩暈を起こし、立っていられなくなる。
なおも無理して発し続けると、呼吸困難に陥ったり、吐血してしまう。
そのような症状となった際に、治療が遅れてしまったなら、まず助からない。
「今回は、ほとんど、“くまりん”の活躍によるものだね♪」
留梨花が述べた事によって、
「確かに、そうですね…。」
〝ふむ〟と頷いた沖奈が、
「隈本さん、ありがとうございます。」
満面の笑みで告げる。
それに〝キュン♡〟ときたらしく、頬を赤らめて、
「あ、いえ、お三方の連係が素晴らしかったのであって、私など然程ではありません。」
謙遜した一帆が、
「バックアップしていただき、ありがとうございました。」
90度に〝ガバッ!!〟とお辞儀した。
ここへ、
「皆さん、無事ですか?!」
鐶倖々徠副隊長が西側より走ってくる。
彼女の後ろには架浦聖徒の姿が見受けられた。
足を止めた鐶が、息を切らしている。
その側では、架浦が、自身の両膝に手をつき、背中を丸め、〝ゼェィハッ ゼェィハッ〟と苦しんでいた。
聖徒のバテっぷりに、
「どれだけの距離を駆けたんです?」
朔任が少なからず驚いたところ、
「ほんの200Mぐらいですよ。」
「付近までタクシーで来ましたが、交通規制で先に進めませんでしたので、そこから降りてダッシュしました。」
倖々徠が説明し、
「ええ~??」
「ミッツぅ―。」
「いくらなんでも、体力、なさすぎっしょぉ~。」
宮瑚が呆れる。
「過度な飲酒と喫煙を控えて、筋トレやジョギングなどで鍛えたらどうだ?」
筺が勧めたら、
「いや、そういのは、勘弁っす。」
架浦が眉間にシワを寄せて嫌がったので、誰もが笑ってしまった。
「それで?」
「被害はありませんでしたか??」
鐶副隊長の質問に、
「アンドロイドの警察が、二体、壊されてしまったようですが、人間や動物に被害は無いみたいです。」
沖奈隊長が伝える。
「そうですか……。」
「では、架浦さん。」
「見廻りを再開しましょう。」
倖々徠に促され、
「え!?」
「もう?」
「ちょっと休まない??」
聖徒が音を上げた。
しかし、
「いぃ~え!」
「自動販売機で飲み物を買うのは認めますが、それ以外はNGです。」
鐶に却下されてしまい、
「マジかぁ。」
ゲンナリしたようだ…。
▼
あれから三日が過ぎている。
PM15:05を回った頃に、朔任&緋島早梨衣が、パトロールから帰ってきた。
「よぉ~し。」
「サリーちゃんが戻ったところで、2階のカフェに行こぉう!!」
「“おんにゃのこ”だけで☆」
「いいよね?」
「さっくんたいちょー。」
留梨花に尋ねられ、
「女子会ですか??」
「まぁ、30分以内であれば、構いませんよ。」
微笑んで許可した沖奈である。
ちなみに、筺健と架浦聖徒は休日で、意川敏矢はデスクワークに困憊していた。
▼
テーブル席にて。
「で??」
「〝女だけで相談したいこと〟って、なんだ?」
緋島に訊かれ、右隣の宮瑚が、
「そ、れ、はー。」
「“くまりん”の恋路についてだよ♡」
このように述べたのである。
それによって、早梨衣の正面に座っている一帆が、〝ドキッ!〟としたようだ。
なお、宮瑚と一帆は、窓際である。
「隈本さんは、どなたかに想いを寄せているの??」
倖々徠の問いを、焦って「いえ、別に」と否定しようとした一帆は、
「“さっくんたいちょー”だよねぇ~♬」
悪気のない宮瑚に暴露されてしまい、テーブルに〝ゴンッ!!〟と頭突きしたのであった。
この光景に、
「なッ?!」
早梨衣がビックリする。
倖々徠もまた言葉を失っていた。
一帆が〝スッ〟と顔を上げ、
「虫がいましたもので。」
平然と誤魔化したところ、
「いやぁ~、何度見ても飽きないわぁ、そのリアクション☆」
留梨花が半ば面白がったのである―。




