父親が娘の恋の話を聞きたくないのと同類?
「あったぁ!」
薄暗い城内に、嬉々とした声が響き渡った。
「ね、ね? ほら、言ったとおりでしょっ?」
今だかつてないほど誇らしげに、ナナギは床に広がるそれを指差した。
まぁ、今まで胸を張れるような活躍してないですしね。
「あー、よかったなー」
「何でそんなどうでもよさそうなのよ!」
クリスの薄い反応が気に入らなかったのか、ナナギは頬を膨らませる。
「でも、偶然だったよな。ナナギがここで転ばなかったら、多分見つからなかっただろう」
くそ真面目な顔でクシナが呟き、真面目二号のシャオロンがそれに頷く。
「えっへ…」
「えっへんとか威張りやがったら頭はたくかんな」
「なんでよ!」
にまにまと胸を張ったナナギにチサヤが隣で釘をさした。
「ったりめぇだろ。今回は偶然役立ったけど、普段転けまくられても困るんだよ」
「まぁ、そうだけどさぁ~…」
「…危険な所で転んだら危ねぇだろって言ってんだ」
「…?」
まだ不満そうなナナギに、チサヤが視線を少し反らして付け加える。
しかし、ナナギは首をかしげて眉をひそめるばかりだ。
「チサヤなりに心配してるんだ」
ぶっきらぼうに言われすぎて、素直に言葉を受け取れていないナナギを見兼ねて、クシナが耳打ちした。
途端、ナナギの眉が開く。
「そうなの?」
嬉しそうに目を細めてナナギはクシナを見る。
「ああ」
それに笑みを返しながら肯定を示し、クシナはシャオロン達の方に向き直った。
見つかったペンダントについて話しているようで、リィーリアとシャオロンが屈み込んでいる。
「古いわねぇ」
「…リィーリア様程ではないでしょうがね」
「シャオロン、何か言って?」
「いえ、別に」
恒例の年についての言い争いが勃発しようとしている二人の傍で、レイがにこにこ笑っている。
この状況でその聖母のような微笑みは、胡散臭く見えるほどだ。
密かに苦笑をして、クシナはレイに歩み寄った。
「楽しそうだな」
「…そう見える?」
「いや、あまり」
きっぱりと首を振ったクシナに、今度は小さく声を上げて笑う。
「嘘だよ。ちょっと楽しいよ。仲いいよね、あの二人」
「喧嘩するほどってやつだな。…あー、それを言うならナナギとチサヤ、あとクリスも同じかもしれないな」
「そうだね。羨ましいかも」
「…そうか?」
まだ言い争いを続けるシャオロンとリィーリアを眺めながら呟いたレイに、クシナは眉を上げた。
そんなクシナに、レイは意味深に目を細める。
「あれ? クシナは好きな人とは甘い会話を交わしたいタイプ?」
「っ!?」
レイの言葉にクシナは目を見開いた。
「な、な、な、何を言いだすんだ! しかもその言い方だとあいつらが…その…」
「好き合ってるみたいだって?」
真っ赤になってどもりまくるクシナとは対照的に、レイは涼しい顔。
「違うの? まぁリィーリア達は違うかもしれないけど、チサヤってあれ典型的なツンデ…」
「わーっ! 言うな! それ以上言うな!」
「何で?」
レイの言葉を、クシナはオーバーに両手を振りながら遮った。
遮られたレイはきょとんと首をかしげ、素直に疑問を口にする。
「何でって…。幼なじみのそういう面はその…あまり耳にしたくない…」
「それって、父親が娘の恋の話を聞きたくないのと同類?」
ごにょごにょと決まり悪げに言ったクシナに、レイは笑顔で一閃。
案の定、クシナは雷を受けたかのように固まっている。
まぁ、そりゃあねぇ。
誰でもそんなものに例えられたらショックですよね。
ましてや、まだクシナは若いですしね。
娘と同じ年代のはずですよ。
「ま、まぁ、何はともあれ良かったな」
「無事に帰れそうだよね」
咳払いをひとつ、声音を少し変えて言ったクシナに、レイはまたにっこりしてみせた。
お久しぶりです、椎名です。
最近私生活が何かと忙しく、かなり間が空いてしまいました。
お待たせしてしまっていたら、すみません。
話を変えまして。
サブタイの長さが以上です…!
しかもあまり本編と関係ない!
あと、ユニークが一万いってました!
超びっくりです。
もう感謝感謝です!!!