壊しでもしたら…
「捜し物?」
小さくナナギは首をかしげた。
ええ、とソフィアは頷き笑みを浮かべる。
「それを見つけて持ってきてくれたら、おとなしくあなた達を帰してあげるわ」
「ちょっと! どうしてわたくしが貴方なんかの捜し物を手伝わないといけないの?」
上から目線が気に食わなかったのか、リィーリアが鼻を鳴らした。
「あら。まあまあ」
ソフィアはきょとんとした後、さも可笑しそうに笑った。
ころころと声を上げて笑うソフィアに、リィーリアは眉間の皺を深くする。
「いやだ。あなた、自分の立場分かってる? さっきもう少し遅かったら、死んでたのよ? …どちらが上か、分かるわよね」
確かに。
先ほどレイクの助けがなければ、全員あの世行きだったのだろう。
それを思い出してか、リィーリアは悔しそうに唇を歪めた。
「あんなの…っ、本来の力があれば蟻ほどにも怖くないというのに…!」
「本来? って、じゃあリィーリアさんもっと強いの?」
リィーリアの言葉に、ナナギが目を丸くした。
「当たり前よ! わたくしを誰だと思っていて?」
「えーと………誰?」
生憎ナナギは魔界について詳しいわけではない。
しかし、間の抜けた返事にもリィーリアは自慢げに豊満な胸を反らした。
「シャオロン、言ってあげて」
「自分で言えば良いじゃないですか…」
「…言ってあげて!」
「…」
再度繰り返したリィーリアに、シャオロンは白けた視線を送る。
深いため息でもつきそうな何とも言えない表情をしてから、シャオロンはゆっくり口を開いた。
「魔界でリィーリア様の名を出せば、少なくともこの世界で言うところの貴族階級の人なら、簡単に頭を垂れるでしょうね」
「貴族…」
「ほー、そりゃすげーな」
横からクリスが茶々を入れる。
にやにやとした笑みは、真意を汲み取れない。
「すっごーい! リィーリアさん凄い人だったんだ!」
「おーっほほほほ! それほどでもなくてよ!」
「ですよね。こちらの世界では力発揮できないんですからね。ただの役立たずな年増に変わりはありませんよ」
「…シャオロン、最近貴方わたくしに冷たくないかしら?」
「…気のせいですよ」
言いながらふいと目線を逸らすのは、多少は自覚があるからかもしれない。
「ま、そういうことね。貴方が魔界ではどれだけ偉いか知らないけど、ここでは私が一番なの。ね?」
「…そろそろ、その捜し物を教えてもらえるかな?」
今まで黙っていたレイが言った。
流石レイ。
会話の流れを丸無視です。
「そ、そうね」
これにはソフィアも一瞬たじろぐ。
が、すぐにまた口角を上げると囁くように言った。
「私が見つけてほしいのは、ペンダントよ」
「ペンダント?」
「そう。もうくすんでるかもしれないけど、元は銀のペンダントなの。あまり装飾はないと思うわ」
「…それを、見つければ良いんですか?」
クシナが確認するように尋ねた。
返事の代わりにソフィアは笑みを深くする。
「ただし…見つけられなかったり、壊しでもしたら…即殺すから」
何ともいい笑顔で宣言したソフィアに、一同は表情を凍らせたのだった。




