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まるで世界の真理のように

ひと悶着はあったものの、何だかんだで無事に角を越えることができたナナギご一行。

いつ魔物が出てくるかとシャオロンの背中に引っ付いていたナナギだったが、さすがにいつまでもこのままじゃいけないと思ったのか、礼を言って離れた。

「クリス~、もうちょっとこっち来なよ~」

しかしやっぱり怖いらしい。

へらへらと情けない笑みを浮かべて、ナナギは猫なで声でクリスを呼ぶ。

「はぁ? 面倒くさいんだけど」

「そう言わずに~」

「ったく、なんでオレが…」

突っぱねるクリスだったが、何となくナナギには甘いのか肩を竦めて隣にやってきた。

「これだから女は面倒臭いんだよ」

「…クリスも見た目は可愛い女の子だよ」

「ほぉ? オレにそんなこと言うのか」

クリスのぼやきに間髪入れずにつっこんだナナギに、彼はにやりとした。

直後、軽やかに長髪を靡かせてナナギの傍から離れていく。

「ああっ」

慌てて伸ばした手も虚しく空を掴んだ。

「ごめんなさい! 失言でした! お願いだから戻ってきてクリス~っ!」

「…クリスぅ?」

「クリス様!」

訝しげな口調に、様を付け加えてナナギはクリスを呼び直した。

ふふん、とクリスは小さな唇を三日月に曲げて満足そうに笑う。

「仕方ねーなー」

肩を竦めると、細い足を優美に動かしナナギに寄り添った。

「次はねーからな?」

その言葉にナナギが何度も頭を揺らすのを見て、クリスはまたもにやにやと笑ったのだった。




「この…ドアだよな」

「多分」

確認するように呟いたクシナに、隣のチサヤが欠伸を噛み殺しながら答えた。

長い睫毛に縁取られた瞳の端には、拭いきれなかった涙が浮かんでいる。

相当に眠いらしい。

その後は別段変わったこともなく、魔物にも遭遇もしなかったため七人はただ頂上を目指し、薄暗い城内を徘徊して回っていた。

「…チサヤ。まぁいいか。皆準備はいいか?」

チサヤを嗜めるように言ってから、振り返ったクシナは頬を引きつらせた。

それもそのはず。

振り返った先にいたのは、未知の部屋に踏み込むことに不安と緊張を覚える仲間ではなく、呑気にへらへらしている仲間だったからだ。

「お前ら緊張感を何処に落としてきたんだ…」

悲痛に呻いたクシナに、隣のチサヤはまた欠伸を返す。

「落とすも何も、ナナギには元から備わってねぇよ。そんな大そうなもん」

「…ちょっとチサヤ! それどういう意味よ!」

突然悪口を振られたナナギは、一拍遅れて応戦する。

予想通りの反応に、チサヤはにやりとした。

「そのままの意味だよ。平和ボケした頭には伝わらなかったか?」

「失礼ね! そんなの分かってるわよ! 何よこのヘタレチビ!」

「へ、ヘタレはお前も同じだろ!」

いつものようにぎゃあぎゃあと口論を始めた二人に、クシナはまたも深くため息をつく。

「…チサヤもシャオロンに似てきたのではなくて?」

「何処がですか」

「突然嫌味を言ってくるところに決まってるじゃない」

「………ほう」

まるで世界の真理のように言い放ったリィーリアに、シャオロンは冷ややかな笑みを浮かべた。

「そうですか。お言葉ですがリィーリア様、私は突然皮肉を述べたりは致しませんよ?」

「まぁ! 思い切り述べてるわよ」

「いいえ、まさか。私は高尚で気高いはずの主が、低俗でみすぼらしく思えたときに初めて、口にしているつもりですが」

「低俗でみすぼらしく思いすぎよ!」

「私もそう思います。最早高尚のこの字も貴女から感じられません」

もうひとつのお約束口論が、勃発しそうだった。


お久しぶりです~!

テスト終わりました!

前触れなく更新ストップさせちゃったんですけど、また再開しますよ。

なるべく多く書けるように頑張りますね。

感想とかいただけたらうれしいです。

では。

        瑞夏

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