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ヘタレ同盟

ぎぎぎ…と立て付け悪く、戸は音を立ててゆっくりと開いた。

ちなみにベルはありがちな、悪趣味なブロンズの悪魔の顔のようなものだった。

「は、離しちゃ駄目だからね!」

そう言って、ナナギは隣に立つ人物の手をぎゅうっ、と握り締めた。

「分かってる! お、お前に頼まれたから繋いでるんだからな! 俺は別に平気なんだからな!」

結局、ナナギはクシナ達の服を掴むのではなくチサヤと手を握ることになった。

クシナはリーダーとして一番前を歩くし、逆にレイは最後を行くことになっていたのだから、まぁ妥当な方法だろう。

「埃臭くて嫌だわ。掃除はしているのかしら」

「してるわけないでしょう。ここ、幽霊城ですよ?」

まぁ不潔、とあからさまに嫌悪を示すリィーリアに、シャオロンは何か言いたげに口を開けるが、そのままつぐむ。

騒がれてもうざいな、みたいなニュアンスが漂っている。

と、不意に後方で今しがた聞いたばかりの鉄がこすれるような音がした。

「ひぃやあぁっ!」

「…っ!?」

思い切り叫ぶナナギと、小さく息を呑むチサヤに、クシナは苦笑を浮かべた。

「落ち着け。戸が閉まっただけだ。風でも吹いたんだろう」

「…あ。ドアもう開かないや。閉じ込められたみたいだね」

妙に冷静なレイの声に、空気が凍った。

さー、と分かりやすいくらいにナナギの顔から血の気が引いていく。

「やー…っ! むぐぐ」

またも叫び声を上げようとして、その口を隣のチサヤに押さえられた。

不満そうにチサヤを睨むナナギに、口角を上げる。

「別に原因潰すまでは帰る気なかったんだし、どっちでも変わんねぇだろ?」

余裕な態度がむかつく。

「何急に落ち着いてるのよー…。さっきまでヘタレ同盟だったくせに!」

「パーティにヘタレは一人で結構。あいにく俺はお前とは違うんで」

「ふーん。とか言って、手は握ったままだけどね」

「な…! これはお前が!」

顔を真っ赤にして反論するも、繋いだ手は離そうとしない。

残念ながら、強気なのは口だけらしい。

「はいはい。そこまでにしとけ。先進むぞ」

「はーい」

「分かってるよ」

クシナの一言に、ぴたりと口論を止めると二人は口を揃えて頷いた。

先頭からクシナ、シャオロン、リィーリア、チサヤ、ナナギ、クリス、レイの順で七人はずらずらと連なって歩き始める。

クシナとレイはルラの店から頂戴した燭台を手にし、行く道を照らしている。

薄ぼんやりとした橙の灯りは、足元だけを忠実に照らしていた。

「皆、ぶつからないように気を付けろよ」

「大丈夫大丈ー…ぶっ!」

ぶっ、という声に重なるようにゴンッ、と痛そうな音がする。

言わんこっちゃない。

浅くため息をついてクシナが様子見に行こうとするが、それよりもほんの少し早くチサヤがレイから燭台を受け取ってナナギを覗き込んだ。

ぼやぁっ、と光がナナギの顔を照らす。

「大丈夫かよ?」

「つうぅ…」

うっすら涙を浮かべながら、ナナギは顔を上げチサヤを見た。

「痛い~…」

「だろうな。何やってんだか」

転けた拍子に離れた手をもう一度差出し、チサヤは呆れたように笑う。

躊躇いなくその手を掴み立ち上がると、ナナギはもう片方の手でぶつけた額をさすった。

「何にぶつかったんだよ?」

「確かここら辺のー…」

ナナギの視線の先に燭台を向け、チサヤは目を細める。

「…これ、かな?」

指差す先には、壁から出っ張った銀の棒。

埃を被ったランプが先頭に付いている。

「電気か…?」

首をかしげて呟くチサヤに、ナナギはさぁ?、と肩を竦めた。

直後、短く声を上げる。

「どうした? もう行くぞ」

「あ…うん。別にたいしたことないから」

チサヤに促される様にして足を運ぶ。

その瞳は、何故か憂いを微かに帯びていた。


こんにちは。

椎名です。


いきなりですが、すみません!

更新遅れてしまいました・・・。

冬休みが終わってしまったので、前ほどこまめに更新できないかもしれません・・・。

でも、愛想を尽かさずに読んでくださったらな~、と思います。

多分遅くても三日に一回は更新できると思います!


では。

             瑞夏

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