表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/61

ゆーれーじょー

「あう~。まだ頭痛い…」

こめかみを押さえながら呟いたナナギに、隣のチサヤも頷く。

「つーか、俺記憶ねぇんだけど」

「あたしも…」

どよーん、と暗雲立ちこめる表情で二人は同時にため息をついた。

覚えてはいないが、なんかいやな予感がする。

そんな感じだ。

「俺、朝起きたら目が真っ赤に腫れてたんだけどなんでだろう?」

悩ましげに首をかしげるクシナ。

泣いたからです。

それは泣いたからです。

「クリスとレイはぴんぴんしてるよね」

「ん? はっ。お前とオレを一緒にするな」

ナナギの言葉ににやりとするクリス。

どうやら本当に強いらしく、次の朝も元気いっぱいだった。

見た目子供なのに…。

むぅ、と眉をひそめたナナギの思いを汲み取ったのか、クリスは鼻を鳴らした。

「オレは生憎、お前みたく頭の中までガキじゃないんでな」

「まで…って、それじゃあたしが見た目も頭もお子様みたいじゃないの!」

「違うっけ?」

「もうっ!」

失礼しちゃう、と頬を膨らませてナナギは憤慨する。

それを可笑しそうに眺めながら、クリスは横を歩くレイに言葉を投げた。

「おい、次はどこに行くんだ?」

「さぁ? そういう事はクシナに聞いたほうがいいと思うよ」

「そうか」

にっこりと首をかしげたレイにサンキュ、と片手を上げクリスは後ろを振り向く。

「クシナ! 次の目的地どこだ?」

クリスの声に、まだ悩んでいたクシナが顔を上げた。

「え? あー…」

まだ決めかねていなかったのか、クシナは二三度考え込むように頭を捻り、それから少し笑った。

「この先に、幽霊城があるって聞いたことあるんだ。周辺を通る人が不気味がってるから、様子見でもどうだ?」

「「ゆーれーじょー…」」

何故か、二つの声が重なる。

「ん?」

「く、クシナ…その幽霊城って…」

「本当に幽霊出んのか?」

「多分。何人か襲われたりもしてるらしい」

クシナの言葉に、ナナギとチサヤの顔が分かりやすく青ざめていく。

「ちっ、ちなみにどういうお城…だったりするの?」

「詳しくは知らないが、昔栄えていた王族の城らしい。だが、ある時家臣の裏切りにあったらしくな、しかもそいつが少しいかれた野郎で、王、女王、姫、そしてその姫と愛し合っていた町の男を残酷に殺したらしい」

「へぇ。町の男?」

興味があるのか、クリスはクシナの傍に近寄った。

「ああ。こっそりとだがな。丁度その日も逢瀬の約束をしていて、城に姫を迎えに来ていたらしい。それで…」

表情を曇らせ、クシナは苦しそうに瞳を伏せる。

人情に厚い彼だ。

話しているうちに感情移入してしまったのだろう。

「ど、どうしても行かなきゃ駄目?」

ナナギが控えめに口を挟んだ。

体どころか、茜色の髪の先まで震えている。

よっぽど苦手らしい。

「な、なんだよナナギ。お前怖いのか?」

「チサヤこそ、顔っ青いよ?」

「こ、これは元からだ!」

そんなわけないだろうよ。

青人なんて聞いたことない。

苦しい言い訳を並べ立てながらも、チサヤはやっぱり青ざめている。

「…んじゃ、ま幽霊城に行くとしますか」

クリスの宣言に、二人が猛反発したのは言うまでもない。



こんにちは。

椎名です。


今話から新章突入!(?)

~幽霊城編~となっております。

前回はほとんどナナギ以外活躍できなかったので、今回はオールキャストでいこうと思います!


では。

        瑞夏

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ