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もう少し投稿スピードを速くしたい…頑張ります!
弁当が食い終わり、今は午後の最後の授業の終わりの所まで来た。
飯を食べている中で判明した事だが、雫の苗字は柏崎で亜美の方は上野と言うらしい。
二人は新妻とは違い、最初は全然会話が無かったが、弁当を食べているうちに少し慣れたのか、たどたどしくだが会話ができるようになった。とてもうれしい。
こうやって人の縁が繋がっていくんだなぁと思った…うん、話しかけてくれた新妻には感謝しないとな。
少しぼーっと授業を眺めていると、授業終了のチャイムが鳴る。
片付けをして帰宅の準備をする…だが!俺には楽しみにしている事がある!!
それは部活!綾姉の漫画で部活は青春の場だと見た。これはやるっきゃない!
「って事で!玲!部活見に行こうぜ!」
「んん?……あぁ、はい!部活ですね!今から見に行きますか?」
最初はなんのこと?という表情をしていたが、途中で理解したのかすぐに準備してくれている…うん、今のは俺が言葉が足りなさすぎたな、反省反省…。
「おう!俺運動好きだから運動部?に入ろうと思うんだよな…こう…青春!って感じがする…」
「あ、運動部……ですか?……」
「え?何その反応…もしかして運動部は入れない…とか?」
玲は少し悩んでいる、その情報を俺に言っていいのか迷っているっぽい?何故かは知らんけど。
「んん…そうですね、運動部は多分斧剛さんには入れないと思います」
「うん、反応から分かってたけど、なんで入らない方がいいんだ?」
まぁ、玲がダメと言うなら本当にダメそうだから従っておくが、一応理由を聞いておきたかった。
「えっとですね、まず昨今の状況からあまり男子が登校しないのはもう斧剛さんも知っていますよね?」
「おう!さっきも散々教えてもらったしな!」
「まずその点で男子用の大会とかがあまり開催されていません。あるにしても小規模ですね…それにこの世の女性は幼い子を除いてほぼ全てが欲求不満です…そんな場所に斧剛さんを行かせる訳にはいきません!」
あー、うん、何となく分かった。まぁ大会がほぼ無いなんて聞いたらやる気が少し下がった。
「そっかー…それじゃあ別の部活探すか……玲は何が入ろうとしている部活はあるのか?」
「いえ、特にはありません…ですけど斧剛さんと一緒の部活に入りたいと思います…」
「その方が護衛的にも安心だよなぁ…んー…」
この際部活に入らなくてもいいような気がしてきた…最初は青春っぽい!とも思ったが…やはり漫画は漫画、現実とは違うものである。
「んじゃあ部活は後回しにして…少し学校歩こうぜ!一応案内はしてもらったけどまだ地形を把握していないからな」
「そうですね、それではいきましょうか」
俺が先行し、玲がその三歩後ろを歩く様な形で進む、俺が今まで通っていた学校モドキとは違い、色々な部屋がある。
それらを周り、最後には校舎裏の、ちょっとしたスペースにたどり着いた。
この場所は人気が無いのか、やけに空いている。校舎の中や校庭は女子生徒で溢れていたからな、少しは気が楽になった。
「んっしょ……んっしょ……」
ん?何やら声が聞こえる。
少し気になり声の方向へ歩き出す。
「ふぅ…これで合ってるかなぁ…んー、去年と違って勉強したから大丈夫だと思うけど…」
そこにいたのは少し小柄な人だった。身長は百五十センチくらいだろうか?茶髪の髪が背中ぐらいまで伸びている。
どうやら何かを植えているらしい…花か?
「うぇへへ…今は花をそのまま植えただけだけど、いつかは種からやってみたいなぁ…」
「すいませーん!何してるんですか?」
そう言うと、ビクッと反応して恐る恐るといった感じでこちらに振り向く。
すると反対側に振り向き、誰もいない事を確認しながらもう一回こちらに振り向く。
そしてまた後ろを振りむ………「いやいや、あんたにいったんだよ」
「びゃぁ!わわわわ、わたしですか!?」
「そうそう、今何やったんだろうなぁって」
「ひぇッ…え、えっとですね…今はお花を植えている所です…わたし、園芸部なので…」
「花かー、俺はそこら辺専門外だけど、春に咲く花って例えばどんなのがあんの?」
「あうあう…チューリップとかです?…あ、他には茄子の種とかも植えてます、実がなるのは夏ですけど…」
「へー!茄子か!そこら辺は俺も分かるぞ!俺農家の出だからなぁ」
「あ、そうなんですか…」
見た感じ水やりとか土の状態も悪くない、一生懸命にやっている事が十分に伝わる。
「なぁなぁ、さっき園芸部って言ってたよな?他には部員いるの?」
「ひぇ?えーと…私しかいないですね、一人ですぅ……」
何やら急に落ち込んでしまったが、多分一人という部分だろうな…。
「んー…もしかして一人の方が気楽って部分はあったりする?」
「………確かに一人の方が気楽ではありますけど、私も誰かと関わりたいと思っててでも誰も園芸部なんかに入ってくれなくて私も『あれ?入る部活間違えた?』とも思ったんですけど一度入った手前抜けるのはなんか嫌だなと思ってはいたんですけど結局そのまま惰性に続けてきて一年が経ちそこまで興味が無かった園芸にも興味が出てきて、『よし!私は一人で頑張っていこう!友達なんていなくても大丈夫!』と一人で意気込んでは見たもののやっぱり寂しくてでもこの場所はあんまり目立たないし見つかりづらいですから誰も園芸部なんて知らなくて、勧誘もしようとは思ったんですけど私なんかが喋りかけていいんだろうかと思って、というかそれ以前に私人に話しかけるの苦手だから勧誘なんて出来るはずもないんです、でもやっぱり一人は寂しい!」
「お、おう…」
あまりの勢いに圧倒されてしまった…後ろの玲も若干引きながらも少し不憫な子を見る目で見ている。
………野菜を育てるなら俺の経験も活かせるし、そもそも俺は野菜を育てるのに忌避感は無い、むしろ好きな部類であった。
この多分先輩も悪そうな人じゃないし…よし!決めた!
「なぁ?俺も園芸部に入っていいか?」
そう言うと、今までの黒いオーラは影を潜め、数回こちらの方を向き、パチパチと瞬きをする。
するとパァーっと笑顔になる……めっちゃ良い笑顔だな…。
「え、え、え!良いんですか?本当に?後悔しないですか?園芸って結構大変ですよ?土で汚れますし肥料は重いし、あ…それに私なんかと一緒にいると陰気オーラが移っちゃいますよ…あ、自分で言ってて悲しい!」
急にまた暗い表情になる…コロコロと表情が変わるなこの人…。
「いいんだよ、俺本当は運動部に入ろうと思ってたんだけどなんかダメみたいでさ、青春っぽい部活ってやつをやってみたかったんだよな、農業なら俺もやり方は分かるし、あんたも面白い人って分かったしな」
「うぇ!?わわ私、面白いですか?そ、そんな事初めて言われました…うぇへ…うぇへへ……あれ?もしかしてお世辞?」
「いや、お世辞じゃ無いんだけど……」
「そ、そうですか!…うぇへ」
少し情緒不安定だなこの人…あまりこういうタイプと接したことが無いせいか対応が分からんな…まぁほぼほぼの人についての対策もわからないけど!俺に分かるのは婆さん達の機嫌の取り方ぐらいだ。
「あ、そうそう俺の名前は穂浪斧剛ってんだ…で後ろにいるのが…」
「斧剛さんの護衛官の五十嵐玲です、二人共今日転校してきたばかりですので勝手がわからない事もありますのでよろしくお願いします…あ、学年はどちらも一学年です。斧剛さん共々よろしくお願いしますね」
「あ、これはご丁寧にどうも…あ…私の名前は八乙女優香です…えっと二年生です……えへへ、急に二人も部員が入っちゃった…」
なんとも不思議な先輩のいる部活に入ったが、これもまた青春だろう…な!綾姉の漫画!!
空から『それもまた青春!』という声が聞こえ(幻聴)たし!今日は結構激動の一日だったんじゃなかろうか?これからも楽しみである。




