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6話  初のダンジョン探索は、地味がいい

 初投稿になります、思い付きで書き始めたので至らない点が只あると思いますが、よろしくお願いします。

 気になる点があればお気軽にコメント欄にてメッセージを送ってください。


 

 敏郎爺さんの家を後にした雫斗達は、今日の予定を話し合いながら歩いている。

 

 「ねえねえ、せっかくだからダンジョンいかない?」と百花さん雫斗も行くつもりだったから、賛成するが一応断りを入れる。

 「僕も行くつもりだけど、1階層だよ?」「え~~、何でよ」と不満を露わにする百花さん、「1階層ってことは、スライム?」と弥生が聞いてくる。

 

 「スライムってさんざん検証されてるじゃない?、今更何を調べるのよ!」とおかんむりの百花を無視して。

 「検証って自分たちがやった訳じゃないから、せっかく自分たちでダンジョンに入れるんだから、とことん調べたいからね」と雫斗が話すと。

 

 「で、何を検証するんだい?」と興味を惹かれたのか恭平が聞いてくると、弥生も聞く気になったらしい。

 一人だけむくれている百花だが、一応何も言わないので雫斗は考えた事を得意げに話し始める。

 

 「えっへん!、スライムって叩いても叩いても平気じない?」と雫斗が言うと。

 「そうね、打撃にはとことん強いわね、尖ったものには弱いけどね」と弥生。

 「そう!!打撃には強いスライムだけど、中からの打撃にはどうなのか?と考えたわけなのだよ」と雫斗が掛けてない眼鏡を押し上げる仕草をする、精一杯の秀才のパフォーマンスだが。

 

 みんなの表情は 頭の上に”?”マークが飛んでいる。

 

 「何それ、空気入れでも突っ込んで空気を入れるの」百花の頭の中ではスライムの横で、一生懸命空気入れのポンプを押している姿を想像している。

 

 「それも一つの手だけど、もっと簡単なのがあるわけだよ百花さん」と雫斗が言うけど、みんなはポカーンとしている。

 

 立ち止まって、みんなを見回した雫斗はボソッと一言。

 「花火」、・・・・・・。

 

 「なるほど中で破裂させるのか、とんだ盲点だな」と恭平が言うと。

 「面白そうね、何使うの?ロケット花火?ねずみ花火?爆竹?」と百花が興奮して話しだす。

 

 「どれも破裂系だけど、ロケット花火とねずみ花火は移動するから不味いかもね、爆竹は導火線が濡れるとちょっとね、スライムは水の塊だしでっ、来る前にネットで調べたんだけど水中花火ってのがある」と雫斗が言うとみんな知らないらしく怪訝な顔をする「これこれ」と雫斗がスマホで動画を見せる。

 

 それはどうやら水中花火の宣伝動画らしく、花火を楽しんでいる家族の映像から始まる、浴衣を着て大きなタライに水を張りその周りで線香花火をしている家族、するとナレーションが。

 

 「花火は楽しい娯楽です、でも火を使うので危険がつきもの、遊ぶときは大人の人と一緒に楽しみましょう、水の用意を忘れずに。でもこれなら大丈夫」。

 

 すると一人の男の子が水中花火を取り出し、マッチの横で”シュッ”と擦ると勢いよく点火する、それをおもむろにタライの水の中へ放り込む、すると水中花火は”水の上を”ゆっくり進み、しばらくすると「パン!!」と大きな音を立てて破裂する、水をかぶった子供たちが「わ~~」。と楽しそうに叫んで逃げていく。

 

 動画を見たみんなの反応はいまいちだけど、百花が「地味ね~~」。と一言。

 ”地味って言うなし”と思ったけど 雫斗が気を取り直して「どう行けそうじゃない?、一応水の中でも破裂しそうだし」と言うと。

 「そうだな、まあどっちにしても試してみない事には解らないね」と恭平もテンションが落ちる。

 

 「そうね何事も試してみないと、ところでその水中花火この村に売ってるの?」と弥生が言うと。

 「うん調べた、吉川さんが村の売店に何箱かあるって、でもかなり前に仕入れたから使えるかわからないって」。みんなの反応が薄くて意気消沈気味に雫斗が話す。

 

 ”じゃ~取り敢えず、現物を見てみよう”、ということで皆で村の売店を目指すことにする。

 売店といっても、コンビニとスーパーと金物店が一つになった販売所だ、世帯数800人を賄える程度の規模で品数はそう多くはない、欲しい物が無ければ注文販売となるためしばらく待たなければならない、ちなみに電化製品も置いている。

 

 「吉川さん、今朝電絡した水中花火はありますか?」雫斗はレジのカウンターの中で暇そうにに電子新聞を読んでいる、吉川夏美さんに話しかける。

 「あるわよ」と言ってバックヤードに消えた吉川さんは、台車に積んだ段ボール箱3つを運んできた。

  そんなに要らないんだけどと思いながらも一応聞いてみる「おいくらですか?」。

 「いらないわよ、使用期限も切れてるし、使えるかどうかもわからないもの在庫処分扱いでいいわ。でも何に使うの?、一応火薬だから取り扱いには注意しないとね」と太っ腹な吉川さん。

 

 「ダンジョンで、スライム退治?」と雫斗は自信がないので疑問形で返す。

 「そう?、良く分からないけど全部はいらないでしょう?危ないし、うちで預かって置くから、使うときに取りに来て、とりあえず4つあればいいかな?」と段ボールを開けて 小分けされた4箱を取り出すと、カウンターの上に置いた。

 

 それから[にこー]と笑って「ついでに何か買っていってね」商売上手な吉川さんである。

 雫斗は飲み物とサンドイッチを棚から取り出しカウンターに向かいながら、買い忘れたものを思い出した。付箋紙とライター、火をつける道具を忘れては花火を買いに来た意味がない、取り敢えず確かめられる事はとことんやろうと決めていた。

 

 レジに戻るとほかのメンバーは買い物を終えていた、雫斗は商品をカウンターの上に出し探索者カードを取り出す。

 「あら、カードを取得したの?使うのは今日が初めて?」吉川さんが聞いてくる雫斗がうなずくと、「現金をチャージしてないと使えないけど、もしかして昨日の魔物のドロップ品を換金したの?」。

 

 どうやら昨日の武勇伝が一人歩きしているようだ、顔を赤らめながら頷く雫斗に吉川さんが。

 「じゃー、この装置にカードを触れて」多面体の水晶の様なものを示す。

 

 ”シャリりン”という音とともにレシートが吐き出されてくる「はいこれ、商品とレシートね、あっ!これからは自営業の扱いになるから申告の時に必要な伝票とか領収証とかはちゃんと保管しといてね。じゃーありがとうございました」と吉川さんが商品と一緒にレシートを渡して、店員らしく頭を下げてくる。

 雫斗はお礼を言って商品を受け取ると、リックに詰めて売店を出る。

 

 皆はすでに買い物を終えて待っていてくれた、百花が悔しそうに「私もカードで払えばよかった」と言ってくる。

 昨日のドロップ品は、ポーションとハイオークの魔晶石を除いた食材のカードとハイゴブリンからドロップしたシートソードを換金して、4人の探索者カードの口座に振り込んで貰っていた、思いのほか高級豚肉のカードは高値で売れて、4人ともちょっとビビっていたのは内緒だけど、4人で分けても結構な金額になっていた、

 

 店を出た雫斗はカードを仕舞うと百花に話しかける「フフフ、今朝起きて花火の検索してたら使ってみようと思っていたんだ、それより百花がシートソードを手放すとは思わなかったよ」。

 

 「あら!、私の得物は刀しかないわ、直剣は使いずらいのよ」と爺様の家から持ち出した木刀を起用にくるくる回している。

 恭平はというと錫杖を担いでるし、弥生は短弓を持っている、武器らしい武器を持っていないのは雫斗だけである。

 

 ”みんな気合入ってるな”と思いながらも「1層だとその木刀も使い道がないと思うけど」と言うと。

 「あら!、ダンジョンじゃ何が有るか分からないわよ」と百花さん、おっしゃる通り雫斗達4人は村のダンジョンへと向かうことにする。

 

 ダンジョンの周りには関連する建物が建っている、受付をするための施設と買取所それに併設されている警備員待機所と、最低限の建物が並んでいる。

 

 受付の前のホールは空いていて誰もいなかった、カウンターの前に来た雫斗達は受付の人に声をかける「芳野先輩、入ダン受付お願いします」菅原芳野、雫斗達の一つ先輩だ、受験生だが協会の受付でバイトをしている。

 

 「あら、今日は貴方達だけでダンジョンに?探索者カードは持ってきた?」参考書をかたずけて芳野が聞いてくる、「はい」と答えてそれぞれのカードを機械に通す。

 

 「昨日、活躍したのってホントなのね、今日は何階層を探索するの?」と画面のデーターを見ながら聞いてくる。

 「1階層」と言いかけた雫斗の言葉に被せて。「1階から3階層迄取り敢えず回ってみようかと、帰りは5時の予定です」と百花が言い切る。

 「わかったわ、パーティーは組むけど別行動でいいのよね」と芳野が笑いながらデーターを打ち込んでいる。

 

 「出来たわ、間違いがなければ画面の認証をタップして」画面の情報を確認した百花が画面に触れる。

 

 「OKよ、入ダンゲートの通り方は分かるね、いくら3層ダンジョンだからって無茶しないでね、気を付けて行って来るのよ」芳野先輩に見送られてゲートへと向かう。

 ダンジョンの入り口は建物でふさがれている、資格のない子供たちが入らない様にするためと、万が一魔物が出てこない様にするためだ。

 万が一とは魔物が入り口から出て来たことは今まで報告されていないからだ。

 ダンジョンの入り口付近はダンジョンの影響下にある、魔物がダンジョンの外に出てくるのは、リポップしているからだと言われているが魔物が出現する所を見た人はいない、つまり憶測でしかない。

 

 ダンジョンの入り口は二つの扉で仕切られている、最初の扉のカードリーダにカードを通すと扉が開く、パーティー全員がリーダーに通して中に入ると最初の扉が閉まり、第二の扉が開き中に入れる仕組みだ。

 

 最初にパーティーリーダーの百花がカードを通す、認証された機械音とともに最初の扉が開く、次々と認証を済ませて最後に雫斗がカードを通す、4つのカメラの圧迫感に顔を引きつらせていたが通過の表示にほっと胸をなでおろす。

 

 雫斗達はゲートを通るのは初めてではない、何度か大人たちと通っている、非探索者一人につきの探索者一人の付き添い義務が条件としてあるが、薬草採取や鉱石の運搬など大人たちの手伝いをした経験がある。

 

 しかし今日は雫斗達だけでダンジョンに入る、その為緊張で顔が引きつっていたのだ、無事ダンジョンに入ると百花が頬の筋肉をぐりぐりとほぐしていた、どうやら緊張していたのは雫斗だけではなかったようだ。

  

 雫斗が「お仲間~~」と頬をほぐしながら笑いかけると、顔を真っ赤にして「ふん!!」と背を向けて歩き出す。

 

 村のダンジョンは測量されていて詳細な地図がある、雫斗達はスマホに映した地図を頼りに2階層の階段から少しそれて進む、

 しばらく行くと一匹のスライムを発見した、ダンジョンの中のスライムは池ダンジョンの周りにいるスライムの倍近い大きさがある。

 

 ダンジョンカードを取得させるのに池ダンジョンの外のスライムを使う理由の一つだ、最初のスライムの討伐は大きいスライムより小さなスライムの方が、倒しやすいだろうと思ったからだ。

 

 ブニョブニョと動くスライムを気持ち悪そうに見て「相変わらず気味の悪い動きだわ、塩の塊をぶつけたくなる」と百花。

 ナメクジを連想したようだ、確かにこんな大きさのナメクジなら見たくない、ちなみに塩をかけてもスライムには効かないことは実証済みだ。

 

 「誰からやる」と雫斗「言い出しっぺは貴方だから、貴方がやりなさいよ」と百花。

 

 「わかった、これで撮っててくれる?」とスマホを百花に預ける。

 

 百花がスマホを構えてキューを出す、雫斗は水中花火を取り出してライターで火をつける、”シュウ~~”という音とともに着火する花火、慌て雫斗はスライムの上に投げ捨てる。

 

 しばらく、もくもくと煙を吐き出していた水中花火は、静かにスライムの中に消えて行った。

 

 ””あれ~、失敗か?””と思ったとき「ボォフン」、という鈍い音とともにスライムが弾けた、すると”ビチャ”とスライムの残骸が飛び散り、敢え無くスライムは光の粒へと還って行った。

 

 あまりの成り行きにお互い見つめあっていると「わりと呆気なかったわね」と百花が言いながらスマホを返す。「びっくりした!!、こんなに簡単でいいの?」と弥生。「いや~~、思っていたのと違う」と恭平。

 

 それぞれの感想を言いながら、ごそごそと花火を取り出して歩き始める、慌てて雫斗は「一時間後に、ここに集合だよ地図にマークしていてね」と大声を上げる。

 

 ピタッと止まった百花がスマホを取り出しながら親指を突き上げて、ダンジョンの奥へと消えていく、弥生もスマホを見ながらついていく、どうやら百花と弥生は一緒に行動するようだ。

 

 恭平もスマホを見ながら別の通路へ消えていく、ダンジョンの洞窟は通路と広間の連続で迷路のようにつながっている、魔物は通路より広間の方に固まっていることが多い、皆はあたりをつけた広間に向かっているようだ。

 

 雫斗もスマホを見ながら皆と違う広間へ向かう、道すがらスライムを倒しながらニマニマが止まらない。こうも思惑通りにいくとは思っていなかったから久しぶりに気持ちが高ぶっている。

 

 目的の広場に着くとたくさんのスライムを発見した、人気のないこのダンジョンはスライムが討伐されていなくてけっこうな数が残っていた。

 

 雫斗は手を合わせてお辞儀をする、「どうぞいいドロップ品に当たりますように」1階層のスライムでもアイテムがドロップする、しかし浅い階層は深層より確率が悪い、それで神頼みではなくダンジョン頼みでお祈りをしているのだ、効果があるかは別にしてそれぐらいドロップしないと聞いている。

 

 さぁー始めるかと花火を取り出して火をつける、”シュ~” ポイ ”バフゥン”、”シュ~” ポイ ”バフゥン”、と軽快にスライムを倒してると、たまに”パァァァン~~”と大きな音が聞こえてくる。水中花火をスライムの上に置けなくてそのまま破裂させてるみたいだ、洞窟の中だとけっこう大きな音が響いてくる。

 

 そろそろ水中花火が無くなるころ、集まる時間になったので集合場所へと戻っていく、ドロップしたアイテムは初級ポーション×5のカード1つと、スライムゼリーのカード3つまあまあの戦果だ、数を倒せたのがよかったみたいだ一時間で50匹以上はいい出来だと思う。

 

 ちなみにスライムゼリーは食糧ではない、食べられない事はないが薬とかの材料になるらしい。

 

 集合場所に着くとすでに全員が集まって雑談していた「ごめん、遅くなった?」と雫斗が言うと、百花が開口一番「飽きた」とご機嫌斜めだ。

 

 予想していた雫斗は”あはは”と笑うしかない、百花達は3層の草原で狐や兎の魔物を狩りたいのだろう、仕方ないこちらの検証に付き合ってもらったし、行ってみるかと雫斗が考えていると。

 

 「なんだ、お前たちか」と声がかかる、驚いて振り向くと壮年の大男が洞窟の通路から現れた。

 

 「おやじ!」「おじさん」と恭平と百花が同時に言う、現れたのは立花浩三。

 恭平の父親でダンジョンの3層で狩るをして生計を立てている。

 「ものすごい音がするから来てみれば、犯人はお前たちか?」と笑いながら話す。

 「あら!悪戯していた訳じゃ無いわよ、ちょっとした検証よ」と百花が雫斗を見ながら話す。

 

 「スライムの効率のいい倒し方を試してました、1時間で50匹以上倒せました」と期待を込めて雫斗が言うと。

 

 「そうか?、それはすごい」と一応驚くが反応は薄い、落胆する雫斗に。「報告だけは忘れずにな、何が収入に成るか分らんからな?」とアドバイスをする。

 

 「はい、ありがとうございます」と雫斗がお礼を言うと。「ねぇねぇおじさま、3階層へ行くんでしょう?私たちも連れてって」と百花が離脱を宣言した。

 

 「構わんが、木材集めだぞ?」と斧を見せる。「なんでもいいわ経験になるもの、退屈なスライムよりね?」と百花が鼻で笑う。

 ”くそぅ~~!、世紀の発見をしても教えてやらんぞ”と雫斗が震えていると。「はいこれ」と残った水中花火を、雫斗に押し付けて3人で浩三さんについていった。

 

 ”ぼっちだろうが、地味だろうが徹底的に1階層をしらべてやるぞ~~!!”とその時雫斗は誓うのであった。

 手直ししています、大筋では変わりませんが名称など少し変わっている点があります。


 少し時間をかけて直していこうかと思っています。読みにくいとは思いますがよろしくお願いします。

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