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1話  ダンジョンとダンジョンカードの秘密

 初投稿になります、思い付きで書き始めたので至らない点が只あると思いますが、よろしくお願いします。

 気になる点があればお気軽にコメント欄にてメッセージを送ってください。

 

 


  

 細い山道を進む一団がいる、大人の男性を先頭に数十人が楽しそうに歩いている。今日は村の学校の課外活動の一環で、遠足兼魔物対策を実地で教えるため村から数キロ離れた沼に向かっている。

 

 都市に人口が集中した今日、この村もほかの郊外の村と同じように過疎化が進み、世帯数で80世帯ほど人口にして300人を下回るほどになってしまっていた。その要因として交通の不便さが挙げられるが、主な原因は5年前に起こったダンジョン発生の波だと言える。

 

 突然発生したダンジョンは、まるで人口の多い場所を求めるように都市部を中心に増えていった。最初の数年はインフラを破壊された大都市の復旧と、ダンジョンの調査とダンジョンからもたらされる物質の研究と開発、そしてダンジョンから産出される数々の不思議なアイテムの利権をめぐる争いで世界は混乱を極めたが、ようやく落ち付きを取り戻した。

 

 高崎雫斗は中学2年生の男の子だ、今日の課外活動の最上級生でほかの同級生とともに小学生の世話をしている、手をつないでいる小学4年生の女の子に気遣いながら声をかける「千佳ちゃん 疲れてない?」。「全然平気だよ」と斉藤千佳がつないだ手をぶんぶん振りながら元気に答える。

 

 さすが小さいころから村を走り回っている女の子だ、ちょっとした山道など大したことがないようだ。「シズちゃん シズちゃん、冒険者だよ冒険者、やっと冒険者になれるんだよ!!」と嬉しそうに千佳が話す。「いや冒険者にはなれないからまだ小さいし」と苦笑いする雫斗。

 

 「おおお、千佳っちは将来探索者希望なのかにゃ~?」と変な猫語で話しかけてきた人物は、生徒から”猫先生”と呼ばれている引率の先生だ。別に猫好きとか猫を被ってるとか言う訳でわなく、いや・・・猫を被ってるのはあながち間違いではない、まるで猫の被り物を着ている様に二本足で歩いているのだ。

 

 これもダンジョンからの恩恵の一つだ、猫先生はゴーレム系アンドロイドでダンジョン産のアイテムと現代科学の融合体だ。ゴーレムと呼ばれる魔物を倒したときに、たまに残される魔核と呼ばれるものを調べていると偶然自我が芽生えた、魔物の取得物なので警戒されたがおおむね人類に従順だったため、まずは試しと機械の制御を任せると驚くほどうまくいった、今ではアンドロイドとして無くてはならない存在となっている。

 

 「猫先生、焚き付けないで下さいね。千佳ちゃんはまだ10歳なんだから」そう雫斗が注意すると「分かっているにゃ、でも此れからダンジョンカードを取得しに行くのに、それぐらいの気概がないと駄目にゃ~」と言っている傍から応援し始める。それを聞いた千佳が気合い入れたのか握っていた手に力がこもる。

 

 今の人類はダンジョンに依存して生きている、エネルギーはもちろん電気や食糧、医薬品や衣料品に至るまで、そのほとんどをダンジョンから得られる物でまかなっている。そのためダンジョンに入り探索して資源を運び出す存在が必要になってくる、その人たちを支援することを目的に探索者協会が組織された。ダンジョンの管理と産出物の買い取りと保管が主な業務だが、ダンジョンを探索をする人の育成と管理も行なっているのだ。

 

 数々の恩恵をもたらすダンジョンだがいい事ばかりではない、当然ダンジョンの中には魔物がいて戦闘により命を失う危険もある。さすがに10歳の女の子に”ダンジョンからお宝を取ってこい”と言うほど鬼畜な社会ではない。

 

 都会ほど危険な魔物はいないとはいえダンジョンの影響下にある土地は魔物がしみだしてくる、その対策とダンジョンカードの取得が目的だ。なぜダンジョンカードを小さな子に取得させるのかというと、ダンジョンの魔物を倒したときに出てくるポーションやスキルは、ダンジョンカードを取得した者しか使うことができなかった為だ、もしもの時のためにダンジョンカードを取得させるのだ。

 

 ダンジョンの中であれ外であれ、初めて魔物を倒したときに出てくるダンジョンカード、便宜上カードと言っているが自分以外の人に見せることはできても他人が触れることができない、ただ存在するだけの不思議なカード。しかし最近いくつかの機能が分かってきた、まず意識を向けていないと何時の間にか消えてなくなるのだ。

 

 ”無くした!”と思って意識向ける又は探そうとすると手に持っている、まるで手品のように出したり消したりできたのだ。最初手の中に出したり消したりできる機能からアイテムボックスを疑われたが、カードが自分以外触れる事が出来ない事と、カード自体に書かれている文字でステータスの表示機能の一種なんじゃないかということで落ち着いた。

 

 表面に書かれているのは自分の名前とレベルだけしか書かれていないが、ダンジョンの到達階層でレベルが変わることがのちに分かった為だ。もう一つの機能としてお互いを認識する機能がある、カードを重ねて勧誘と承諾の意思を伝え合うと繋がる様な感覚がする、離れていてもお互いのいる場所がなんとなく分かるし、近くにいると考えていること行動しようとしていることが漠然とわかるようになる。複数でダンジョンに行くときはお互いを認識する機能を使うことでパーティーを組む、そうする事で探索や戦闘で優位に立つことができた。つまりダンジョン探索の必需品である、その為”パーティーカード”と呼ぶ人もいる。

 

 周りを見回すと立花恭平が歩くジャングルジムと化している、斎藤千佳とともにダンジョンカードの取得に挑む、男の子三人にまとわりつかれていた。恭平は体がでかい筋肉質で身長は1メートル90を超える、大きなリックを背負い肩ひもを掴んで、ゆっくり歩いている。その両側から腕やリックのひもを手掛かりに、山頂(肩車)を目指して登っていく。

 

 揺れ動く歩く山は強敵らしく腕にぶら下がっては落ち、肩に手をかけては落ちを繰り返し、落ちるたびに落ち葉をまとわりつけて挑んでいる。その後ろでは転げ落ちた子供たちを助け起こしながら「頑張れ~~」、「まだいけるぞ~~」と煽る中学一年生の女の子二人と、生暖かい目で見ている小学生高学年の女の子たちも今日ダンジョンカードの取得に挑む。

 

 最後尾には一年生から三年生までの年少組を従えた雫斗の同級生の女の子二人、斎藤百花と麻生弥生が「歩こ~~、歩こ~、私は強い~~」と何処かで聞いた様な歌を変な替え歌にして歌いながら歩いている。

 

 総勢25人、高校受験を控えた3年生5人を除いたこの村の小学校と中学校の全校生徒と教員2名、あと警備と護衛を兼ねた人型の2体のゴーレム系アンドロイドと動物を模様した三体のアンドロイドが、村から山一つ越えた小さな池のほとりを目指して歩いている。


 数年前まではダンジョンカードの取得条件は20歳以上と決められていた、だがダンジョンから産出されるポーションが怪我や病気に効くことがわかると、だんだんと低年齢化していった。障害となったのはダンジョンカードの取得には単独での魔物の倒伐が条件だったこと、つまり大人が手助けできないのだ。

 

 今では最弱と言われているスライムは、昔は討伐するのに困難を極めた、水あめの様にグニャグニャしてるくせに打撃には強く、ハンマーや棒などで叩いてもまるでゴムボールを叩いた様に跳ね返してくる。そのくせ力を入れなければすんなりと中に入っていく、と言うより纏わり付いてくる。

 

 当初スライムを倒すには槍や剣等の先の尖った物を、スライムに突きこんでひたすら魔核を突きまくる事しかできなかった。ただ効率が悪かった、運よく魔核を突ければ倒せるが、纏わり付かれるとその武器は捨てるしかなかった。

 

 そのためしばらくはダンジョンの最弱で最強の魔物として恐れられていた、というより無視されていたのだけれど。1階層の洞窟層で多く生息していてしかも秒速2、3センチほどしか動かない(ほとんど動かない)つまり避けて通れば問題なかった。

 

 雫斗達も去年の終わりダンジョンカードを取得している、相手は2階層(1階層と同じく洞窟層)に多くいるケイブバットとケイブラット。スライムとともに最弱と言われているが、たたけば落ちるし踏みつければ倒せる魔物を相手に、トラウマ級の大立ち回りの末での(主に仲間のフレンドリーファイヤーのダメージで)カード取得である。

 

 今年の初めあるパーティーの一人が1階層でスライムに水を掛け始めた、本人によると”今までスライムに食われた数々の武器のうらみで思わず水を掛けていた”とのこと嫌がらせのつもりだったようだが、当然貴重な水を台無しにしたことを咎められる。「近いから取りに行けばいい」とか「時間がもったいない」とか言い争いをすること数分、生暖かい目で見ていたほかのメンバーが気が付いた。

 

 スライムが水に溶けだしているのを、水たまりの中に魔核が露出して居てそのまま光と共に消えていった、そのあとは探索どころではなくなった、ありったけの水を使っての検証が始まった。その結果スライムの体積の2倍程で溶け出すこと、時間は3分ほど掛かること、水たまりでなければ効果がないこと、一度溶け出したスライムの魔核は光に還元された、つまり条件さえよければスライムを倒せる。

 

 そのことを報告したパーティーは一躍時の人となった、10歳未満の子供でもダンジョンカードが取得できるようになるのだ。病気の子供を抱える親たちからポーションで病気やケガが治ったと、感謝の言葉と手紙が多く寄せられた。一時期検証番組やさらなる討伐方法を探して世間をにぎわせていたが、次第に下火になっていった。

 

 いくら倒しても強くなった気がしない最弱のスライムは討伐の対象から外れ、かくしてダンジョンカードの取得のための魔物として定着していったのである。

 手直ししています、本筋では変わりませんが名称など少し変わっている点があります。


 少し時間をかけて直していこうかと思っています。読みにくいとは思いますがよろしくお願いします。

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