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昔飼ってた犬がイケメン男子高校生になって会いにきた話  作者: 原香織
第一章 謎の男子高校生との出会い
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第3話


数日後、葉月は彼のことはもうすっかり忘れて、いつものようにパソコンに向き合い仕事をしていた。


 そこへ席を外していた朱里が戻って来て、「聞いて葉月、また入り口にこの前の男の子がいたらしいよ」と言った。


 葉月はまさか、と言う顔をした。


「私帰りに話しかけてみようかなー」


「朱里さん、やめておいた方がいいですよ」


 葉月はこの間のことを思い出して、朱里に忠告した。


「だって気になるじゃん。葉月は気にならないの?」


「気になりますけど」


 実はナンパされました、なんて言えるはずもなく、言葉に詰まった。


 彼はまたナンパの続きをしに来たのだろうか。この間断ったにもかかわらず、また来るなんて一体どう言うつもりだろうか。目当ては自分じゃないにしても、別の女子社員を狙いに来たのだろうか。


 いずれにしても、帰りにまた彼に会うのは気まずいし、できれば会わないことを祈るしかない。


葉月が考え事をしている間、朱里は自分の席に戻った。そして朱里はパソコンを見た途端、険しい表情に変わった。


「でも今日は仕事が定時までに終わりそうにないな。終わるまでに帰っちゃうかもね」


「今日残業ですか?」


「そうだよ、葉月も悪いんだけど、急ぎで作ってもらいたい資料があるから、今日は私と一緒に残業よろしくね」


「わかりました」葉月は朱里に態度には見せなくとも、心の中で落胆した。しかしすぐに気を取り直して仕事モードに入った。


「よし、早く終わらせて帰るぞー」葉月は気合いを入れるため、両腕の服の袖を捲った。


「その調子だよ。あ、そうだ。昨日父の日だったから実家に帰ったんだ。それであのプレゼント、お父さんに渡したよ」


 朱里は嬉しそうな顔をしながら葉月を見ている。


「お父さん、喜んでました?」


「もうすごい喜んでた。葉月が勧めてくれたお陰だよ」


「それならよかったです」


「ありがとね」


それだけ言うと、朱里はまたパソコンに向き直った。


 昨日、父の日だったんだ。知らなかった。でも自分には関係のないことだ。気にせず仕事をしよう。そう思った葉月だったが、なぜか卓上カレンダーの昨日の日付から目が離せなくなった。


なぜだろう。また心が落ち着かない。


  ☆


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