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異世界徘徊お爺ちゃん   作者: 雄大宮雄大
3/4

お爺ちゃんとテニス

騎士団長とスポーツの話


「おはようございます。クボ殿」

「はい。おはようメルジエット君」

 私はメルジエット。私には今1つの悩みがあったのだ。

 私は悩みがあると、どうもクボ殿に頼ってしまう。

 頼りすぎだと自分でも思うし、他の人でもいい気がするかもしれないが立場上他人には頼りづらく解決するような気がしてつい頼ってしまうのであった。


「今日はまた少し悩みがありまして。クボ殿にお力添えをいただけたらと」


 私は長年、この方と接する中で多くの気づきががある。

 長年培われたであろう、生き方のコツもそうであるが。

 例えば、公園の外へと出ていくクボ殿を後ろから眺めている時に私は気づいた。

クボ殿はとても綺麗な姿勢で歩くのだ。歳を重ねるということは体力や筋力の低下を招く。

 彼の見た目はガッシリと筋肉で包まれているわけではないが、やはり戦争を経験しただけあって現役時の筋肉が今の彼を支えるのであろう。

 もしかしたら、今も効果的な運動を知っており続けているのかも知れない。

なんにせよ、今回私の思いつかぬ事を尋ねるにはちょうどよい相手だったのだ。


「私に答えられる事であれば、なんでしょうか?」

 私の質問にいつもクボ殿は柔らかい笑顔を浮かべて答えてくれる。

この柔らかさが普段張りつめている私を引きつけるのかも知れない。


「はい。実は、、、」

 質問の内容はこうだ。私は先日この国の王に呼ばれた。

 そこで騎士団長として今度開かれる王国の武闘大会の余興として市民でも楽しめる事を考えろと言われたのだ。私は3日ほど一人で悩んだ。勿論、クボ殿にもっと早く尋ねようかとも考えた。

 しかしクボ殿はいつも公園にいるわけではない。だいたい3日に1度ほどしかここで会うことはない。

それでも私は会えるかもしれないと思いながら毎日通うのだ、、、話がそれた。


 私は考えたのだ。

 普段、王国でのイベントで市民が参加するものは数あれど武闘大会の前というものは難しい何故なら武闘大会とは武人が武を競うものであり、一市民など参加の余地がないからだ。

「はは、それならいい案がありますよ」

「あるのですか!!」

 私は喜んだ。

 やはりこの方に尋ねたのは正しかったのだ。

 私が剣を振って積み重ねるが如く、歳を重ねるとは知識を重ねるのだと感じた。


「そんな大それた案ではありませんが、スポーツなどいかがでしょう。きっと皆さんで楽しめますよ」

「スポーツですか?」

 聞いた事の無い言葉であったが、この方が言うならきっと素晴らしい事なのであろう。

「あー、競技大会と言った方がよいですかな?」

「なるほど。それならわかります。しかし、この国の競技についてはクボ殿もご存知とは思いますが、とても市民が参加できるとは思えませんが、、、」

 この国の競技は傷つけあうものがほとんどだ。

 武闘大会の前が控えるなか市民がそのような事をしても盛り上がるとは思えない。


「テニスとかどうでしょう?私の孫もやってるんですよ。大人数なら他のやつの方がいいですかね?ルールを書いて持ってきますよ。次に会うまでに間に合いますかな?」

「報告は1週間後なので大丈夫だとは思いますが、本当に大丈夫なのでしょうか?」

 テニスという知らぬ競技だが、本当に大丈夫なのだろうか?

 クボ殿のお孫さんもやってると言うからにはルールは覚えられるものではないのであろうが、、、

 結局私はテニスという知らぬ競技に望みを掛けることにした。

 クボ殿は何時ものように公園からさっていく。

 考えたことはなかったがふと思えば、あの方はいったいどこに住んでいるのだろう。

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