プロローグという名の俺の心の内
«愛羅武勇»という病気を聞いたことあるだろうか?いや、無いはずだ。公式に発症が確認されているのは全世界で俺のみの病だからだ。
人類は…否、生きとし生けるものは必ずと言っていいほど何かを好きになる。それは好きな人、好きな物、好きな食べ物だっていい。likeでもLoveでも誰しも当てはまるだろ?
勿論俺だって人並みに好みはある。勿論恋だってした。
…だが、その恋が俺にとっては……病そのものだったって話しさ。
初めての発症は恐らく幼稚園児の時だったと思う。初恋は担当の先生。優しくて綺麗でガキんちょが惚れるには十二分に充分な理由だった。
先生にときめきを感じた時に、胸に痛みが生じた。当時その事を母さんに話したら笑いながら『それはね歩。恋って言うのよ?』と教えてくれた。俺もそうなんだー程度にしか思っていなかったが、そこで事件が起きた。
日に日に好きになる先生を見ていると痛みを超越して、苦しみに変わった。胸を締付ける痛みが増したのだ。幸いにして父さんが地元の病院を経営していたので、すぐさま入院し、検査してもらった。
特に心臓に問題は無かったので、喘息持ちなのだと診断された。幼い頃に喘息を患う子は意外と多いらしいので、当時の俺も特には気にしていなかったし、時間が解決してくれると思っていた。
だがしかし…先生を想っている間は、俺の胸の痛みが治まることは無かった。
幼稚園児時代を殆ど病院で過ごした俺は、気づいた頃には先生への恋慕は消えていた。それと同時に痛みも治まったので退院した。
次に恋をしたのが、小5の時だったかな?同じクラスの春ちゃんを好きになった。理由は単純明快、可愛かったからだ。これまた容姿かよ!って思うかもしれないが小学生が恋する理由もそんなもんだろ…多分。
まぁ案の定発作が起こり、再び入院した。今回も結構長引き、小学生時代も病院で終わりを迎えた。
そして中学時代、遂に問題が生じた。
再び俺は春ちゃんと再開し、消えかけていた恋心が再熱してしまった。
また発作がくると身構えていたのだが、倒れるほどの痛みはなく、軽度のものだった。だからかな、思いきって告白してしまったんだ。
それが終わりの始まり。
俺自身が迎え入れてしまった……死への道程だった。