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Justice Breaker  作者: 狼狽 騒
第二章
56/292

海戦 14

    ◆





 勝った。

 海軍元帥に勝利した。

 自分の力で。

 その事実について、カズマは全く気にしていなかった。

 彼の頭の中はただ一つ。


「コズエ!」


 相手を真っ二つにした。

 だが、コクピットは無事なはずだ。

 落ちた上半身の方に駆け寄り、コクピットを開く。

 操縦席にはブラッドの姿。

 そしてその横に、両手を縛られているコズエの姿があった。


「コズエ!」


 ジャスティスの力を使って、コズエにダメージを与えないように縛られている鎖を引きちぎる。

 その後、カズマはジャスティスのコクピットから飛び出した。

 そして、何度も転びそうになりながら、彼女の元へ駆け寄る。


「コズエ! 大丈夫か!? コズ――」



 カズマは言葉を失った。



 両手が縄で拘束されているコズエ。

 顔面蒼白で唇も紫色になっている。

 その両頬に手を当てる。


 ――冷たかった。


「待って……嘘でしょ……何で……?」


 カズマの黒目が大きく揺れる。

 目の前の事実を受け入れられていない。


「ねえ……嘘だと言ってよ……コズエ……?」


 耳元を彼女の口元に寄せる。



 ……息をしていない。



「なあ……なあ……おかしいでしょ……こんなの……」


 カズマはへたり込む。

 受け止めなくてはいけない。

 でも受け止められない。

 抱えている彼女の身体はひどく軽かった。

 こんなに軽かったのか、とカズマは思った。

 まるで、魂が入っていないから軽いのだと、事実を突きつけているように。

 抱きかかえている彼女から、徐々に体温が失われるのが分かる。

 認めるしかない。

 認めざるを得ない。



「何でだよ……コズエェェェェェェェェッ!」



 カズマの慟哭が海上に響く。






 コズエ。

 幼い少女。

 だが、とても賢い少女。

 彼女はカズマの腕の中で、まるで眠っているかのような安らかな表情のまま――



 息絶えていた。

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