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海戦 12
「……えっ?」
コズエの表情がみるみるうちに驚きに代わる。
幻聴ではない。
あれは間違いなく、クロードの返事だった。
クロードの声を聞き間違えるものか。
ならばどうして、彼から返事が来たのか?
奇跡?
それともここで彼の考えが読めるようになった?
それともこの近くに彼が来て伝えてくれた?
――全部違う。
(……嘘つき)
コズエの目から大粒の雫が落ちる。
全て悟った。
クロードは今まで、コズエに対して優しかった。
そしてそれは態度だけではなく――
コズエの能力を必要とする、という優しい嘘をついていたのだ。
だからコズエも決めた。
嘘を付こう。
嘘をついてやろう。
嘘をついて――やってやろう。
(クロードさん、そんなことをするなんてひどいです。あんまりです。嫌いになっちゃいました)
にこりと微笑み、大口を開けてブラッドの方へと向ける。
そして、テレパシー能力でクロードに告げる。
(だから私は――あなたを裏切ってブラッドに付きます)