正義 05
◆七年前
「僕は……いえ俺は、けじめを付けなくてはいけない」
七年前。
コンテニューは母親にそう言った。
「だからこそ貴方には――未来に飛んでいただきたい」
そうしてコンテニューは年月を告げる。
それはルード国でクロードとコンテニューが戦った、あの日。
運命のあの日。
「そこから一か月後、クロードとして何らかの式典を開きます。戦勝式典なのか何なのかは分かりませんが、とにかく大々的に行い、必ず何とかして――子供を自分に対して近づかせる手段を考えます」
「そこで私が子供の姿で入り込む、ってことね」
「ええ。そうすればクロードは『完全に油断していた』ということになるでしょう」
油断。
故に実力ではない。
そう決めつける。
「クロード・ディエルは、ここで魔王として永遠に人々の記憶に刻まれなくてはいけないのです。
何があっても、絶対に不可侵である領域に至らなくてはいけない。
誰も触れられない場所に行かなくてはいけない。
それが、世界を混乱させた、魔王としての最後の責務です」
コンテニューは決めていた。
全て、クロードに背負わせる。
「クロードは決して、世界の王にはならない。
その冠は決して載せられない。
クロードがいる限り、世界の平和は長く続かない。
だけど、魔王がいないと世界は平和にならない。
だからお願いします。
クロードが魔王という存在であるまま、貴方の手で――」