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正義 01
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ルード国の支配。
俺はここまでやってきた。
ジャスティスに復讐すると誓って、ここまで進み続けた。
もはや俺に戻る場所などない。
安寧の場所などない。
それは仕方のないことだ。
魔王として、全てを捨ててきた。
人としての幸せも。
それは、復讐しか目に入っていなかった自分の、自業自得だ。
今更後悔などしない。
むしろ、後悔してはいけない。
今の自分がこの場所に立っているのは、多くの人々の助けや支えがあったからだ。
その人々の想いを、行動を、否定するわけにはいかない。
それに自分は幸せなのだ。
ここまで好き勝手してきた。
やりたい放題してきた。
なのにまだ、希望が残っている。
歪んでいるが、それは確かに俺の希望だ。
俺は知っていた。
この後、起きること。
――この後、起こさないこといけないことを。
そのことについて、ネガティブな感情が浮かばないことは無い。
俺だって怖い。
嫌だ。
だけど、そんなことは許されない。
ケジメは付けないといけない。
自分の復讐に世界を巻き込んだ責任は取る。
それが俺の――正義だ。




