未来 04
◆
壁を破壊し、ひたすら突き進む。
そんなクロードが次に人を見つけたのは、とある部屋だった。
左右上下と妙に空間がある、普通の部屋にしては異様に広い場所だった。
そこにいたのは、二人。
片腕を無くして血を流しながら倒れている、ライトウ。
剣を刺して中央に座して屍となっている、キングスレイ。
「……相討ち、か」
クロードは敢えてそう口にする。
正直な話、見た目だけではライトウの負けだ。
だが、両者とも力尽きているのは見て判っていたから、負けのイメージを付けない為にもそう明確に言ったのだ。
――カメラが廻っていることもあって、『正義の破壊者』が少しでも負けているイメージを植え付けたくなかったのだ。
(……言い訳に使えるか)
クロードはこの部屋に入った瞬間、とあることについて、まずいな、と感じていた。しかしながら先までの行動と矛盾してしまう為、それを解消する手段をずっと探していた。
それが見つかった。
「……なあ、ウォルブス。カメラはまだ廻しているか?」
「え? あ、ああ。渡されてからずっと、スイッチとか弄っていないぞ」
「そうか……なら、少し視聴者に配慮しないとな」
クロードはそう言って、ライトウの近くまで行くと、その失われた腕の部分に自身の黒衣のマントを被せる。
「無くした腕とか流れている血とか、あまり見たくないモノだろう?」
そう言いながら、そっとマントの上から腕のあった部分を撫でる。
するとマントが見る見るうちに収束し、失った腕を縛り付けるように巻き付いた。
「腕の代わりなんて作れやしないが、縛って止血なら出来る。黒いから血の跡も目立たないだろう」
「でも……止血した所で……」
「そうだな。だからただの気休め……というよりも、ただ絵的によくしただけだ」
それに――と、クロードはライトウの元を離れ、今度は中央にいるキングスレイの元へと向かう。
「ここはかなり絵的にもまずいから、絶対にカメラをこちらに向けるなよ。俺は映像を見ている人達にトラウマを植え付けるつもりはない。いいな?」
「……? あ、ああ……」
ウォルブスのその返事を聞いた直後――
「悪いな。俺はあんた達みたいに剣の腕に長けていないから、綺麗には出来ないんだよ」
――グチャリ。