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Justice Breaker  作者: 狼狽 騒
最終章
246/292

真実 10

 そこからはもう、試しては死んで、試しては死んでの連続だったわ。

 私はあなたほどの決意もなかったから、誰かを殺すなんて真似は出来なかったし、自分が傷つくのも嫌だった。ワガママな娘だったのよ。だけど自死を選んだこともあるから、結局は自分が傷ついているし、誰か――自分を殺しているのだから、かなりの矛盾になるわよね。

 そんな風に私はぐらぐらとしていたから、先に進むのもかなり遅かった。

 迷ってばかりだった。

 だから少しずつ、少しずつ、ほんの少しずつ進んできた。

 その代償に、心を同じように少しずつ、少しずつ、ほんの少しずつ削り落としながら。


 まず最初に突き止めたのは、三年前に起こった出来事について、だった。


 三年前。

 それはちょうど私が未来に行ってから戻ってくるまでの不在日数と同等であったらしい。私が消えて

 この魔女の村が、一般人にその存在が暴かれてしまったらしい。

 そこから迫害の一途を辿り、魔女のみんなは皆殺しにされてしまったらしい。

 普通に考えれば、一般人に魔女が殺されるとは到底思えない。

 しかしながらというか、当然というか、そこにはカラクリがあった。


 彼ら一般人に魔女の村の存在を教えたのは、金髪の美少女だったという。

 その美少女は一般人に銃を――当時ではオーバーテクノロジーであった連射出来る銃を人々に渡し、その銃によって魔女のみんなは次々と命を落としていったとのこと。更には、何故か魔女達はほとんどが抵抗せず――というよりも、足掻いたけれども抵抗は出来なかった、といった様子であったらしい。そのほとんどが異能を使わないで、凶弾に倒れて行った。だが一部は異能により応戦したらしく、一般人側も犠牲者は大いに出たらしい。

 そこまでしてどうして魔女を殺したのかという疑念や、どうして全員で異能を用いなかったのかという疑問、果ては両親が殺されてしまって悲しいという悲嘆の感情も混ざった思考の渦がぐるぐると渦巻いていたが、時間を掛けて紐解き、私はある結論へと辿り着いた。


 これらの行動や出来事を準備、用意し、実行させたのは全て一人の人物。


 デメテル。


 彼女が何らかの手段で皆の異能を使えなくし、その村に攻め込ませるように暗躍した。

 それしか考えられなかった。

 しかし、それはあくまで状況証拠に推論で脇を固めたモノで、確証はない。


 だから私は探した。

 彼女――デメテルを。


 予想通りであれば、彼女は一般人の振りをして一般人を煽り、魔女を一人も残さずに皆殺しにしたのだろう。

 但し、そこに自分自身は入っていないはず。

 つまり、デメテル自身は生きている。

 その推理を裏付けるように、各知でこのような声が上がってきていた。


 未来から来たような、とてつもない発明品を片手に歩く少女がいる。


 発明。

 彼女の代名詞とも言えるモノ。


 だけど。

 気になったのは同時に、このような声も聞こえて来たということだった。


 自分の身を粉にして尽くす少女がいる、と。

 聖母のような女性がいる、と。


 その金髪の美少女は、自身をこう名乗っている、と。



 ――()()()()()()()()、と。



 どうして私の名を名乗っているの?

 また、後ろの二つのイメージが彼女と結びつかなかった。

 魔女の村の皆殺しも含めて、彼女の行動が理解出来なかった。


 だから私はその意味を確かめるべく、声の出所を当たりにいった。

 何度も死んで。

 何度も繰り返して。



 そして私はついに、彼女を見つけることに成功した。

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