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Justice Breaker  作者: 狼狽 騒
最終章
240/292

真実 04

    ◆



 コンテニューはここからルード軍に従事することになり、様々なことを行った。

 ジャスティスのパイロットとしてのテストランだったり、ジェラスに師事を仰いで身体を鍛えたりした。もっとも、見た目は幼いながらも中身は既に一七歳であったので、基礎教育は流石に受けなかったが。

 しかしながら、彼には多くの時間があった。

 だから考える時間もあった。

 彼は考えた。

 何の為に自分は過去に戻ったのか。

 それを再認識した。

 再認識して、再構築した。

 この先の未来への道筋を。


 思慮、考慮、憂慮。

 色々に慮って。

 そして、その上で彼は改めて覚悟した。


 自身が幸せになること。

 他人を犠牲にして幸せになること。


 それには彼の協力が必要で。

 そして――彼の犠牲が必要だ。


「……違う」


 彼は呟く。

 思うだけではなく口に出してしまう。

 それは葛藤だ。

 考えれば考える程、ある問題点に直面する。

 その問題点の解決策は、あるにはある。

 だけど、どうしてもコンテニューはその策を取りたくなかった。

 何かその他の方法はないか――と模索する。

 探しても、答えはまだ見つからない。

 ピースがあと一つ当て嵌まらない。

 そんな違和をひたすらに抱えていた。


 ――足らない。

 時間が足らない。


 あれだけあったのに、時間が足らないように感じている。

 わざと時を逆戻りしてでも思考したが、それでも答えは見つからない。


 しかしながら――分かっていた。

 コンテニューには分かっていた。


 この違和を埋めるピース。

 コンテニューの策を決定づけるピース。


 それを持つのは――彼女だ、と。


 彼女に会わなくてはいけない。

 それが最終的な答えを見つけるための、彼が出した結論であった。


 だけど、ただ会いに行くなんてことは出来なかった。

 特殊な経緯でルード国軍に入った彼には、スパイ疑惑や復讐の協力者を求めないように、はたまた優れたジャスティスパイロットを逃さないようにと、自由な時間の制限だったり様々な監視の目が光っており、 少し抜けだしただけで大騒ぎとなる程に、この一年は少しの遠出することもままならない状態であった。そんな中で他国へ行くなんてもってのほかだった。


 だから彼は待った。

 必ず、あるタイミングでかの国に――彼女のいる場所へと近づける。

 それを知っていたから。



 思考と思想と謀略と諦観と実験と実戦と油断と熟慮と策謀。

 それらを繰り返しながら、やがて時間は少しずつ進んでいき――


 革命歴 一七三年。

 コンテニューが過去に戻ってから、おおよそ一年後。


 ルード国はとある国への侵攻を閣議決定した。

 その国は最大の敵対国、ウルジスの庇護下にある国。

 緑が豊かで食糧自給率も高く、また地下資源も豊富である国。


 二足型歩行ロボット ジャスティス。

 その圧倒的な兵力を投入することも決まった。


 その侵攻に携わる名の中には当然、コンテニューの名も入っていた。

 彼がエースパイロットであるのは、揺るがない事実であったからだ。


 故に、コンテニューの計画通りであった。

 彼は機会を手に入れたのだ。

 目的地へと足を踏み入れる機会を。



 侵攻する国の名は――アドアニア。

 魔女がいると謂われている国。



 そう。

 彼の目的は、その魔女に――自身(クロード)の母親に会いに行くことであった。

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