クロード 03
あまりにもあっけない結末であった。
バラバラに砕け散っていくジャスティス。
それは今までクロードが相対し、破壊していった量産型ジャスティスと全く同じ様相であった。陸軍トップであった彼のジャスティスは何か仕掛けていたのかもしれないが、こうして破壊されれば普通のモノと何も変わりはしない。
破壊されたジャスティスの欠片の隙間から見えた彼は、既に色が真っ青となっており、目を閉じて息をしていない様子であることが見えた。その様相は恐怖に引き攣ってはいないとはいえ、今まで破壊した後のパイロットの死にざまそのものであった。
陸軍元帥コンテニュー。
アドアニアでクロードをあれだけ苦しめた存在は、戦闘前の会話であれだけの時間を使っておきながらも、こんなにも呆気なく戦いとしては決着がついてしまった。
「……何がしたかったんだ、こいつは?」
クロードは呆れも込めて眼下にいる、既に動かなくなっているコンテニューに疑問を投げる。
しかしながら当然、回答は返ってこない。
「……」
一つ短く息を吐き、クロードはジャスティスだったモノの破片の上から地面へと飛び降りると、正門の方へと歩き出す。
その間も彼は難しい顔をしていた。
先にコンテニューが彼を悩ますことはもう無い――と思っていたのだが、それは思い違いであったようだ。
彼の頭には、コンテニューの最期の言葉が残っていた。
『――僕を信じろ!』
意図不明だった言葉。
それを最後の言葉に選択したということは、何かしらの強い意図があったということだ。
そこまでの強い意思による意図を、全く読み取ることが出来ない。
問い質そうにも、既に彼は物言わぬ存在になっている。
コンテニューの何を信じるのか。
その答えが出ないまま彼はひたすら歩く。正門を抜け、そこに誰も居ないことに気が付かず、ひたすら中心に向かって進んでいく。もっとも、無意識に先の戦いで用いたように空気の盾を用意しながら進んでいたので仮に敵がいても平気ではあったのだが。
――と。
そんな彼の耳が突如、ピクリと動いた。
微かな音。
聞き覚えのある音。
間違いなく――ジャスティスの音だ。
そう確信した彼が顔を上げた途端――
「……緑」
数メートル先に姿を現したのは、通常は黒色であるボディが緑色に染められている、二足歩行型のジャスティスであった。