ライトウ 01
◆ライトウ
俺は剣士としては未熟だ。
ジャスティスを何体も斬り倒しておいて何を言っているのか、と思われるかもしれないが、実際それは間違いがない事実であるのだ。
剣士の相手は剣士だ。
決してジャスティスではない。
そういう観点で言えば俺は『戦士』としては優れていると判断されるかもしれないが、『剣士』としては未熟という意味なのは理解してもらえるだろう。
俺が対峙したことがある剣士は一人だけ。
たった一人だけ。
キングスレイ。
ルード軍最高責任者であり、『剣豪』と呼ばれた男。
アドアニアで対峙した時、圧倒的な差を持って負けた。
相手に傷一つ負わせることなく、見逃された。
〇勝一敗。
これを未熟と言わないでなんと言えよう。
だからアドアニアでの敗戦以降、努力した。
未熟だから努力する。
自分はまだまだである。
そう考えて頑張ったら強くなれた。
だけど――まだ足りない。
キングスレイに勝てる気がしない。
その足りない所が何か。
既にヒントは貰っていた。
皮肉にも、それはキングスレイからであった。
『その刀に名はあるのか?』
刀の名。
確かにライトウは何も考えていなかった。
その刀のルーツも、何も知らなかった。
だが、その点はもう知った。
同時に、彼は答えを見つけた。
ずっと一緒にあるこの刀。
ずっと一緒にいるこの刀。
だからこそライトウはこの刀に――