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過去 07
◆
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
目を開けた少年は息を切らしていた。
その額からは汗が滲み出ており、顔は真っ青であった。
彼は真実を知った。
ずっと隠されていた過去の真実を。
あの時の孤児院であった出来事を。
その事実は彼の心をひどく乱した。
ぎゅっと拳を握って歯を食いしばる。
しかしその隙間から乱れた息が漏れる。
整えようと深呼吸する。
だが、体内がそれを許さない。
自分の左胸に触れる。
鼓動が早鳴りをしている。
止まらない。
苦しい。
かなり苦しい。
身体的にもだが、精神的の方が辛い。
ボロボロの身体よりも、心の中の方が辛い。
この記憶は真実なのか?
――いや、きっと真実なのだろう。
だからこそ、存在している能力、モノがある。
他でもない。
クロードと過去に遭っていたからこそ、今があるのだ。
――つまり。
裏を返せば今の彼らの状況は、クロードが創り出したとも言える。
「俺の……所為だったのか……」
クロード・ディエル。
一週間ぶりに目覚めた彼の口から出た第一声は――後悔の言葉だった。