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敗退 07
◆カズマ
(……か弱いな)
腕の中で泣き続ける彼女の温もりを感じながらそう思考していた。
すっぽりと収まるほどの、小さい身体。
この身体で、どれだけ頑張ってきたのか。
そんな彼女のことを全く見ず、復讐だけに身をやつしていたというのか。
何と愚かだったのか。
後悔しかない。
だが、これ以上後悔しても何もない。
先に進む。
自分しか見ていなかった。
だから今度は――自分以外の為に戦う。
――だけど。
自分は所詮は矮小な存在だ。
全人類を救うなんて真似は出来ない。
そんな先を見通すなど出来やしない。
かといって、そんなに周囲を見回すことも出来ていない。
ライトウのことも。
クロードのことも。
正直、彼らにまで気を回せない。
目先でもいい。
それでも、守りたいものがある。
それだけはやってみせる。
自分の決意は、ただ一つ。
(ミューズに――もう悲しみの涙を流させない)
カズマは彼女を抱く腕の力を強くし。
そして決意を強く固めたのだった。