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エピローグ 01
撤退。
その言葉は重い言葉だった。
今まで快進撃を続けていた。
勝ちしか知らなかった。
負けなど思いもしなかった。
――しかし。
アドアニア国での戦闘。
交渉の前に唐突に始まった戦闘。
急襲されたとはいえ、戦闘力トップクラスが全員参戦していた戦闘。
にも関わらず、撤退した。
しかも相手の主力を何一つ撃破できていない状態である。
成果も何もない。
あるのは痛みと、主力の負傷のみ。
言い訳のしようがない。
この戦闘。
それは『正義の破壊者』の初めての――敗戦だった。