表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Justice Breaker  作者: 狼狽 騒
第三章
102/292

エピローグ 02

    ◆




 やった!

 やったやった!


 アレインは内心の喜びを噛みしめながら駆けていた。

 最初の攪乱の後に危険だからと森の中を隠れながら攻撃を避け、戦場からかなり遠くまで離れていた。

 しかしアレインは目がかなり良かったため、遠くの場所でもカズマと相手のジャスティスの戦いは良く見えた。そして相手機体が破壊されたのを目視し、喜びにあふれながら駆けていた。


「ライトウとカズマがやった! 私達の勝利だ!」


 早く二人の安否を確認し、勝利を分かち合いたいと思い、全速力で通常の道ではなく、ケモノ道を直線的に駆けていた。

 木々が生い茂っている場所を駆けて行った所で――唐突に彼女はブレーキを掛けた。


「……あっちゃあ」


 彼女は額に手を当てた。

 目の前にあったのはかなり大きめの泉。流石に飛び越えることはできず、素直に回り道をした方がよいと思われた。


「平地で行けると思ったけど、まさかこんな所があったとは――ん?」


 そこでとあるものが目に映った。

 泉の向こう側。

 そこに人かいた。

 身体の特徴から分かったが、その人は女性だった。

 そしてその女性は全裸だった。

 恐らくは水浴びをしていたと思われる。現在は頭を拭いているらしく、白いバスタオルでおおわれて顔から上は全く見えない。


(あっちゃー出くわしちゃ駄目だったやつだよね、男だったら。でもこういう所で水浴びするのも危機感が無いと――)


 思わず眼を逸らしていた彼女は直後、言葉を失った。


 女性のすぐ近く。

 そこにあったのは――



(――()()()()()()()()()!?)



 今までのジャスティスは全て黒色だった。

 しかし緑色というのは今まで見たことが無かった。その色も含めて一瞬、森の中に溶け込んでいたので意識できなかったということだった。

 そしてそのジャスティスには、更に特徴があった。


(四足歩行型? ……そんなの見たことないわよ?)


 彼女の横にあったジャスティスはそのように鎮座していた。

 ただ単に停止する際はそうなっているだけかもしれない。

 だが彼女の目には異様に映った。


(これは新たな新型? それとも他国の兵器でもしかするとジャスティスじゃない? ――いずれにしろ、パイロットの顔を見ておきましょう)


 自分がジャスティスを破壊できないことは重々承知だ。

 だったら出来るだけ情報を持ちかえる。

 彼女は息を潜め、じっとパイロットと思わしき女性を観察する。


 そしてその白いバスタオルが外れ、顔が見えた時――


「……なっ」


 思わず言葉を漏らしてしまった。

 それ程、衝撃的な人物だった。



 直接は知らない。

 ()()()()()()()()()()()



 彼女の鼓動が早くなる。

 走っていた時より早くなる。

 じり、じり、と後退する。

 それは彼女の本能がそうさせていた。


「知らせなきゃ……」


 振り返り、一気にその場から離れた。

 ――逃げるように。


「はっ……はっ……はっ……」


 全速力で駆けた。

 彼女の脳裏は混乱していた。

 まずい。

 あれはまずい。

 絶対に伝えなくちゃいけない。


「あれはクロードにとって――()()()()()()()()()……っ!」


 そう呟いた直後だった。


 ヒュン、という風を切る音が聞こえた。


「ッ!」


 同時に強い衝撃が横から襲いかかってきた。


「あ……うっ……」



 吹き飛ばされた彼女は太い木の根元にその身体を打ち。



「クロ……ド……」




 アレインはそのまま意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ