02 死神と七太(1)
01
帰り道
「なあなあ、死神の噂知ってるか?」
...。
「ああ!知ってるぜ!最近この辺りで出没したりしなかったりするってやつだろ?」
......。
「本当にいるのかなぁ...。一回でいいから見てみたいよな!」
.........。
「なあ!お前もそう思うよな!七太!」
「僕は...思わないかなあ...。だって死神だなんて、怖いじゃんか。」
「はっ!何言ってんだよ!お前は本当に臆病だな!」
「あははは!七太の怖がりー!」
「あは、あははは...。」
...いや、怖がりなんじゃないから。
信じてないだけだから。言い訳とかじゃなく。
そもそも受験勉強で忙しいこの時期に、よくまあ噂話なんかで盛り上がれるよな...。
いいなぁ。私立は。
「じゃあ僕こっちだから。また明日ね。」
「おう!また明日ー!」
「またなー!」
本当に死神なんかいたら、僕はどんな反応をするんだろうな...。
死神ってやっぱり怖いのかな。
見てみたいなぁ。
「望みとあらば。」
刹那。
時が止まったような感覚。
目の前に、
黒のフリルを身に纏い、
黒髪のロングヘアの、
女の子が、
その身長と同じ程のサイズの鎌を、
僕に向かって振りかぶってきた。
そんな危機的状況の中、
彼女の第一印象は、
僕が初めて死神を見た反応は、
「...綺麗だ。」