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コミカルに竜馬がゆく  作者: ダメ人間
2/4

二.若い時は愚かである

 竜馬はすくすくと育った。

 坂本家は豪商『才谷屋』の分家であり、非常に裕福な家庭であったため、竜馬は何一つ不自由なく暮らすことが出来ていた。


 何一つ不自由のない暮らしのできる竜馬であったが、問題が何もないというわけではなかった。


 竜馬が抱える問題。


 その問題は『坂本竜馬』という彼自身のことであった。



 竜馬は12歳になっても寝小便をする癖が治らなかった。

 そのため、同年代の子供たちから『坂本の小便しょんべんたれ』と馬鹿にされていた。

 また、彼は非常に気の弱い子供であった。

 子供たち同士で遊ぶことはあったが、大抵は泣かされて帰って来る。

 メソメソと泣きながら自宅へと帰っていく竜馬は、


『坂本家の泣き虫小僧』


 として城下では有名であった。



 竜馬が12歳の時、竜馬の父は彼を楠山くすやま塾という学塾に入学させた。

 しかし、ここでも竜馬はそのダメっぷりを存分に発揮した。


 文字が覚えられず、流暢に話せず、いつも泣きながら帰って来る。


 それが幾月か過ぎた、とある日の夜。

 竜馬の師匠である楠山庄助が家にやって来て、


「もうあの子に教えることは無理ですわ。お手元でお教えした方がよろしいかと思われます。」


 と竜馬教育をギブアップしたのであった。


 これには竜馬の父である八平も頭を抱えた。


「なんたる恥辱じゃ!この子は坂本家の廃れ者(=役立たず)になるのか!」


 父の慟哭に竜馬の兄の権平ごんぺいも苦笑いしていたが、竜馬の姉の乙女だけはケラケラと大笑いしていた。


「大丈夫ですよ、父上!竜馬は廃れ者にはなりません!この子の器が大きすぎて、私たちのような凡人にはそれが測れないだけです!この子はいずれ立派に成長しますからご安心を!」


「・・・寝小便してもか?」


「はい!」


 周囲の人がどれだけ竜馬を馬鹿にしても乙女だけは竜馬を信じていた。

 だれよりも竜馬を愛している乙女は、彼がいずれ大事を成すであろうということを、この時より何となく分かっていたのかもしれない。

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