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03

05 告白          シーンプレイヤー:近衛紗代


GM: さて、次は?

紗代: はーい。健一に会いに行くシーンで!

GM: はいよ。

紗代: (ダイスを振る)9上がった!

GM: 会えるなら、何処でもいい?

紗代: うん。

GM: じゃあ、《ワーディング》を察知して、そちらに向かったということで。


 《ワーディング》が張られたことに気がついた紗代は、その気配のする方へと急行した。

近づいていくと、鳴り響いていた如何にも戦闘が行われているかのような轟音が、静かになったところだった。

現場に辿り着いた紗代が目にしたのは、妙に凛とした雰囲気を纏った小柄な少女と、その隣に居る南雲健一が、崩れ去っていく屍の前に立っている光景だった。


紗代: 二人で居るのかー……じゃあ、“沙羅双樹”ね? って声を掛ける。

GM: すると、さっき武器をしまったばかりの少女が、無駄の無い動きでキミの方に振り向いて、すぐさまナイフを構える。


 対して、南雲はゆったりとした動作で紗代の方に向き直り、「……何か用か?」と尋ねてきた。


紗代: 別に事を構えようっていうんじゃないの。


 紗代の言葉を受けて、少女が南雲に問う。

「“神鳴る盾”、こいつは信用出来る奴か!?」

「……UGNだが、俺の友人だ。」

南雲の言葉を聞くと、少女は「そうか。」と言って、武器をしまった。


紗代: 他の人が居るとちょっと、と思うので……(南雲のほうに目を向けて)二人で話せる?

GM: 「構わない。此処もすぐに離れた方がいい。――瑞季、今日は解散だ。」

紗代: って言われると、瑞季ちゃんは、嬉しそうに立ち去るのかな?(笑)

GM: 「(明るい感じで)そうか!」って言うと、さっきまでとは違う雰囲気を醸し出して、走り去っていくよ。(一同笑)

紗代: じゃあそれを見送ってから、移動しましょう。と言って、ちょっと離れたところにある、高めのビルの屋上にでも行こうかな。

豊前: 屋上好きだねぇ(笑)。

GM: 上からしか見えないから、人目につきにくいんだよ。


 屋上についたところで、南雲はポケットからタオルを取り出すと、床に敷き、紗代に座るよう促した。

南雲自身はコートの裾をタオル代わりに、屋上に座る。


紗代: 一緒に居た頃も、話すときには、こうしてもらってたんだろうなー。じゃ、タオルの上に座って――――前に言ってた「やりたいこと」って、「遺産」関連なの?

GM: 「(眉根を寄せて)調べたのか。」

紗代: 心配だったから。

GM: 「お前に心配される謂れは無い。俺がちょっとやそっとじゃ倒れないのは、お前が一番良く知っているだろう。」

紗代: でも、力を使うと危険なことには、変わりないじゃない。

GM: 「それは、未だにUGNなんかを続けているお前だって一緒だろう。……危ないことをしている奴に心配される謂れなんか、無い。」

紗代: むぅ……。

GM: 「だから首を突っ込むなって言っただろう。」

紗代: ――――見ない振りなんか、出来るわけないじゃない! 好きな人が大変なのに!! って思わず言っちゃってから、赤くなる。(一同笑)

柳季: 言いよどんでたら、畳み掛けるように言われて、思わず口から出ちゃったんだな(笑)。

紗代: 詠ちゃんとのことがあった直後で、心の制御が効きにくくなってたんだよ。

GM: 南雲は、何も言わないまま沈黙する。紗代は《七色の直感》で分かっていいけど、大混乱してる。フリーズした、って感じ。(一同笑)

紗代: 珍しい……! って感じだね、きっと。じゃあ、もう言っちゃったもんだから抑えられなくなって、あの時もそうだよ。何も言わずに一人で行っちゃってさぁ……。みたいに、ぐちぐち言う。

GM: 「馬鹿、お前。連れて行けるわけないだろう。」

紗代: なんでよ?

GM: 「(顔を背けて)――――俺だって、お前のことが好きなんだ……。」

紗代: ……健一へのロイスの表の感情が、好意になります(笑)。

GM: 俺、まさか告白し合うことになるとは思ってなかったよ。

紗代: 私もだよ!(一同笑)


 しばらくの沈黙の後、紗代は呟くように言った。


紗代: ……でもやっぱり、隠し事されたり置いていかれたりするのは、ショックだよ。

GM: 「(大きく嘆息して)――――じゃあ、お前は俺の事情を全部聞いても、ついて来るとか絶対言うなよ?」

紗代: ――――…………わ、かっ……た。(一同笑)

GM: 「……やはり今は話せない。お前、明らかに納得して無いだろう!」

紗代: だってそうやって、いっつも一人で解決しようとするんだもん!

GM: 「帰ろうとしたって、支部も瓦解しちまったじゃないか! ……俺にとって、お前は数少ない日常だったんだ。例えUGNに居たとしてもな。」

紗代: ………。

GM: 「だが、日常はほとんど崩れちまった。もう何処にもない! 此処にお前が残ってるだけだ!!」


 苦しい胸の内を吐き出すように、南雲は続ける。

「俺の我侭だ――――お前には、そのままでいて欲しい。此処に居てくれ。……そうでないと、俺は頑張れない。」


紗代: 私が居る此処で、もう一度日常を作る気は、健一には無いの?

GM: 「(首を横に振って)俺はUGチルドレンだからな。世界を守る為にやれることがあるなら、やってくる。」

紗代: その「遺産」で、世界が救えるの……?

GM: 「違う。「遺産」は世界を滅ぼす。……世界を救うのは、こっちの方だ。」


 そう言うと、南雲は手に嵌めていた革手袋を外す。

そこには、眩いばかりの日輪の紋章が輝いていた。


紗代: ああ! 「遺産」を壊して回ってるんだ!!

GM: っていうことが分かるかどうか、判定して。<知識:レネゲイド> <情報:UGN>で12だよ。

紗代: そうだよね、「遺産」のことなんか、そうそう知られてないよね(笑)。<情報:UGN>で(ダイスを振る)11……なので、財産ポイント使って、12!!

GM: じゃあ知ってた。これは神殺しの紋章だ。

豊前: まさかの、攻撃できない奴が持ってるー!

GM: (豊前に)正解!(笑)

紗代: いつから……?


 紗代の問いに、南雲は語る。

紗代の居ない任務のときに、たまたま遺産破壊者・東雲と遭遇し、その時に神殺しの力をもらってしまった、と。

コードウェル博士がFHに戻ってきたタイミングと、各地での「遺産」探しが始まったタイミングが、たまたま重なったのだと。

UGNでは「遺産」を確保・研究する方針だったため、破壊して回ろうとすると、必然的に追われることになる。

だがFHに居れば、争奪戦を制し、「遺産」を手に入れ次第、破壊することは可能なのだと。


紗代: ……彼女も同じことを考えているの?

GM: 「彼女も「遺産」の犠牲者だ。」

紗代: ――――今のうちの支部長だったら、今までのUGNみたいに、強行に貴方を追うことはしないかもしれない。

GM: 「(首を横に振って)一度FHに下った人間が、もう一度UGNに所属するなんて、可能だと思うのか? ……状況が変わったにしろ、俺はもうこの道を選んでしまった。」

紗代: ……。

GM: 「もうこれ以上話せることは何もない。お前も少しは、納得くらいしてくれ。」

紗代: わかった。――じゃあ、連絡先だけちょうだい。

GM: 「な、なんで連絡先なんか渡さなきゃいけないんだ!?」

紗代: いいじゃん! ラインくらい!!(一同笑)

GM: 「そんなの許可できるわけないだろう! あんなセキュリティだだ漏れなもので、やりとり出来るか!」

紗代: しょーがないなぁ……。と、私の持ってる名刺の裏に、ラインのアカウント書いて、渡す(笑)。

GM: 「(うなだれて)――――分かった、これは受け取っておく。」(一同笑)


 紗代の押しに負けた形で連絡先を受け取った南雲は、気を取り直したように尋ねた。


GM: 「お前の方は、今の支部で上手くやっているのか? 無茶する奴は居ないか?」

豊前: 支部長かもしれない、それ(笑)。

紗代: ……詠ちゃん?(一同笑)

柳季: 確かに!

紗代: 健一も知ってるよね? 詠ちゃんのこと。

GM: 知ってますね。

紗代: んー……詠ちゃんが一番無茶してるかも。

GM: 南雲は、すげえびっくりした顔をする。

紗代: さっきも、こんな感じのことがあって出て行っちゃって……って話をする。

GM: ……じゃあ、その話は聞いた。「――――そうか。見かけたら気にかけておく。」


 それだけを言って去ろうとする南雲に、紗代は先の豊前の言葉を借りて声を掛ける。


紗代: 根詰めすぎないでね?

GM: すると、南雲はちらっとキミの方を見て、「……明日の夜がヤマだ。」と言う。


 そう言うと、今度こそ南雲は、ビルから立ち去って行った。


06 山代文弥         シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


GM: えーと、この日の内にやりたいことがある方は?

豊前: はーい。詠ちゃんが何処に行ったのかを調べる。

GM: じゃあ、詠ちゃんの足取りを追うシーンでいい?

豊前: いいよ。登場!(ダイスを振る)

GM: では、詠ちゃんは、支部の医療室に篭っているよ。

豊前: じゃあ、大丈夫か。よし、帰ろう!

GM: え!? シーン終わりでいいの!?

豊前: 詠ちゃんが、危ないトコに行かないかどうかが心配だっただけだから。ああ、丁度いいから、さっき話題に出てた山代文弥君についてを調べようかな。

GM: 詠ちゃんに声は掛けないの?

豊前: 支部の医療室に篭ってるんだったら、声は掛けないよ。

柳季: 何を調べてるかとかは聞かなくていいの?

豊前: うん。それは、詠ちゃんに任せるよ。

GM: じゃあ、山代文弥についての判定をどうぞ。<情報:UGN>で、最大達成値は14。

豊前: OK。じゃあ、ミーミルの覚え書きで、振り直しを選択する。(ダイスを振る)足りないから振り直す!(ダイスを振る)あぁ、出ないね。しょうがない。達成値10!

GM: では、山代文弥がどんな功績を上げたかが分かった。


数百人規模でUGN・FHの両エージェント同士がぶつかっている場所に派遣された山代文弥は、壊滅状態になっているUGNの軍勢全体に、復活・再行動・強化のエフェクトをかけ、ジャーム化した。

直後、ジャーム化が確定的となり、自我が完全に無くなる前に、山代文弥は自害した。

山代文弥の犠牲によって、負けかけていた戦況は一気に引っ繰り返り、UGN側が勝利したのだ。


豊前: うわー……そりゃあ英雄視もされようってもんだわ。

GM: ちなみに、セキュリティコードに引っかかってるのは、「何を巡って、そんな大規模な戦いが行われていたのか」だよ。

豊前: まあ、「遺産」関連だとは思うけど。

GM: うん。ちらっとその話は出たけど、具体的な話は出てきてないんだよ。

豊前: なるほど。これはヤバそうだ。山代文弥については把握した! そして、詠ちゃんは次のシーンに、きっと無事に出てきてくれると俺は思ったから、大丈夫!

GM: そうか(笑)。


07 契りの太刀          シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


GM: じゃあ、次のシーンなのですが……(シナリオを書いた紙を見て)あ、次の日の朝一で、豊前に詠ちゃんから報告が来ます。

豊前: お、はーい。(ダイスを振る)

GM: 「蛇ちぎりの太刀の仮契約者を、特定しました。」

豊前: お、流石だな。“グリーンハンド”。


 豊前が、乙原から受け取った報告書に書かれていた仮契約者の名前は、「乙原詠子」だった。


豊前: おおおぉぉ!? そ、そうか……君の身の安全は、確保しよう(笑)。――思い当たる節は、あったんだな?

GM: 「(ふるふると首を横に振る)」

豊前: あ、無かったのか!

GM: 「(俯いて)なんでこんなことになったのか……。」

豊前: そうかー。これは、「遺産」に絡まないわけにもいかなくなったな。


 昨日、乙原が医療室で自身にメディカルチェックをかけた結果、レネゲイドによるリンクが何処かに形成されており、見知らぬレネゲイドが少量、乙原の身体に流れ込んできているのを発見したというのだ。


GM: 達成値が80オーバーだったので、いろいろな角度から見ているうちに、自分のメディカルチェックのときの数値を見て、「ん?」って気付いた。

豊前: なるほどねー。

GM: 自分に何の心当たりも無いのに、「仮契約者は私です。」とかいきなり言えないでしょ?

豊前: 確かに。――――よし、「蛇ちぎりの太刀」について、本腰を入れよう!

GM: で、まだ出てない情報として、伝承側の情報があるんですよ。

豊前: おお、そういやそうだね。ここで出来る?

GM: どうぞ! <知識:伝承>か<情報:噂話>ですね。

豊前: 目標値は?

GM: ひみつ。

豊前: じゃ、《天性のひらめき》使いますー。ミーミルの覚え書きで振り直しを選択!(ダイスを振る)よし、46!!

GM: ~~~~っ、勘弁しろっ!?

豊前: なんだ、どうした?

GM: えーと……じゃあ、表の情報から。

豊前: 表の情報っ!?(笑)


『蛇ちぎりの太刀』

 昔ここらに、たいそう巨漢な侍がおった。

米俵を六俵も同時に担げるほどで、名を(ろく)(だわら)(きん)衛門(えもん)といった。

武術の腕前も相当なもので、近隣に敵う者無しと評判であった。

それに気を良くした金衛門は、ある時。

「古今無双のワシに相応しい刀が必要だ。」

と言い、そこらじゅうの刀鍛冶を巡ったが、彼の怪力に任せて振るわれるとなると、どんな名刀もたまったものではない。

一振り、二振り、三振りもしたらひしゃげてしまう。

すると、ここら一番の古老が言った。

「長く生きた大蛇の尾には、またとない名刀を持っていると聞く。それならば、お前の怪力でもひしゃげまい。」

それを聞いた金衛門は、すぐさま大蛇を狩りに、加賀(かが)峰山(みねさん)へ篭った。

大きな蛇は叩き潰し、小さな蛇をも引きちぎり、ついには千匹、万匹の蛇の屍が、山となるまで、金衛門は刀を尾に持つ大蛇を探し続けた。

蛇たちにとっても、たまったものではない。

ついに一千、一万の蛇の無念が鬼となり、加賀峰山を一巻きするほどの巨大な蛇となった。

金衛門は、ここぞとばかりに大蛇に踊りかかった。

いかな巨漢といえど、山に敵う道理は無い。大蛇の尾に貫かれ、死んでしまった。

 大蛇の鬼は、どこに行ったものか、跡形も無く消え失せたが、金衛門の死骸には一振りの太刀が、頭の天辺(てっぺん)から尻の先までを貫いていた。

まさしく、金衛門の求めた名刀であった。

 その刀は、加賀峰神社に奉られていたが、いつの間にか、それも何処かへ失せてしまったそうな。


GM: っていうのが、達成値10くらいで出てくるお話。

豊前: ふむ。で? 続きは?(笑)

GM: うん。FHの工作員によって隠されていた情報が、あるんだ。


 以下は、昭和初期に書かれた、歴史研究家の遺稿だ。

「蛇ちぎりの太刀」の正体は、(しん)(とう)の演義が歪んで伝わった伝説である。

紛失までに至る演義が寺に伝わっていたが、明治初期の火災により寺ごと消失し、失われてしまったようだ。

この度、偶然にも●●家の家の蔵より見つかった、その演義書の写しによれば、刀は大昔に巨大な蛇から、土地の豪族に授けられたもので、金衛門は、紛失の契機になった人物の名だという。

ここでは概略のみ記すが、金衛門は土地を収める豪族であった。

源平の合戦の頃、土地が外の勢力に荒らされそうになった折に、家族と一族、ひいては土地を必ず守ると神に「(ちぎ)って」神刀を借り受けた。

 しかし、金衛門は加賀峰山での野戦で、侵略者に敗れてしまう。

その時、金衛門の握り締めた神刀は、巨大な蛇に変じ、慄いた敵兵は敗走。蛇の幻はそれを追うようにして居なくなり、刀もいつの間にか失われていた――――とのことだ。

 この話のうちの、「蛇」「契りの太刀」「金衛門」という単語のみが残り、更には「蛇」と「契りの太刀」がくっついて伝わってしまったために、『金衛門が蛇をちぎった話』として伝わることとなった。


豊前: で、なんでこれをFHの工作員が隠したの?

GM: (豊前を指差しながら)のか……ってことが、調べられるようになります。(一同笑)

豊前: “グリーンハンド”! 頼めるか?

GM: 「はい!」……って、なんで詠ちゃんが振る、このタイミングでこういう情報が出ちゃうのか。(ダイスを振る)うわ、38までいったか。

豊前: お、全部情報出るかな?

GM: えー……理由が分かりました。どうも考え方として、「遺産」の復活に必要な鍵は、伝承の中に隠されていることが多いって話なのね。

豊前: なるほど。

GM: で、表の話って、蛇の大量虐殺の話なんですよ。

紗代: そうね。

GM: これを真似ることによって、もう一度「蛇ちぎりの太刀」を世に出そうと思うと、山で大量虐殺をするって話になるわけですよ。

柳季: だね。

GM: で、ですね。現在、情報操作が行われてる真っ最中でして、今まさに山での大量虐殺を実行しようとしているエージェントが居ます。

紗代: え……?

GM: どういうことかというと、“堕悪炎武隷巣”を一網打尽にして、「蛇ちぎりの太刀」を呼び起こそうとしている――――。

豊前: そんな輩が居る、と! これってもしかして、“沙羅双樹”なんじゃないの?(一同笑)

GM: …………(黙って豊前を見ている)。

豊前: ……そっかぁ。

GM: なんだけど、それをやったところで、徒労だよね。ってことが判った。

柳季: 他セルから見ると、潰し合いをしてくれてラッキーってくらいだよね。

GM: (柳季に)正解。で、この情報操作をした工作員は何をしたかったのかっていうのを類推するに、“堕悪炎武隷巣”が邪魔だから潰そうか、って話なんじゃないかと。

豊前: はー……。

GM: 要は、FH内の勢力争いに、“沙羅双樹”が思いっきり巻き込まれて、道具にされてる状態だ、と。

豊前: ってことだよね……。

GM: で、もう一つ言うと、太刀が加賀峰市にあることは、間違い無い。

柳季: ただ、呼び起こす方法が間違ってる状態、と。

豊前: ……戦闘が起きるのは山の中だし、“グリーンハンド”は大丈夫そうだし、事件は今晩中に解決するみたいだし――――なぁんだ、万々歳じゃないか。

GM: あ、放っておけばいいと思ってる、コイツ(笑)。

豊前: ま、今回の情報については皆に流すよ。で、今後街中(まちなか)から抗争は無くなっていくだろうから、上手いこと情報操作をして、“堕悪炎武隷巣”と“沙羅双樹”の同士討ちを狙うつもりなので、君らは巻き込まれないように――――って感じで話を持ってくかなぁ。

柳季: そうだよねー……。

紗代: じゃあ、そのメールが来たら私、“沙羅双樹”に居る“神鳴る盾”が知り合いなので、行かないわけにはいかない、んですが……独断行動ってダメですよね? ってお伺いを立てるメールをする(笑)。

豊前: あ、そういう相談してくれる? じゃあ、今後の方針を話し合いたいので、皆、昼頃に集まってくれないか? という話をする。

紗代: 支部に?

豊前: いや、学校行ってるんだろうから、オレが学校内で行っても大丈夫な場所を<調達>で用意しておくよ。

紗代: 目立っちゃうもんね。白髪赤眼だと。

豊前: そうなんだよ。――――ってとこで、詠ちゃんはどうしてる?

GM: 俯いて、何か考え込んでますね。

豊前: そうかー……。じゃあ、一応、支部長として声を掛けさせてくれ。――――あんまり自分一人で気負うなよ?

GM: 「……実は、その“沙羅双樹”の一人とは、旧知の中なのですが。」

豊前: おう。

GM: 「私は彼に大量虐殺なんかさせたくないという気持ちと、もうFHのことなんか知らないという気持ちが――――。」

紗代: 板挟みになっちゃってるんだね。

GM: うん。「今の立場で、どうしていいものかと――――。」

豊前: そうだなぁ……それに関しては、お前が思うようにやれば良いし、思うことがあるんだったらそれに協力してくれるような人を見つけるっていうのが、オレの立場だ。

GM: 「…………。」

豊前: 今後、そういう、人のやりたいことを聞いて、それを叶えられるのが、支部長って立場だと思ってる。

GM: うんうん。

豊前: 支部長自らがやりたいことってのが無きゃ、人はついて来ないだろうし、――――仮にだ。支部長って立場の人間が、うんうん言いながら眉間に皺寄せて悩んでたら、誰がそいつに頼ろうとするかよ。

GM: じゃあ、机にぺたっと倒れこんで。「本当ですよねー……。」

豊前: だからまあ、その辺のことが出来れば、“グリーンハンド”。お前だって支部長、絶対やれると思うぜ?

GM: 「(頭を抱えて)でも私、止めになんて行けませんもん……。」

豊前: ん?

GM: 「……止めに行きたくったって、力が無いですもん。」

豊前: あっはっはっは。オレも無え!(一同笑)だから、その為の力として、誰かを頼るんじゃねーか。今回だったら、“墜星の軌跡”や“光の槍”が居る。

GM: 「……。」

豊前: それに、“神鳴る盾”や“血塗れの蓮”だって、話せば分かる奴かも知れねーぜ?

GM: 「FHが話して分かるとか……どんだけおめでたいんですか……。」

豊前: 何言ってんだ。交渉には、相手の求めてるものを出すタイミングってのが大事なんだ。

GM: 「FHが求めていることになんて、歩み寄れるワケないじゃないですか!」

豊前: なんでFHに行ったのか、ってのは分からないのかも知れねーが……でも、知り合いなんだろ?

GM: 「はい。」

豊前: 知り合いが、何かを思って動いたんなら、信頼してやりゃいいんじゃねーのかな?

GM: 「……旧支部の人間は、みんな私の知り合いでしたよ。――――でも、旧支部長がFHに寝返るって宣言したときに真っ二つに割れて、殺し合いが起こりました。」

豊前: なるほど。そりゃあ旧支部長が悪いな。

GM: 「悪いな、じゃないでしょう? ……だから私はFHなんか信用出来ないし、与することは出来ないんです。」

豊前: あー……なるほどな。ちなみに、オレの親父もFHに寝返ったんだがな?

GM: 「――――ッ、近寄らないで下さい!」

豊前: ……ヤツのやろうとしていたことは、二人の子供を守ろうっていう、それだけだった。その為にヤツはFHに行って、自分が死ぬことでそいつら二人の安全を確保した。

GM: 「どうせそれをする為だけに、大勢の人に迷惑をかけたんでしょう? 人なんか山のように死んでるに違いありません!」

豊前: いや、山のようには死んでいないし、一人の犠牲者も出ていなかった筈だ。――――オレの知ってる話では、な。

GM: 「(ため息をついて)情報操作なんてお手の物じゃないですか。」

豊前: まあ、それはそうだが、ヤツは“コマンダー”と呼ばれる優秀なエージェントだったからなぁ。

GM: 「もう、わけがわからなくなってきました……。」

豊前: 己の信じたものを貫いて、それで被害者を出さずに人を守れたんなら、それでいいんじゃねーか? ああ、オレの親父の話だが。

GM: じゃあしばらく、うーん……ってなってたんだけど、「――――わかりました。二人に頼んでみます。」って言う。

豊前: あー……じゃあオレは、ちょっと口をつぐんでいればいいのかな? 昼休みの話だろ?

GM: 「あれ? もう支部長から話がいくんですか?」

豊前: ああ。実は今こんなメールを送っていた。

GM: 「…………。」

豊前: だから、そんな酷いことにはならないようにしたいな。(乙原に)な?

GM: 「そうですね……。じゃあ、行きましょうか。」

豊前: よし。素直に頷いてくれたので、表の感情を信頼にしておこう。


08 方針 


GM: さて、ちょっとこちらが事態を動かす前に、動いた気がするんですが、次のシーンどうしましょうか? こちらの用意したシーンをやるか、そっちのやりたいシーンをやるか……。

豊前: そっちのシーンは、時間的にいつ頃なの? 昼休み前? 後?

GM: 昼休み真っ只中。

豊前: じゃ、俺達が集まってるところで事態が動けば良いんじゃない?

GM: そうね。

豊前: んじゃ、登場(ダイスを振る)!

紗代: 出ますー(ダイスを振る)。

柳季: 俺も居る(ダイスを振る)。

豊前: GM! 学校内で適当な場所を調達したいんですが。

GM: じゃあ、セーフハウス相当にしましょうか。購入値15。

豊前: んじゃ、(ダイスを振る)18。回る椅子に座って、皆を待ってます。

紗代: 早めに来ます。

柳季: じゃあ、昼飯食う時間ねーなと思いながら、瑞季ちゃんに弁当をやってこよう。

GM: 「一緒に食べないのか?」

柳季: ちょっと、呼び出し。

GM: 「……そうか。――――点数悪いのか?」

柳季: 勉強じゃねーよ!

GM: 「素行不良か!」

柳季: それは、否定できないな……(笑)。

GM: 「お前もっとちゃんとしろ! ネクタイも曲がってるぞ!」って直されるのを、クラスメイトに目撃される。

豊前: 「(クラスメイトになって)おい、元番長が現番長になんかやってんぞ!?」

紗代: 「(クラスメイトになって)お、現番長がこっち見た!」

豊前: 「(クラスメイトで)逃げろ!」

柳季: 後ろのギャラリーに向かって、何こっち見てんだよ!? って感じで睨む。

GM: 蜘蛛の子を散らすように逃げる、ギャラリー。(一同笑)

柳季: で、瑞季ちゃんに、ちょっと昼飯食えるか分からないから、やるわ。って、弁当を渡す。

GM: 「こんなに食えるか!」と、口を尖らせる。

柳季: 食えなきゃ、家帰ってから食えばいいだろ。

GM: 「じゃあ、そうする。」

柳季: 瑞季ちゃんを連れてった方が話が早いんだろうけど、相談がある、って言われたら連れて行けないよね。

豊前: 連れてきてもいいのに!

GM: ぶっちゃけすぎだろ(笑)。

紗代: 私、昼休みになったらすぐに支部長の居るトコに行って、健一に会った話もしちゃいます。

豊前: おう、OK。

紗代: で、健一は「遺産」の破壊が目的だったということも話して、共闘とまではいかないものの、敵対しないことが出来るんじゃないか……って話をする。

豊前: 「蛇ちぎりの太刀」が破壊されちゃって、“グリーンハンド”は大丈夫なの?

GM: わからない。

豊前: そこら辺についても調べとかないとね。

柳季: そもそも、「蛇ちぎりの太刀」自体が何処にあるのかとかも分かってないしね。

GM: うん。山の中にあるっぽいんだけど、どうもはっきりしないんだって。

豊前: “グリーンハンド”を山に連れていきゃ、分かるんじゃね?

紗代: 詠ちゃんが近づくと、震えるとか?(一同笑)

GM: 「そんなことして、何が起こるか分からないじゃないですか!」

豊前: ほんとだー。ってところで、皆揃ったかな?

柳季: うん、来たよ。

豊前: じゃ……皆、集まってくれてありがとう。実は、話に進展があってだ。

紗代: はい。


 豊前は、自身が調べた現在の状況を説明する。

“沙羅双樹”と“堕悪炎武隷巣”を潰し合わせようと情報操作を行っているFHエージェントが居ること。

その“沙羅双樹”に、この支部の人間の知り合いが居るので、可能であれば“沙羅双樹”の手助けをしたいと考えていること。

「蛇ちぎりの太刀」の仮契約者が“グリーンハンド”乙原詠子であること。

この為、「蛇ちぎりの太刀」を確保しないと、乙原に良くないことが起こる可能性があること。


豊前: で、だ。さっきの“光の槍”の話だと、「蛇ちぎりの太刀」を“沙羅双樹”のメンバーは壊そうとしているらしいので――――。


 豊前は続ける。

「蛇ちぎりの太刀」を壊しても、乙原に影響はないのか?

“堕悪炎武隷巣”をこの街から離れさせつつ、“沙羅双樹”の戦意を失くす方法はあるのか?

これを明らかにすることが肝要だと。


豊前: (紗代に)ちなみに、その知り合いに「その情報嘘だよー。」って言って、信じてくれると思う?

紗代: どう思う? GM。

GM: 《七色の直感》で判定してみましょうか。目標値は10で。

紗代: (ダイスを振る)8、か……。

豊前: 《妖精の手》! その出目を10にする。

紗代: ありがとう!(ダイスを振る)じゃあ、13!

GM: それを伝えたとしても、全部倒して、更にその先に出てくるかもしれない黒幕が居るんだったら、それも倒す、って言う気がする。どうやるのか知らないけど。

紗代: 戦闘を回避して、っていう気はなさそうってことね。

GM: というよりは、敵の思惑に思いっきり乗っちゃってるんだけど、一網打尽にしようと、戦うための場所を整えようとしてるようだ、ってことが、詠ちゃんの調査の結果分かるね。

紗代: ……。

GM: 一撃離脱を繰り返しながら、相手に最終決戦の場として、加賀峰山を指定する準備をしている。

紗代: そっかぁー……。

GM: で、わざと誘い込もうとしてるから、何か策があるのは間違いない。“堕悪炎武隷巣”に対しては、勝算がある。――――で、彼がそこまで確信に満ちた動きをしたときに、失敗したところを紗代は見たことが無い。

紗代: じゃあ、工作員による情報操作のことも、勝算がないって説得も、“神鳴る盾”を止める材料にはならなさそうって話をする。

豊前: OK。じゃあ、もう一つの案件。「蛇ちぎりの太刀」を破壊された場合の“グリーンハンド”への影響について、過去に「遺産」を壊されたときに、契約者がどうなったかという情報を調べてみよう。

GM: それだったら、詠ちゃんが基本データを集めてたことにしていいですよ。


 乙原によると、「遺産」の力で生を保っていたり、復活した場合はその「遺産」を壊されると死亡する可能性が高いが、そうでないのなら別に問題は無い筈だという。


豊前: ってことね、OK!

GM: で、詠ちゃんは心当たりが無い内に仮契約状態になっているので、ワケが分からない。

豊前: よし。じゃあ、“沙羅双樹”の目的は「蛇ちぎりの太刀」の破壊であって、それを達成させれば、彼らは退くわけだ。

紗代: ……。

豊前: で、「蛇ちぎりの太刀」が壊されれば、“堕悪炎武隷巣”もこの街に居る意味がなくなるから、居なくなる可能性が高いと思われる。

GM: (小声で)……なんだと?

豊前: お? ど、どうした?

GM: なんか今、豊前の話を聞いていて、俺が予想だにしていなかったルートが開拓され始めた気がして……。

豊前: えぇ? 何のことかな? ――――ってことで、「蛇ちぎりの太刀」を見つけて、“沙羅双樹”に壊させれば、それで解決じゃね?

紗代: ――――なるほど。“堕悪炎武隷巣”への対応はどうするんです?

豊前: 山に入って“沙羅双樹”探してるトコで、「蛇ちぎりの太刀」は破壊されたって話をするよ。

柳季: 信じるかな?

豊前: ま、そいつらの目の前で壊してもいいしね。“堕悪炎武隷巣”に、トップとか居ないみたいだし。

GM: あ、通称四天王(フォーヘッド)と呼ばれる方々が。

豊前: ああ、居るんだ。じゃあ、そいつらにその情報が入れば、撤退していくだろうと。

柳季: ……。

豊前: なので、オレの想定としては、「蛇ちぎりの太刀」を見つける → “沙羅双樹”に「蛇ちぎりの太刀」を壊させる → “沙羅双樹”が撤退 → “堕悪炎武隷巣”が撤退 → 解決、って感じなんだけど、どうよ?

柳季: んー、まあいいんじゃねーの。……でも、まずソレを見つけるのに当てはあんの?

豊前: それはまあ……友情・努力・勝利?(一同笑)で、“グリーンハンド”をちらっと見る。

GM: 「私は“沙羅双樹”の二人に大量虐殺をさせるのを止めたいんです。……それには、支部長の言っていた道しかないと思います。是非、そちらの道で行きたいです。」


 乙原は続ける。

「聞いてみれば、そもそも「遺産」を破壊するという為だけに動いているのが“沙羅双樹”みたいですし、今までにも同じようなことが行われてきたのかもしれないけれども、目の前でそれが起こるのを、見過ごしたくはありません。――――それが例え、FHであろうとも。」


豊前: ってとこで、(柳季と紗代を指して)この二人に言うことがあんじゃねーの? “グリーンハンド”。

GM: 「え? あ……(柳季と紗代に)是非、私に協力してください。」

紗代: 勿論。

柳季: 構わねーけど……探すのはそっちの方が得意だろ?

GM: 「ほんとだー!?」(一同笑)

柳季: 探した後の交渉は、請け負うよ。アンタがそれを持って出てくるわけにもいかないだろ?

GM: 確かに。……んー。詠ちゃん、ホントはすごい思い詰めて暴走するキャラなのに、なんか全然思い詰めてない感じになっちゃってるなー。

豊前: 思い詰めてないねー。

GM: ――――えと、じゃあ、「蛇ちぎりの太刀」を探すって方向でいいのかな?

豊前: ああ。それで行くぜ!

柳季: で、GM! どうすればいい?

GM: ……それがねー、この状態で刀を探す判定っていうのを想定していなかったんだ。

豊前: そうなの? まずいかな?

GM: いや、ちょっと考えるよ。

柳季: ちなみに、瑞季ちゃんにそういう話をしに行きたいんだけど……。

GM: ああ、このタイミングで瑞季に“神鳴る盾”から招集がかかって、「最後の仕上げだから手伝ってくれ。」って言われて、市街と山の中で何かの工作を始める――――というシーンが挿入されます。

柳季: てことは、教室に帰っても、瑞季ちゃんは居ないんだね。

GM: です。で、キミの隣の席の人が、凄い恐る恐る声を掛けてくる。

柳季: うん?

GM: 「や、山代さんから伝言があるんだけど……。」

柳季: 俺、そんなにこのクラスで怖がられてるのかな?(一同笑)

GM: 「先に帰る、今日は帰らない……って。」

紗代: これ、すごい色々想像が膨らむ伝言だよね!?(笑)

柳季: そりゃ、恐る恐る声掛けてくるよね(笑)。――何処に行くとか、言ってた?

GM: 「(首を横に振る)」

柳季: ……俺、帰るわ。

GM: 「えっ!?」

柳季: 先生に伝えといて。

GM: 「ええっ!?」(一同爆笑)

柳季: 瑞季ちゃんに電話しても出ないよね?

GM: 勿論。

柳季: じゃあ留守電に、――――聞いてんだったら、ちゃんと折り返し連絡しろ。って入れとく。

       ◆       ◆       ◆

GM: はい。ではちょっと、ここで休憩にします。この後の展開を考えるのでー。

一同: はーい!


08 急転              シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


GM: (ダイスを振っている)

豊前: お、判定中?《妖精の手》しようか?

GM: (ダイスを振りながら)いや……キミが《妖精の手》を使えるような相手じゃない。

豊前: ……山、かな?

紗代: 山と戦うってこと!?(笑)

       ◆       ◆        ◆

GM: (ダイスを振り終えて)じゃあ、再開します! 次のシーンなんですが、どうやって探すかって話ですよね?

豊前: うん。

GM: とりあえず、刀は山にあるらしいってことしか分からないんですよ。

豊前: ……。

GM: で、詠ちゃんが凄い達成値を出して、覚醒のさせ方として伝承をなぞるっていう方法をとることがわかったじゃないですか。

豊前: だねー。


 乙原が調べ上げた本物の伝承では、この土地を守るという誓いを立てた男が、山の神から刀を借り受けたという話だった。

なので、単純に考えると、誓いを立てれば刀が出てくるのではないかということだ。


豊前: 山に祠か何かあるのかな?

GM: じゃあそれを探しましょうか。

豊前: OK。判定要る?

GM: いえ。ここはちょっと、時間を進めます。昼過ぎから山に出て、夕方頃には、祠を見つけることが出来ました!

豊前: お!

GM: で、散発的に“堕悪炎武隷巣”の連中と戦闘しつつ、文献だの何だのを調べた結果、件の祠は山頂に近いところにあったんですよ。

豊前: じゃ俺、ヘリコプター調達していい?

紗代: (ルールブックを見て)35出さなきゃいけないけど!?

GM: 出るときゃ出るな。いいよ、やってみ。

豊前: ミーミルの覚え書きを使って、<コネ:手配師>! ……あ、まずこのシーンに登場しないとね(ダイスを振る)。9上がった! 今日はここが俺のクライマックスだから。(一同笑)

柳季: 一人でクライマックス(笑)。

豊前: そうそう。で、マイナーアクションでジェネシフト(ダイスを振る)! 9。【社会】能力値が4、侵蝕率ボーナスが3、そして、<コネ:手配師>で+3D! ここで《天性のひらめき》! これで俺の侵蝕率は111%に!(ダイスを振る)

GM: (小声で)バカなの……?(笑)

豊前: え?(ダイスを振る)あ、止まったので《妖精の手》!(ダイスを振る)

GM: ヘリって、そんな大事?

豊前: (ダイスを振りながら)大事でしょう! 52!!

GM: じゃあ調達できました。

豊前: よし、皆! これに乗れ! 猛ダッシュで山頂に行くぞ!!

紗代&柳季: どこからこんなものが……(笑)。

GM: では、山頂です。

豊前: これで、時間はかなり短縮できたでしょう!

柳季: 目立つよね……。

豊前: まあ、目立つけど、俺達が「蛇ちぎりの太刀」を求めて、いきなり動き出したってことは、これで奴らに察知されるね!

柳季: うん。

豊前: なら丁度いいんじゃない? 集まってくれるんじゃないかな。

紗代: なるほど。


 “沙羅双樹”やFHの工作員の仕掛けた情報操作により、山の中に居た“堕悪炎武隷巣”のメンバーが、山頂近くを飛ぶヘリコプターに気がついて声を上げる。

「何か飛んでるぞ!?」

「UGNの奴らだ!!」

「あいつら、今更何しに来やがった!?」

「畜生! やっぱりUGNの中に仮契約者が居やがったか!!」


GM: やべぇ、皆がのこのこ山頂に来る……。

豊前: おう、来いよ(笑)。

GM: の前に、詠ちゃんが誓いを立てないとだろ?

豊前: そうだね。ってことは、このシーンはオレと詠ちゃんのシーンだから(柳季と紗代に)出てこなくてもいいんだよ? 侵蝕率的に厳しかったら。

柳季: いや、寧ろ低すぎるくらいだし、出るよ(ダイスを振る)。

紗代: 私も侵蝕率的には全然余裕なので、出ます(ダイスを振る)。


 他の三人が見守る中、乙原が山頂の祠で祈りを捧げる。


GM: ここで、想定していた条件がばっちり整ってしまったので、状況が発動するんですよ。

豊前: ほう?

GM: 「蛇ちぎりの太刀」が、彼女の目の前に現れます。

豊前: 現れた!


 乙原が「蛇ちぎりの太刀」を手に取った瞬間、「蛇ちぎりの太刀」が《メンタルインベイジョン》を使用した。


豊前: 何それ!?

GM: (ルールブックを見ながら)他者に身体の一部を埋め込み、操るエフェクト。対象の<意志>と対決を行う。このエネミーが勝利した場合、そのシナリオの間、対象の行動を決定できる。対象は意志を保ったままだが、行動を選択できない。

豊前: やべえー……。

GM: (ルールブックを見ながら)この効果は任意のタイミングで解除出来る。またこのエネミーが死亡した場合も、この効果は解除される。

豊前: ……。

GM: で、さっきダイスを振ってたでしょ? 豊前が《妖精の手》を出来る相手じゃないって。

豊前: うん。で……?

GM: 詠ちゃんが負けた。

豊前: あぁー、残念!


 「蛇ちぎりの太刀」を手にした乙原が、豊前達三人の方に向き直り、口を開いた。

「――――この者の願い、確かに聞き届けた。」


豊前: そっか! じゃあ大人しく壊されてくれ!

GM: ううん。彼はこう解釈する。「この土地を侵すものから土地を守り、人々の命の安寧を守らん。」と言って――――。

柳季: これ、皆殺ししに行くんじゃね?

豊前: マジでー!?

GM: 「随分と多くの余所者が入っているな。……この街を血で汚すとは――――!」

豊前: えっとー……だから、貴方が壊れてくれれば、一石二鳥になって……皆、幸せ?

GM: ここで、オートアクションで《融合》!

豊前: ちょっとー!?

GM: そのままマイナーで《完全獣化》《巨神獣化》《セントールの脚》を宣言! 詠ちゃんが、額にある水晶体のようなものの中に入ってる状態の、巨大な蛇の幻影が現れ……。

紗代: えぇー!?

GM: そのままメジャーアクションで動いて、シーンを退場していくよ。

豊前: ちょっとまずいんだけどー!?


 時間的にまだ早く、“沙羅双樹”がまだ包囲網を完成させきっていないため、大蛇は各個撃破に向かう。


豊前: 早め早めに動いたことが裏目に出たー!!

GM: で、その結果、何が起こるかというと、詠ちゃんの侵蝕率がガンガン上がっていく。

紗代: それはヤバい!!

豊前: 最適に行動した結果がこれだよ!! 皆の準備が出来てからすれば良かったー!!

GM: でも、準備出来てからやっても、あんま変わらないのよ。詠ちゃんは虐殺自体をしたくないので……。

豊前: ああ、そうだよね! 虐殺を止めたかったんだもんね!

GM: そうそう。なのに、自分が虐殺する側に回るっていう……。しかも詠ちゃん、意識あるからね、これ。

紗代: うわー……。

GM: 「違う、違うの!」って思いながら、次々と人を斬っていくっていう状態に……。

柳季: ――――で、この状態に対して、どうアプローチ出来るの?

豊前: とりあえず、ヘリで蛇を追おう。

GM: はい。では、ちょっとここでマスターシーンが挟まります。


09 惨劇            Master Scene


 突如、山で各個撃破を始めた大蛇。

「なんだあれは!?」

「まさか、あれが――――!」

その光景を見た者達が、「蛇ちぎりの太刀」が覚醒しているという結論を出し、力ずくで手に入れようと大蛇の元に集まってくる。

 「どういうことだ、これは……?」

“沙羅双樹”は、表の伝承を元に動いていたため、「まだ何もしていないのに覚醒した」という認識だったが、この機を逃すまいと、大蛇の様子を伺う。

 だがそこで、大蛇の額にある水晶に「入っている」乙原詠子に気付き、“神鳴る盾”が動揺した。


紗代: そりゃそうだよねー!

GM: もう、超動揺する。(一同笑)


 予想外の事態に動揺はしたものの、目的を達成する為には、大蛇を倒すなり落ち着けるなりして、刀の状態で神殺しの紋章を使って、破壊しなければならない。

「――――蛇だけを倒すことは出来るか?」

“神鳴る盾”の問いに、“血塗れの蓮”は答える。

「よく判らん!」

「…………。」

数瞬の逡巡の後、“神鳴る盾”は大蛇の元に行く決断をする。


豊前: あれ? これもしかして“沙羅双樹”、このシーンで死んじゃう?

紗代: え!?

柳季: やめて!!


 そして、“沙羅双樹”が二人でフォーメーションを組んで、必殺技を展開する。

まず“神鳴る盾”が《強化の電光》《解放の雷》で“血塗れの蓮”に向けて支援をし、その支援を受けた“血塗れの蓮”が《猛毒の雫》でキーンナイフを抜き放ち、《ポイズンフォッグ》《アウトパフューム》《浸透撃》《アドレナリン》《コンセントレイト:ソラリス》を使い、手に持ったナイフを地面に突き刺した。


柳季: エフェクト被ってねえ? 俺と瑞季ちゃん……(笑)。


 すると、山のそこかしこから蓮の茎が生えてきて、山の中にいる連中を次々と突き刺していく。


紗代: そして私と攻撃の演出が被っているという……。(一同笑)

豊前: 実はあいつらが、PC1とPC2だから。

紗代: じゃあ、しょうがない(笑)。


 結果“血塗れの蓮”は、200名の“堕悪炎武隷巣”メンバーに対してダメージを与え、邪毒を付与することに成功。

200名の“堕悪炎武隷巣”メンバーは猛毒のダメージでほぼ壊滅状態となった。

「やったか!?」

ナイフを地面から抜きながら“血塗れの蓮”が言ったが、「蛇ちぎりの太刀」は《透過》によりダメージを食らっておらず、健在。

そのまま「蛇ちぎりの太刀」は、“沙羅双樹”の二人の方へと向かう。

「――――この土地を血で汚す者は、何人たりとも許すことは出来ん。主らも同罪だ……。」


豊前: でも、“沙羅双樹”的には、この状態、万々歳なんじゃない?

紗代: 「この蛇を倒せば、目的は達成できる」って思ってるよね、きっと。

GM: うん、勿論。ですが、蛇の方が一枚上手でした。


 《獣の王》と《ジャイアントグロウス》を使った「蛇ちぎりの太刀」の猛攻に、此処に至るまでに侵蝕率が上がっていた“沙羅双樹”の二人は、形勢を諦めた。

「無理だ、勝てない――――!」

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