3一運命の赤い糸で繋がれたあの人
それなのに。
何故人生とはこうも思い通りにいかないものなのか。
今警官に見つかっているのか。
「死ねぇ!!」
能力者を殺しても、死刑にはならない。
能力者は殺しても、罪には問われない。
能力者は、狩りに使われる鷹かウサギのような存在だ。
能力者危険だ。だからこそ、無能力者のストレスのハゲ口となり、突然もたらされる死。残虐な死。
ただ、能力があったせいで。
電極をつけられ、一緒モルモットとして生きるなんて。
嫌だ。
それは能力者に生まれてしまった者ならだれもが思うことだろう。
そうでない能力者なんて、ただの自殺志願者と変わらない。
目の前には、おびただしい量の赤い血が流れている。
どろり、どろり。
びちゃびちゃ。
視覚の暴力だけならまだしも、鉄の錆びたような臭いが鼻をつく。血があるということは。
その原因もあるという事で。
死んでいる?
ああ、そうだ、死んでいる。
濁った眼球、ポッカリと空いた口、破裂した皮膚、流れていく残骸。
やめて。そんな世界は・・・・-----
「どうしました?」警官が私を見つめている。
「な、なんでもありません・・・・」
またか。このタイミングで。まずい。
だが、今は私の人生がかかった大事なタイミングだ。そんなことにまどわされてはいけない。
フラッシュバックした記憶を無理やり閉じ込める。
今はこのタイミングで、これがくるなんて・・・・・。車酔いにも似た、吐き気を無理やり閉じ込める。
ここを乗り切らなければ、私の未来はない。
能力者とばれてしまえば、お父さんやお母さん、生意気な弟まで道ずれだ。
死よりもひどい拷問、道ずれに家族を巻き込むわけにはいかない。
「どうしました?」
「何でもありません。」
早く終われ、終わるんだ。くそっ、めまい、吐き気、自分を支えている何かを守らなければ。
ここで、ここで、こんなところで、ばれるなんて・・・・・・・・。
「きゃああああああああああ!!!!!!!」
耳をつんざくような女の悲鳴が聞こえた。私を見つめていた二人の警官の興味が逸れる。
「すみません、吐きそうです・・・」
それだけを言い捨てて、私はドブの排水溝へ駆け寄り、胃の中のものを出すことにした。
もう限界である。
ふたりの気配が遠ざかっていくことを背中で感じながら、私はその場で気分の悪さを解消するために、ひとまず、胃の中のものを吐き出すことにした。




