2 ーそれは、超能力らしいです。
「君の能力は何だい?」
反応するな。
反応してしまったら、私の「隠していること」がばれてしまう。
「なんの話でしょうか?」
「どうして疑問形なんだい?」
彼はにっこりと笑った。底知れない笑み。
超能力者は存在する。
ただし、能力を持たない人の奴隷として。
超能力者の存在が世の中に知れ渡ってから、社会のシステムは変化した。
赤ん坊は生まれたときに検査を行い、そしてランク付けされる。
能力を持たないものは「上」。超能力を持って生まれたものは「下」。
持たざるものは人として生き、持つものは奴隷として生きる運命。
なぜなら、超能力を持っていると分かった瞬間に、首にナノマシンが埋め込まれ、政府管理システム「アマテラス」によって死ぬまで管理される。
人を殺せば「死刑」。悪事を働けば「無期懲役」。
超能力を持たない普通の人間よりも、重い刑罰を科される。
社会は超能力者に優しくない。
超能力者として生まれたものは、高い社会的地位につけない。
超能力は遺伝するから、子孫も「奴隷」として生きるしかない。
恋愛・結婚だって自由じゃない。
ただ、”手のひらから花が出せる能力”や”地面から数センチだけ浮くことが出来る能力”など、凡庸性の低い能力者は、まだマシなほう。
能力が高ければ高いほど、長くは生きられない。
子どもだから能力を暴走させることも多く、すぐに首に埋め込まれたナノマシンにより、すぐに処置になってしまうのだ。
幸い、私の能力は、人に「ばれない」能力だった。
両親が能力者ではなかったことも幸いした。
そして、両親が早くに離婚し、そして施設に預けられていたことも、私の「幸運」だった。
私は、能力者であることを隠して生きている。
能力者管理システム「アマテラス」の管理から、私は逃れ「無能力者」としての人生を歩んでいる。
私の能力は、人を攻撃することも出来ないし、お金を稼ぐために役に立つ能力でもない。
それなのに今更自己申告して、人間として生きることの出来ない「能力者」になんてなりたくない。
それが、16歳まで生きてきた私の答えだった。
だから、私は能力者であることを隠したい。
能力者だとばれてしまえば、首にナノマシンを埋め込まれ、生死でさえ他人に握られてしまう。
最低賃金は下がり、恋愛だってまともにできない。
ただでさえ、施設の暮らしは楽じゃない。社会は女に甘くない。
それなのに、能力者としての足かせをつけられてたまるか。
「・・・・・・刑事さんが何言ってるのか、私にはわからない」
「キミ、能力者だと思うんだけど違うのかな?」
16年間能力者であることを隠し続けてきた私の苦労が水の泡。私にできる最善の方法は何も見ず、何も聞かずにただこの場を速やかに立ち去る事だ。
「違いますよ。じゃあ、バイトがあるんで。」




