1ー運命の赤い糸、信じますか?
「超能力者は、実在する」
「はぁ、そうですか。さようなら」
「ちょっ、ちょっと待って?それだけ?」
だから、その手を離してもらえないだろうか。
ついさっき、アニメよろしくと言わんばかりの超能力バトル見せられた。
以上。
私はもう関わりたくありません。何度も説明したじゃないですか。
それともなにか?
私の名前は雪村楓。高校2年。
塾の帰りにバッタリ超能力者に遭遇。
このクソ暑い日に、氷と炎のイリュージョンを見せられた通行人A。
それ以上の回答が必要でしょうか?
「帰っていいですか?」
「えっ、ど、どど、どうして?君、本当になんともないのっ!?」
「何が?離れてください」
「わあああ!最近の女子高生コワイ!!」
お言葉を返しますが、これぐらいで涙ぐむ成人男性のほうが怖い。
「うわー!三枝さーん!のののっ、能力が聞かないんです!!」
三枝と呼ばれた男がこっちに来る。
「ねぇ、君、この人を見てなんともないの?」
「はい」
アイスブルーの瞳、整った顔だち。友達に聞いたら絶対にイケメンだと答えるだろう。
顔面偏差値が高い。まるで芸能人か何かのように綺麗なのに‥声が残念。
キンキンとテンション高く喋る上に、仕草が女っぽい。つまりは、私のタイプではありません。
「・・・・ちょっと待ってください。説明はいりません」
「えっ?」
「だって知ってしまったら、巻き込まれそうなんで。勘弁してもらえませんか?」
「あはは。ごめんね、君もう巻き込まれてるよ」
ニコッと、表情の見えない薄顔。絶対に嫌なヤツ。正確悪い。
その人は続けた。
「キミ、犯人の顔、見てるよね?」
「・・・・・」
「犯人が君を襲ってくるかもしれないね?」
「そうですね?」
「キミ、そうなったらどうなると思う?」
「・・・・」
この人、絶対性格悪い。
「私はどうすれば?」
「話が早くて助かるよ、君の能力は何だい?」