はじまり
皆さま、こんにちは。この度この物語の主人公をやらせてもらうことになった一ノ瀬孝です。
まず簡単に自己紹介させていただきますと、身長172センチ、体重58キログラム、体型普通。
目立たず、平凡に生きることがモットーのどこにでもいる男の子です。
ではなぜ、こんな僕が主人公というものになれたのでしょうか……。
事の始まりは4月。
僕は今年めでたく高校1年生となりまして、私立黎明学園に通うことになりました。
そこそこレベルが高く、家から通える高校という、まさにグッドな学校。
高校生になり、心機一転。しかしなるべく目立たないよう平穏無事な学園生活を謳歌しようと思っていた矢先でした。
入学式当日。僕は式に遅刻してしまったのです。
朝、妹が起こしてくれなかったので、寝坊してしまったのです。
毎朝妹に起こしてもらってるのか! という疑問は置いておいてください。
まあ悪いのは自分。ここで少し(?)目立ってしまうのは仕方ないでしょう。
そう思って、式の行われている体育館の扉に手をかけた瞬間。
アイツに出会ってしまったのです。
いきなり現れたアイツは、扉にかけた僕の手に手のひらを添え、そして両手で包み込むように僕の手を持って
こう言ったのです。
「おめでとう!!」
あの日から、僕の学園生活は平穏無事とは程遠いものになってしまいました。
あの日、あの時、あの場所で、アイツに出会ってしまったばっかりに。
この物語はそんな僕の学園生活を描いたもの――のはずです。
では、また後ほど。