裏側の入り口
夢創社。それは誰もが抱くような夢を研究し実現させる会社だ。この会社は少し特殊で子供心を忘れられない富豪などの寄附によって成り立っている。大人で志願して採用されるものもいれば富豪や関係者の親戚で子供の頃からその会社で育てていくということもある。イルトとセルバは後者だ。
僕はイルト。今は夢創社の超能力開発科に所属している。
「今日も仕事めんどいなセルバ。」
「そんなこと言うなよ…。俺らまだ20だぜ?なのに年収は2000万近いし衣食住は別途支給。俺らよりもっとしんどい仕事してる人いくらでもいるって。」
「そんなのわかってるけどさぁ〜。やっぱどんだけ待遇良くても愚痴は言いたくなるんだって。」
「就職の倍率ほんとに高いんだから親に感謝して仕事しろよ。」
そう他愛ない会話を交わしながらいつも通り入り口で殺菌用の青白い光を浴びてから開発科の作業室に入る。
開発科と名を打ってはいるが実際の仕事は超能力があるかもしれないとされた人たちの能力を一人一人チェックしていくことだ。
ちなみに僕は電気を放出。セルバも毒物を体内に生成することができるという超能力を持っている。
――――――――――7時間後―――――――――
「う〜ん!やっと仕事終わった!」
「結局今日も超能力を持ってると認められるくらいの強さだったのは2人だけだったな」
「そうなんだよ!だからモチベーションが上がらないんだよな〜!」
そう言いながら社宅に向かって2人で歩いていく途中の喫煙室の前を通ったときのことだった。
「なぁ…聞――か?今日も―――303人だってよ」
「うげぇ…じゃあ―――尽きる―――肉カレーかよ…あ―――ずい―――よなぁ――ここで生―――た奴は何も知らなくて。」
たまたま喫煙室の扉が閉まりきっておらず飛び飛びだが内容が聞こえてしまった。
「…さっきここで生まれた奴は何も知らなくてって言ってなかったか…?」
「聞き間違えじゃなかったのかよ…僕も聞こえたけど…聞き間違えだと思いたかった。」
「一旦早く部屋に帰るぞ」
僕とセルバは足早に部屋に帰った。夕食中も風呂でも2人はひと言も話さず、夜消灯時間が過ぎたあと。
「なぁ…夕方のあの話どう思う?」
口を開いたのは僕ではなくセルバの方だった。
「どうってったって…気になるとしか言えないよ。」
「そうだよな…。俺も正直めちゃくちゃ気になってる。だっておかしいもんな普通に考えれば子供の頃から会社で受け入れるなんてどう考えても。それに加えてこの好待遇。俺達に教えられてない情報があるとしてもおかしくない話だ。」
「た、たしかに…子供から受け入れるっておかしいか…。でも僕らどうしようもなくない…?下手に調べてバレたら怖いし…」
「ならお前はいつまでも使われる側で居ておけよ。もう今日は寝るぞお互いに冷静じゃないだろ。」
「うん…」
その日は深い眠りはできるわけなかった。それは会社のことを疑ってしまったからだろうか…




