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【第一章完結】ナルシズム!!  作者: おしるこ星人
第二章 蹴っ飛ばせ!青く輝くその足で!!
35/37

35. 明部


【前書き】


世界一のかっこよさを目指す男、鳴紫なるし れん


消えたクラスメイトを巡り、赤羽剛あかばねごうと衝突した恋。


榊原青斗さかきばらあおととの再会により、恋らしさを取り戻す。


青斗の過去を受け、彼はどう進むのか!?



俺はぽかんと口を開けていた。


夕方のグラウンドには、練習を終えた部員たちの声がまばらに残っている。

照明が灯り始め、汗と土の匂いが混ざる。


ベンチ横。

青斗は、自分がサッカーを取り戻した日の話を一気に俺に語り終えたところだった。


「……というわけで、俺はそこで初めて

 チームで勝つって意味を知ったんだよ」


沈黙。


「どうした、恋?聞いてる?」


「いやな……青春のいい話なのは、すっげぇ分かった」


俺は深く息を吸うーー


「だがーー」


「内容濃すぎだろ!!何だその話!!物語か!!」


青斗は眉をひそめる。


「いや、これでもだいぶ端折ったぞ?

 必要なとこだけ話した。

 語ってない部分も多い。

 ほら、葵の決勝点なんて──」


「わかったわかった!落ち着け!

 てかさらっと流したけど、

 中二で“テッペン”って何!?やばすぎだろ!」


「たまたまだよ。

 たまたま流れ着いたらそうなってた」


「流れ着きすぎなんだよ!!」


俺はじと目で青斗を見る。


「……本当に不良になってたんだな、お前」


「まぁな。でも大したことねぇよ。

 ちょっと荒れてただけだ」


「流石青斗。

 俺の中学時代なんか日にならない主人公っぷりだな。

 このままだと題名

 “榊原青斗のサッカー物語”になるところだったぞ」


「は?何言ってんだ」


「何でもねぇよ。……とにかく、足治って良かったな」


「あぁ」


青斗が軽く笑うと、俺はふっと表情を緩めた。


「恋も、なんか悩み吹っ切れた顔してるな」


「え?」


「さっき、お前にボール当たりそうになったろ?

 あの時、めっちゃ難しい顔してて気づきもしなかった。

 何か思い詰めてんのかと思ってさ。

 悩み事あったんだろ?」


言葉を失う。


「……まぁ、ちょっとな。

 俺一人で対処する自信がなかったし……

 信頼してないわけじゃないんだけど、

 誰も巻き込みたくなかった。

 大体そんな感じだ」


頭の中に、二人の顔が思い浮かぶ。


青斗は静かに言った。


「そうか。よく分からんけど──

 お前は強いから大丈夫だ。

 巻き込みたくない誰かだって、

 お前のことそう思ってるよ」


何も言えなかった。


「今日の試合見て思ったよ。

 あの時の弱かった恋は、ちゃんと強くなってた」


青斗は笑う。


「再会したばっかで、まだお互い全部分かるわけじゃねぇけどさ。

 困ったことあったらいつでも頼れよ。

 今日の借り、返したいしな」


「……青斗」


「一人で抱え込むより、仲間を信頼するのも悪くねぇぞ?」


俺は肩を震わせ、笑った。


「……やっぱり叶わねーな、お前には」


練習後の空気が、ふっと軽くなった。


俺は勢いよくベンチから立ち上がる。


「よしっ、決めた!俺は部活を作ることにする!」


「は?何言ってんだ?今の流れでなんでそうなる」


「今の流れだからそうなんだよ!おい青斗!

 お前、元ヤンのトップなんだろ?」


「その言い方、棘あるけど……まぁ、一応な」


「じゃあ、お前も入部しろ!」


「は?何言ってんだ。俺、サッカー部あるし」


「大丈夫!この学園、兼部オッケーだから!」


「いや待て。何する部活かも分かんねぇだろ」


「悪党をぶちのめす部活!

 正々堂々、真正面からねじ伏せる!」


「悪党……?」


「俺はお前を信頼する!

 お前が俺に自信をつけさせたんだ!

 責任取れ!!」


「いや、一方的すぎんだろ……」


「安心しろ!部員の命は俺が補償する!」


「命って!?補償って何だよ……」


俺の目を見て青斗はそこで言葉を止めた。


「……まぁいい。

 何かあったら頼れって言っちまったしな。

 名前だけ貸しといてやるよ」


「ありがとう、青斗!」」


「で?部活の名前は?活動内容は?

 部活創設には最低五人必要だろ?

 俺とお前で二人、あと三人は?」


「部名は今、決めた」


グラウンドの土に指で文字を書く。


『明部』


明部めいぶ?何だそれ?」


「敵が暗部なら、こっちは明部これだろ!」


「暗部?おい待て!!暗部って……あの暗部か?」


「やっぱ有名なんだな」


「有名どころじゃねぇよ。

 俺が不良やってた頃でも裏じゃ聞かない日はなかった!

 いい話を一度も聞いたことねぇ。

 あまりにも卑劣で都市伝説だと思ってたが……

 そんな連中と“正々堂々戦う”って本気か?」


「本当は戦う気なんてなかったさ。

 でも──大事なクラスメイトがやられてんだ。

 黙ってられるかよ。

 俺の美学が許さねぇ」


青斗は困惑を通り越して思わず笑った。


「……俺の中学にお前がいたら、

 俺はテッペン取れなかったかもな……」


「乗った!

 ただし、サッカー部は絶対巻き込むな!

 少しでも被害が出そうなら俺は降りる。

 その範囲内なら明部とやらに協力してやる」


「流石青斗!!そう言ってくれると信じてたぜ!

 頼りにしてるぞ!

 ただ、部名の読み方がちょっと違うな」


「は?明部めいぶだろ?」


「いや、明部めいぶじゃなくて、

 ──ハイライト部だ!!」


ハイライト部!?ダサくねぇか?」


「明るくてかっこいいだろ!

 それに目立った方が暗部あいつらも接触してくるかもしれない」


「……まぁ、お前のセンスは疑うが、部名は一旦いいや。

 で、残り三人は?」


「二人は当てがある。

 巻き込みたくなかったが……

 俺が守れば問題ねぇ。

 明日頼んでみる」


(剛と白石なら……きっと俺を信じてくれる)


「じゃあ残り一人か……

 サッカー部のやつは巻き込めねぇしな」


「一人だけ、当てがあるっちゃある。

 信用できるかは怪しいけど……

 そいつが味方になれば、色々楽になる」


「そいつ?」


「まぁ明日、目ぼしい奴らに声かけてみるよ」


「はぁ、そうだな。今日も遅いし、帰るか」


辺りはもう夜道だった。

俺たちは静かに歩き出す。

今日は色々あったが、明日からまたやるべき事が見えた気がした。


しばらく歩いたところで、青斗がふと振り返る。


「そういえば恋……」


「……?」


「ーー夢姉は元気か?」


夜風が急に冷たく感じた。



【後書き】


遂に初期構想の明部って名前を出せた!!


え?読み方?ハイライト部ですけど……


お読みいただきありがとうございます!


読んで下さったあなたはヒーローです!


ブクマされたら泣いて喜びます!


気軽に感想、コメントお待ちしております♪


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