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【第一章完結】ナルシズム!!  作者: おしるこ星人
第二章 蹴っ飛ばせ!青く輝くその足で!!
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27. 目撃者

【前書き】


世界一のかっこよさを目指す男、鳴紫恋なるしれん


恋と青斗がサッカーバトルをしている最中、

裏で起きていたもう一つの物語。


剛は無事に恋を見つけ出し、

自分の思いを伝えることが出来るのか!?



「どこ行った?恋!!」


恋と青斗が剛田たちを打ち負かす少し前。


黒音との会話を終えた俺は、

校舎中を走り回って恋を探していた。


最後に別れた旧校舎の屋上にも行ったが、

既に恋の姿はなかった。


校舎の廊下、階段、裏庭、購買前――

思いつく場所を全部回ったが、

恋を見つけることができなかった。


(クソ……!

 あいつには……

 言ってやらなきゃいけねぇことがあるってのに……)


胸の奥がざわつく。

焦りと後悔が混ざった、落ち着かない感情。


「何処だ!れーん!!」


俺は叫ぶ。


「うわ、何あの人……」


「怖っ……」


通りかかった生徒たちが白い目を向ける。

一瞬だけ顔を赤くなったが、すぐに頭を振った。


(そんなのどうでもいい!

 あいつに……ちゃんと言わねぇと……!

 あんな言い方して……バカか俺は……)


ふと、グラウンドの方に大きな人だかりができているのに気がつく。


(なんか盛り上がってんな……)


だが、人が多すぎて中で何が起きているのかは見えない。


(いや、寄り道してる場合じゃねぇ!

 恋を探さねぇと……!)


俺は再び走り出す。


(待ってろ、れーん!

 言うんだ……ちゃんと……)


***


数分後――


「どこにもいねぇーー!!」


俺は探し疲れて、その場に座り込んだ。


「……もう帰っちまったのか……?」


ため息が漏れる。


(別に今日じゃなくても……)


そう思った瞬間、肺の奥がズキッと痛んだ。


「……いや、ダメだ。

 今日言わねぇと……ダメな気がする」


拳を握りしめた。


(あいつの気持ちに気づかねぇで……

 あんな酷ぇこと言って……

 それで“また明日”なんて……

 そんな逃げ方、俺はしたくねぇ)


そして、勢いよく立ち上がった。


「よし……!」


そう言った瞬間、ふと足が止まる。


「……あれ?ここ……どこだっけ?」


夢中で走り回っていたせいで、

自分がどこにいるのか一瞬わからなくなった。


周囲を見回す。



(……ここ、昨日の倉庫じゃねぇか)


気づけば、昨日戦っていた“体育館裏の倉庫”の前まで来ていた。


「なんで俺……こんなとこまで……」


立ち去ろうとした、その時だった。


――いやぁぁぁぁーっ!!


倉庫の中から、悲鳴が聞こえた。


足がピタッと止まる。


「……何だ、今の声……?」


胸がざわつく。

今日、恋が言っていた言葉が脳裏に蘇る。


――倉庫は綺麗になっていた。

 まるで何もなかったかのように。


(……おいおい、まさか…)


脳裏に一つの可能性が浮かぶ。


(暗部……)


背中に汗が流れた。


(まずい、すぐに恋に知らせなーー)


しかし、途中で止まる。


(バカ、バカ!何言ってんだ!

 すぐ恋に頼ろうとして。

 そんなんだからあいつは…)


周囲を見回し、地面に落ちていた鉄パイプを拾い上げる。


手が震える。足も震える。

でも、行かずにはいられない。


「……おいおい……嫌な予感、外れてくれよ……」


ゆっくりと倉庫の扉に近づき、隙間から中を覗いた。


薄暗い倉庫の奥に――


金髪の男が立っているのが見える。


その周りには、もう二人、何か話している風だった。


「なぁ、おい!い、、い、いやぁー」


片方が尋常じゃない叫び声を出していた。

先ほどの悲鳴と同じ声だ。

倉庫中に叫び声が響く。


「あー、本当は俺だってこんなことしたくねぇーよ。

 でも、上がうるさいの♪

 何処にあるの?あれ」


「いや、いやだ、何で、嫌だ、いやぁー」


片方は壊れたみたいに叫び続ける。


慎重に静かに中へ入った。


(やっぱり、あの金髪頭が暗部なのか?

 それにしても、何であんなに怯えてるんだ…?

 もう一人の方は喋らないし…)


「あー、こりゃもう駄目かな?他当たるか…」


金髪男が一人でに呟く。


(駄目?一体何があったらあんな状態になるんだ……)


ただならぬ雰囲気に剛は鉄パイプを強く握りしめる。


「残念♪」


金髪男の拳が光り始める。


そして、一気に倉庫が明るくなった。

視界が一気に開け、全体がはっきりと見える。


(あれ?何だあれ?)


先ほどまで見ていた金髪と二人の影。


一つは今目の前で壊れて叫んでいる。


そしてもう一つーー


首筋にかけて赤い血が流れ、微動だにしていない。


そして次の瞬間、叫んでいた男の首が――


シュパッ。


皮膚が裂け、肉が裂け、血が噴き出す。


血泡がゴボゴボ溢れ、

体が痙攣して崩れ落ちる。


ドサリ。


「ーーは?」


声が震える。

いや、震えるどころではない。

喉の奥から絞り出されるのは、

ただの掠れた空気の音。

言葉にならない、呼吸もままならない。

理解が追いつかない。

頭の中が真っ白に霧がかかったみたいに、

何も繋がらない。

何が起きたのか。

わからない。

わからない。

わからない。

さっきまで叫んでた男の体が、床に崩れている。

血が広がってる。

でも、それさえもぼんやりとしか見えない。

視界が、揺れてる。


(死んだ……?あいつ、死んだのか……?

 は?…何が?…は?…ちょっと待て……)


現実が、遅れて届く。

遅すぎて、胸が締め付けられる。

息が、詰まる。

そしてーー


盛大に吐いた。


「おぇっ……あぁ……うぇ…っ」


腹の奥底から心臓が飛び出るような動悸。

目眩。

嘔吐は止まらない。


「おえっ……げほっ、げほっ……!」


涙で前が見えない。


その時――


「あれ?お前誰?いつから居たの?」


金髪男――洸が、

咽せる音に気づき、振り向いた。


気づかれたことは理解している。

だが、呼吸がうまくできず、何も反応できない。


ただ、気持ち悪い。


「なんかすごく苦しそうだけど、大丈夫?

 保健室行く?」


あまりに悲惨な俺を見て、

目の前の男は本気で心配しているような声を出した。


(……何……言って……んだ……こいつ……)


二人を殺した直後とは思えないほどの平常心。


吐き気を催しながらもこいつに対して、

恐怖よりも、

畏怖よりも、

怒りよりも、

嫌悪よりも、

もっと何か心の奥底から溢れ出る

ぐちゃぐちゃした別の感情を抱く。


「あ、でもダメだ。

 この現場見ちまってるわ。

 証拠隠滅しないと……残念だけど、お前もあの世か」


その言葉と同時に、

倉庫の温度がさらに下がった気がした。


【後書き】


書いてて思ったけど前回との落差がやばい…


お読みいただきありがとうございます!


読んで下さったあなたはヒーローです!


ブクマされたら泣いて喜びます!


気軽に感想、コメントお待ちしております♪


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