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望みの家路

作者: 八崎節子


 夏の夕暮れの刻は長い。ぼんやりと陽の光が空に残っている帰り道、特に気もなくいつもの道をそれる。


 住宅地の道を少し、変えた所で、似たような家と分かれ道との光景が続いているだけだ。それなのに、今までに通ってないからか、新鮮な気持ちを覚えた。




 だからか、突然現れたように、小さな扉が目に入った。


 木の扉は開いていて、近付いてみると、扉の中には夕暮れを更に赤く染めたような灯りに照らされた、プラスチックの食器やら、透明のケースに収められた様々な色を放つ石やら、ミニチュアの家具やら、が目に入った。


 雑貨屋のようだ。がらくた屋というには真新しい品物が多く、アンティークショップというには物と物の間が詰め込みすぎているように感じる。




 足を運んでみると、小さく鈴の音が鳴る。奥の方から「いらっしゃい」と、しわがれた声が素っ気なく様子でかけられた。


 何となく、「失礼します」と返してから、中の物を見ていく。


 どれも驚く程の値段ではなく、かといって普段使ったり、部屋に飾ったりするには僅かに贅沢に思える品ばかりだった。


「いいなあ」


 見飽きず、足が一歩一歩、奥へ進む。




 入って、何歩もいかない内に突き当たりに着き、棚はそこを曲がった、何かの本が並んでいる先へと続いている。


「せっかくだから、何か一つ、選んでみようかな」


 どれも良さそうな物ばかりだし。そう言い訳して、角を曲がる。




 それっきり、今も、帰っていない。


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